第57話 登校。
僕の友達、相田君と田辺君には彼女がいる。
いや、田辺君の場合、厳密には彼女ではなく女友達たけど学校にいる時はベタベタとくっついてるし空音いわく休みの日は田辺君の家にまで遊びに行ってるらしい。
もう彼女と言っても差し支えないだろう。
田辺君も阿久利さんに振り回されて過去の失恋に嘆いている暇もなさそうだ。
相田くんと朝咲さんも順調にベタベタカップルだ。
所構わずベタベタとしている。
元々世話焼きな朝咲さんは相田君に毎日お弁当を作って上げてるみたいで相田君もそれを美味しい美味しいと喜んでいる。
しかも朝咲さんは相田君のお弁当代をアルバイトでやってるカフェ定員の給料から捻出してるらしい。
いったいいつ働いてるんだ!?
凄いよ本当に。
一方僕はどうだろうか?
もう寧音さんにはなんの未練もない。
ただ来る健康診断の日に3年がいる3階に行かないといけない。
何かの偶然で会ったりしたら嫌だなぁと…これごフラグにならない事を願うばかりだ。
それはそうと空音は僕の事をどう思ってるのだろう?
手のかかる幼馴染。
弟みたいなもの…多分そんなところだろう。
黒圭のお陰で僕の学校での地位は驚く程…そりゃもうビックリする程に向上した。
何せクラス内派閥の1つを束ねるボスで光沢派閥が崩壊して実質的なトップだ。
なんだかなぁ…。
その派閥内で僕と空音は付き合っている、つまりは恋人同士という認識は今も続いてる。
相田君と朝咲さんがくっついた事でやっぱり僕と空音の関係もガチ目に付き合っているって認識が本格的に広まった。
しかし本当のところは付き合ってるどころか告白もしてないし実際僕自身空音をどう思ってるのかもハッキリしない。
自分の事なのに自分で分からないのだから始末におえない。
今にして思うのは寧音さんに向けた気持ちは恋心とかじゃない。
あれはただの依存心…それと性欲が大部分をしめていたと思う。
空音は…どうなんだろうか?
僕は空音を寧音さんの代わりにしてるのかな?
空音は優しくないし直ぐに怒鳴るし基本素っ気ないしあ〜とかへ〜とか気のない返事しかしない。
間違いなく寧音さんの代わりにはならないだろう。
それに僕に興味なんて無いんだろうなって思ってたけどだったら世話なんてやかないし気の無い返事に思えてしっかりと聞いているのだから分からない。
空音は僕をどう思っているのだろうか?
そうやってうだうだ考え事をしていると突然教室の後ろ扉がガラっと開かれた。
「えっ!?」
入って来たのは意外な人物。
いや、クラスメイトなのだから意外な人物というのはちょっと違うんだろうけど今日…いやここ最近ずっと休んでいたんだから十分意外だろう。
(光沢…)
そう、光沢が5限目になっていきなり登校してきたんだから。
いきなりの彼の登場に皆驚いている。
当たり前だ。
不登校になってた奴がいきなり登校してきたら誰でも驚くだろう。
「皆騒がせてごめんね、これからは毎日登校するからまた以前の様によろしくね」
そういって太陽のように温かみのある笑顔を作る。
なんだ…?
何があったんだ。
そして光沢はすっとコチラに視線を向けると優しげな微笑を浮かべた。
(は!?)
意味が分からない。
薄ら寒い…悪寒すら感じるほどの奇妙さが彼にはあった。
(なんなんだよ…)
それから時間は流れ放課後。
相田君と朝咲さん、田辺君と阿久利さんに別れを告げて僕と空音は帰路に付いた。
しかしそんな僕達のまえに光沢がやって来た。
「やあ。」
「光沢…くん…」
「あっあんた…また!」
一生触発の空気。
しかし光沢は顔色を変えることなく太陽のように温かみのある笑顔を貼り付けたまま言った。
「よかったら僕の方とは友達になってくれないかな?」
「は?」
「え…?」
いったい彼は…何を考えているのだろう…?




