第59話 闇沢その2
「さて…ここからは本題だ…」
光沢…いや、闇沢の目つきが変わった。
いったい彼は何を言い出すのか…何を目的に近寄ってきたのか…それがようやく明らかになる。
「僕を君達の仲間にして欲しい」
「え?」
「は?」
「何度も言ってる様に僕は光沢とは違う、君達と仲良くなりたいんだよ」
「はあ!?アンタまたっ」
「まぁまぁ空音、一応話だけは聞いてみようよ、まだ彼の考えとかなんにもわかんないんだしさ、光沢…闇沢君も1つ聞きたいんだけど良いかな?」
「どうぞ、」
「単刀直入に聞くと何故僕等と友達になりたいの?正直どうしても勘ぐっちゃうよ」
「まぁ仕方ないね…そうだね〜…。僕と彼…光沢と闇沢は相容れない…価値観も考え方も違う。彼の欲する物は僕にとって無価値だ、そして同時に彼にとって価値ある物は僕には不要なものなんだ」
「それはさっき聞いたわよ、なんで私達と仲良くしたいのかって聞いてるの!」
「解らないかい?僕は君達と友達になりたいんだよ!理屈なんていらない、君達の眩しい姿をこの目に焼き付けたいんだ!」
つまりこういう事か?
本来の光沢は僕を嫌悪していたから光沢の反存在である彼は僕を好む。
光沢の真逆の存在を自称する闇沢は僕を好意的に捉える…でも…まるで光沢が嫌っていたから自分は逆の行動をとって好む。
そう言うロールプレイをしてる様にも見える。
「僕はね、生まれた頃から…あぁ、意識を持ち、個を確立し自我を持った瞬間を僕は自分が生まれた瞬間と定義付けているんだけどその瞬間から光沢と闇沢は無意識下で嫌い合っていた。僕にとってのコミュニケーションとは他人と嫌い合う事そのモノなんだよ。それ以外は知らなかった…それに光沢は真の意味で友人を作らない…いや作れない。打算と虚構、嘘で彼の交友関係は出来ている。
でも君達はそんな歪な人付き合いはしない。
打算も計算もない。
君達は互いを信頼し、助け合っている。
僕は君達の真の意味での友好や信愛に信頼が欲しいんだ!!どうかな!!?」
ズズイっ!と距離を詰める光沢…もとい闇沢。
凄い熱量だ、これで嘘だったなら彼は役者にでもなればいい。
顔が良いのだからきっと凄い人気の俳優になれるだろう。
「勿論ただでとは言わないよ?鳴海君…君、何か大きな目的があるんじゃないかい?」
「え…?」
「その反応どうやら当たりみたいだね」
「ど…どうしてそんな事が…」
当たり前だけど光沢に悩み事とか目的の事とか一切話してない。
敵対してる相手にそんな話する訳がない。
それどころか僕の復讐について誰にも相談なんてしてないんだ。この事を知ってるのは空音だけだけど彼女は人一倍光沢が嫌いだし彼に空音から話してたなんてまずあり得ないだろう。
なら何故?
「簡単さ、僕等が発露するきっかけは主人格に大きな衝撃が来た時だ、なら君は過去に人格が二分する程の衝撃を経験している筈だ…。
そして結果…君ともう1人の君が目覚めた…。
君達は高度に安定している。こんな事は元来あり得ない…、何か大きな目的の元、君達は協力し助け合っている。つまりは鳴海君にはどうしてもやり遂げたい目的がある…そう僕は推察したわけさ。」
「な…なる程…凄いね?」
そこまで分かるものなのか…?
まぁ分かる物なんだろうか…流石黒圭と同類なだけある…。
「で?何でもしってる闇沢君は圭に何してくれるワケ?」
「そうだね…もう1人の鳴海君にも何か特殊能力があるでしょ?多分女の子の気持ちを操作するとかさ?」
「………そうだね…そこまで間違ってないよ」
「僕にも似た様な力がある、それで君の目的をサポートしてあげれるかも知れない」
「へぇ?凄いじゃない?何?時間でも巻き戻せるの?」
「あはは、流石にそんな事は出来ないよ、僕等に出来るのは精々人間レベルの事だよ、世界規模の事象に干渉なんて出来ないさ」
「なる程ね…。」
空音は相手を挑発する体で情報を聞き出している。
まぁ僕は何となく知ってたからそこまで有益な情報じゃないけど空音は知りたがってたのかも知れないな。
人工バグ試験体には特殊能力がある。
これは元々突然変異として人間の中に発生したバグ持ち達の特殊能力がベースになっている。
ただ特殊能力といっても万能じゃない。
自然や世界規模の事象に干渉する事は出来ない。
地震を起こしたり気象を操って雨を降らせたり時間を止めたり巻き戻したり未来に行ったりそんな奇跡は起こせない。
黒圭がやっている様に自分の事を好きにさせる程度の能力だ。
「僕の能力は相手の好意を奪う能力さ。」
そして闇沢の能力は相手の好きって気持ちを奪う能力だそうだ。
それを聞いた時…僕の中でとある悪魔が囁いた。
これは使えるなってさ。




