第35話 お節介
ファミレスにて男女が恋バナで盛り上がる。
若者が青春を彩るのにこれほどの題材は無い。
しかしそれも陰キャに該当する僕等ではいささかハードルが高い。
そう勝手に思ってたのだがどうやらそう思っていたのは僕だけの様で同類だと思っていた彼は神妙な顔つきで言った。
「僕…好きな人がいるんだ…」
「え…?」
好きな人!?
このタイミングで彼は…田沢君は思いも寄らない事を言い出した。
「その…もしかしてその好きな人って…」
「まさか花織じゃないでしょうね!?」
いきなりヒソヒソ話に割り込んで来たのは空音だった。
そりゃそうだ…友人の恋を応援したい立場の空音からしたらその友人に恋する第三者の登場とか頭がこんがらがる。
所謂三角関係…トライアングルだ。
しかも幼馴染の男友達同士のぶつかり合い。
ややこしい事にしかならないだろう。
「ちっ!違うよ!!そんな雄二の彼女さんを取るような真似僕にはできないよ!!」
「ほっ…」
「あはは…だ、だよね…」
安心する、僕と空音。
そして…。
「なんだ〜少し残念!」
1人だけ残念と発言したのは意外…なのかどうかは分からないけど阿久利さんだ。
「はあ?アンタ何言ってんの?」
「だって花織を取り合って男が熱い戦いを繰り広げるのよ?ちょ~見てみたくない?」
「そんな面倒そうなの見たくないわ」
「え〜」
相談相手の田沢君を置いて話をどんどん進めるギャル2人。
しかたないので僕が彼の好きな人なる存在の正体を解き明かそうと思う。
「それで好きな人って…?」
「あっ…!うん…その…僕、真野さんが…気になってて…」
「真野さんって…」
真野奏。
僕等のクラスメイトに当たる女子だ。
いつも1人で本を読んだり寝てたりする一匹狼系女子。
私、他人とは群れません!と態度が物語っていて実際誰かと話てる所は見た事が無い。
「真野…?まの?誰だっけ?」
「ほら、飯田の後ろの席の女子よ」
「あ〜あの地味な子か〜誰とも話そうとしないよね?あの子!」
「……うぅ…。」
いきなり好きな人をディスられてしょんぼりする田辺君。
まぁ…確かに地味と言われたら否定は出来ない…でも…。
「あの子、結構美人だよね」
そう、空音が言う様に真野さんは整った容姿をしている。
目立たないし地味。
人付き合いもおざなりで他人に対して壁を作る彼女だけど整った容姿を持つ美人だ。
だから密かな人気とかがあっても驚くには値しない。
「う〜ん…まぁ…確かに美人だけど可愛いとは思はないかな〜?愛嬌が無いし〜」
「まぁ…否定は出来ないかな」
なんだかんだいつもは相手のフォローに回る空音が率直に意見している、どうも空音にとっても真野さんは取っ付きにくい人間みたいだ。
「そ…そんな事ないよ!」
「田辺君?」
「真野さんは確かに普段は素っ気ないけどとても優しくて良い子なんだ!!」
「おわぁお!」
「……」
空音も阿久利さんも突然田辺君が大きな声を出した事に驚いている。
かく言う僕も少し驚いた…。
「その…読書してる時は凛々しくて孤高でカッコいいけど時折見せる寂しそうな顔が儚げで守ってあげたくなるし…」
「おうおうおうおう!」
「ぼ…僕が落とした消しゴムを拾ってくれてそれで…優しい所もあって…」
「おう〜!それで惚れちゃったのぉ!?ドチャクソチョロいじゃ〜ん」
「うぅ…」
まぁ…正直同意しか無い。
消しゴム拾って貰ってそれで片思い。
何と言うか…チョロ過ぎる…。
「それで?要は真野さんと付き合いたいって事?」
「ひゅえぇ!?つ…付き合う!?」
「そういう事じゃないの?」
「え…?あの…その…」
「つきいたいなら付き合いたいってハッキリ言って…そういう煮え切らない態度が一番良くない」
「ひゅ………、…付き合いたい……です…」
空音に脅さ…後押しされ田辺君は自身の本音を口にする。
「なら私がフォローしてあげるわ!」
そして空音のお節介が炸裂するのだった。




