第38話 いらぬおせっかい
「と言うわけでアタシ等は田辺君の恋愛に口出ししない事!良い?」
雪坂空音は友人である朝咲と阿久利の2人に念押しして言った。
昨日の鳴海圭からの言葉をそのまま2人に伝えた形だ。
「オネーサンはりょーかいよ!たしかに空音ちゃんの言う通り!恋は自分で勝ち取るものよね!」
朝咲花織は相田に助けられてから彼への気持ちを高ぶらせそのまま勢いに任せて告白した。
釣り合いが取れて無いと感じた相田は一度は彼女からの告白を断ったがそれで引き下がる花織ではない。
い〜やーだ〜私相田君の彼女になるのぉ〜!!付き合うのぉ〜!!
と、猛烈なアタックの末にとうとう相田は折れ(疲れ)、晴れて2人は恋人となった。
そんな彼女からすれば恋は自らの意思で勝ち取るものだと固まったばかりの価値観を当然の様に振りかざすのに何の戸惑いもなかった。
しかし…。
「え〜それは薄情過ぎない〜?」
やはりと言うかやっぱりと言うか異論を唱えたのは阿久利未音だった。
「田辺っちは自分から告白する勇気とかないしょ?ならウチ等が手伝ってあげないとダメっしょ?」
「未音ちゃん!恋は誰かに助けて貰うものじゃないのよ!自分で勝ち取る物なの!」
「つーかそれいったら花織の時も相田っちと付き合えたのウチ等が手伝ったからじゃん!?」
「うえ!?」
「花織ってば恋する乙女みたいになっちゃって全然自分から言い出せなかったじゃん?」
「う…うゆ…」
「やっぱさ?私等でサポートしてやらねーと駄目と思うわけよ?どうよ花織ぃ!?」
「………………」
朝咲花織は沈黙する。
駆け巡る思考、逡巡する思い。
長きに渡る思考(2秒くらい)の末に朝咲花織は言葉を発した。
「空音ちゃん!!私達が恋のキュービットになってあげるべきなんだわ!!」
「……あんたねぇ…意思弱すぎ…」
簡単に言い包められた自称お姉さんの意思の鋼の脆さに辟易としながらも空音は言った。
「兎に角!いらないお節介とか良いから田辺君の好きにさせてあげよ?それが一番良いって!」
と、言った形でこの件は一応の解決をみた。
ノータッチノーライフ。
しかしそれで満足する阿久利未音ではなかった。
昼休み。
4限目までの苦行が終わりやっとの事でありつけた昼休みの時間。
鳴海圭とその友人の相田と田辺は学生食堂で各々注文したお昼ゴハンを食べていた。
実はその3人の男子を…厳密には鳴海圭を見張る女子2人、佐藤恵と渡井茜の元光沢派の女子2人が近くの席にいたのだが今はまぁ…どうでも良い事だろう。
そして彼女達とは別に男子3人が座る席に近寄って来た2人の女子生徒はドカッと自分達も昼メシを乗せたトレーを置いて座った。
無論阿久利未音と朝咲花織である。
「あっ…朝咲さん!?」
「もぉ〜彼女を置いて学食なんてひどいわぁ!雄二君たら!」
「え?あ…いや…ごめん」
「もぉ〜許すぅ!」
相田君の隣に座った朝咲さんはベタベタと彼に抱き着いて幸せオーラを広域展開フルドライブしている。
余りの幸せパワァ〜に光になってしまいそうだ。
朝咲さん狙いなのかどうか知らないが周囲の男子が凄い形相で見ているが知らぬが仏様と言う奴だ。
そして田辺君の対面の席には阿久利さんが座っている、彼女はドンっとハンバーグにフォークを突き刺して(行儀悪いなぁ)言った。
「男は度胸だよ!?田辺つ!!」
「はい?」
「でも田辺っちさあ?告る度胸とかないんしょ?だからウチ等がフォローしてあげようってわ・け!」
「え…いや別に大丈夫なんで…」
「遠慮とかいらないから!おおぶねに乗ったつもりでいてくれて良いよぉ!!」
「え?あの?だから別にいらない…」
「ああん!?」
「ひぃ!?…よ…宜しくお願いします…」
駄目だこりゃ…
結局阿久利さんの押しの強さに巻かれて彼女のフォローを受ける事になった田辺君。
彼の明日はどっちだ?




