第60話 友達契約
「僕の能力は相手の好意を奪う能力さ。」
相手の好意を奪う。
つまりは誰かが誰かを好きって気持ちを強制的に自分の物に出来る…。
ある意味で光沢にお誂え向きな能力だと言える。
もし光沢がこの力を自由に使えてたら僕はアイツに空音を取られていたかも知れない。
それは…ゾッとするな…。
でもその危機が無くなった訳じゃない。
闇沢が空音を僕から奪うと決めたなら僕は空音を失う事になる。
なんでだろう…それだけは絶対に嫌だと僕は思っている。
自分でも驚く…いつの間にか僕は空音を大事だと思っている事実に。
「安心してよ、僕は君から君の大事にしてる物を奪うつもりは無い…というより普通にいらないしね」
闇沢は空音をチラ見してニコっと微笑む。
空音はそんな闇沢をジロっと人睨みしてはぁ〜と溜め息を付いた。
「そりゃ良かったわ、あんたなんかに好き勝手されると思うと寒気が走るもん」
「はは、安心してよそれは僕も同じだからさ」
空音がぐぬぬって顔をする。
割と珍しいかも知れない。
空音が誰かに言い負かされている所を見るのは…。
大体は皆空音に気に入られようと彼女に対してへりくだった態度を取りがちだ。
媚びて空音のご機嫌とり。
だから闇沢の態度は割と真面目に新鮮かも知れない。
それはそうと…。
「闇沢君は僕の協力者になってくれるの?」
「ああ、なるよ」
「でも君にメリットが…」
「僕と友達になってくれたら良いさ、それ以上は望まない。僕が欲しいのは友達だからね」
「そっか…わかったよ…」
「ふふ、商談成立だね」
こうして一件落着。
めでたしめでたし。
それで納得出来ないのか空音はぶっきらぼうに言い放った。
「友達ってゆーのはそんな堅苦しい物じゃないでしょ?」
「え?」
「…。」
「そんな契約書にサインみたいなノリじゃなくて友達ってもっとテキトーに自然に出来る物なのよ?アンタのそれってかなり歪よ!」
「ならどうすれば良いのかな?」
「はぁ…いいわ、なら私が……私達が友達になってあげる!」
「く…空音?」
「だから僕等は友達として今互いの合意を…」
「黙りなさい!そんな堅苦しいのじゃなくてぇ!あぁ!もう良いから!!私が友達ってゆーのが何なのか教えてあげるわよ!」
空音のお節介が炸裂している。
どうも空音のお節介センサーに闇沢はしっかりと反応する所があったみたいだ。
僕と違ってしっかりしてそうな闇沢に何故と思わなくもないが…
でもなんだろうか…?
空音がお節介をやくのは僕だけだと思ってたけど…
こういうパターンもあるのか…。
なんか…モヤっとするな。
「ま…まぁ僕も友達になるってんなら歓迎するよ…君は光沢とは違うってわかったから…」
「つ!そうか!ありがとう、とても嬉しいよ。」
兎にも角にもだ。
…彼の能力は利用価値がある。
対象の好きって気持ちを奪う能力。
この力は黒圭には無かった物だし使い方次第であの"2人"を破滅に追い込める!
ふふ…楽しみになって来た。




