第28話 大丈夫さ…。
気が付いたら近所のファミレスにいた。
空音を彼女の家まで送ってそしたら家の前で寧音さんとあの家庭教師に会ってしまった。
嫌な事に出会してしまったのだ。
当時は二度と会いたくない、会わない様にと気を使っていたのに…。
自分があの時から相当に気が緩んでいたんだと痛感させられた。
そしてあの男はあの時寧音さんにしたように軽率に気軽に…息を吸う様に空音の唇を奪おうとした。
僕は何故かそれがとても嫌だった。
嫌で嫌で仕方無かった。
何故ここまで嫌なのか自分でも解らない。
でも嫌な感情が溢れて爆発しそうになった時…気が付いたらこのファミレスにいた。
どうやらあの後黒圭が出て来て一悶着あった末に今こうしてファミレスにいる。
ファミレスに行く様に促したのはどうも黒圭の方らしい。
何を考えているのかどう言うつもりなのか…
僕には全くわからない。
ただ彼は寧音さんにそっと近づいて"何か"をしたらしい。
彼はその何かを詳細には語らず秘密とはぐらかしたらしい。
「結局黒い圭って私達の味方で良いのよね?」
「え?」
猫舌な空音はホットなミルクココアをふーふーと息をかけてチビチビ飲みながらそんな事を言う。
「だってアイツ解らない事が多いし今回なんて秘密なんて言って来たのよ?隠してる事が多過ぎよ!アイツ」
「確かに…」
「それにアンタ、アイツが出てる時は記憶が一切無いんでしょ?なんか危なっかしいわ…」
「……結局僕にはどうしょうも出来ないし黒圭の事を信じるしか無いよ…」
「あ~もぉ〜!!もどかしいわね!私がアンタなら夢の中で取っ捕まえて全部吐かせてやるのに!」
「あはは…」
実際そんな事が出来たら苦労しない。
彼は基本、神出鬼没で僕の言う事なんて聞いちゃくれない。
大体コミュニケーションすら満足に取れないし僕がこうして前に出てる時、彼は何をしているのか見当も付かない。
ただハッキリしてるのはこうして空音と話てる時も彼は今を観察してるって事だ。
嫌な言い方をすれば僕は随時彼に監視されているって事だ。
それは…正直嫌だけど仕方ないと割り切るしか無い。
「とりま帰ろっか…家帰ったら夕飯用意されてるしこんな所で食べて帰ったらお母さんに怒られる」
「だね…あっ、それと家庭教師には気を付けてね…何かあったらちゃんと連絡してね!?」
「……!…ふふ、アンタに心配されるなんてね!明日は雪が降るかもね!」
「冬なんだし普通にあり得そうだよ」
「冷静に突っ込んでんじょない!」
そう言って僕等は解散した。
一応雪坂家の周りを確認して見たが人気は無くあの家庭教師はちゃんと帰ってるみたいだ。
まぁ家の中にいられたりしたら実際に帰ってるかは確認出来ないしわからないけど。
僕の中で不安が鎌首をもたげる。
しかし僕は全く心配する必要が無かった。
何故なら…
【大丈夫さ…アイツはいない】
何故か解らないけどそんな言葉が頭に響いてる。
そしてそれは僕に安心感を与えてくれる。
大丈夫なんだと信じるに値するものだった。




