第36話 不安になって来た
翌日のこと。
相田君と朝咲さんはやはりというか見事付き合う事になったらしい。
どうも相田君的には付き合うつもりとか無かったので一度は断ったらしいけど朝咲さんに詰められて付き合う事を承諾したらしい。
因みに本人の言い分はこうだ。
「だってさ?俺と朝咲さんだぞ?釣り合って無いって!?」
「それ言ったら僕と空音はどうなるの?」
「どうもこうもないだろ?2人は幼馴染だし何より鳴海はこのクラスのボスじゃん!」
「だからそれは……うう…違うんだってば…」
違うといった所で否定は出来ない。
例え黒圭のやった事とはいえ、表面的には僕のやった事になってるんだから。
「てか俺が一番おどろいたのは葉に好きな人がいた事だな」
「あ…あはは」
苦笑いする田辺葉君。
「しかもその好きな人へのアプローチとか告白にあの3人が手伝ってくれるなんて鬼に金棒だな!」
「そ……そうだね……はぁ…」
元気なさげにうつむく田辺君。
「どうしたよ?元気ないな?」
「え?そんな事無いけど…」
正直彼の気持ちは分かる。
同じ陰キャどうし、彼が何に苦悩しているのかは大体察しがつく。
「僕が空音にそれとなく手伝いはいらないって言っておこうか?」
「え?」
「いらない気遣いならゴメンなんだけどあまり大事って言うか目立つ様にしたくないんでしょ?」
「あ…うん…そんな感じかな」
「なんとかなく気持ちはわかるよ」
「へえ?そんなもんなのか?」
僕と田辺君の話を興味深げに聞いていた相田君が問いかけてくる。
何方かと言えば陽キャよりな相田君は美人3人組に手伝ってもらった方が告白はスムーズに進むと考えてるようだけど消極的な価値観の人間はそうでも無い。
極力静かに小さくいたいのだ。
「うん、真野さんも僕と同じで多分目立つのは嫌だと思うから余り多人数で騒ぎになる様な事はしたくないかな…」
「なる程な…そんな所まで考えが行ってなかったぜ、流石鳴海だな!よく見てるぜ!」
「いやそんなんじゃないんだけどね…」
消極的な人間とそうでない人間では価値観が違う。
それは当たり前だし当然の事だ。
何でもかんでも皆で大盛り上がりしながら楽しくやりたいって考えの人もいれば粛々と効率よく静かにやりたい人もいる。
まぁ…僕等の場合ただ目立ちたくない、注目を集めたくないってだけなんだけどね。
「でもそれだと告白とかどうすんだ?葉が自力で出来るとは思えないけど?」
「そ…それは…そうだけど…僕は僕のペースでしたいから…」
「……あぁ…まぁそうだな!とりま頑張れよ!」
「う…うん!」
結果のところ告白なんて言うのは個人が頑張らないとどうにもならない、第三者の介入なんて意味が無いし下手に引っ掻き回された結果失敗に終わることなんてザラにあるのだから。
まぁ告白する前から失恋してる奴が何を言ってるんだって話だけど…。
そして僕はこの話を家に帰ってから当然の様に僕の部屋に来た空音にも話した。
「了解…まぁそうね、告白は自分でやる物だし人に手伝って貰うものじゃないしね」
「だ…だよね!」
「でもあの子か簡単に納得するかな?」
「え?あの子って?」
「未音よ」
「あ…あぁ…。」
阿久利未音。
空音のもう1人の友達でこれぞギャルって感じの子。
少ししか話した事はないけど確かにグイグイ来るタイプだし滅茶苦茶行動力がありそうな子だ。
「一応未音にも言っておくけど多分聞かないだろうな〜」
なんか…凄い不安になって来た。




