第22話 冬休み、そして受験勉強。
時は流れる。
クリスマスは流れもはや過去。
寧音とクリスマスデートなんて身の丈以上の欲を出した結果手痛いしっぺ返しを食らったものの激動の学校生活でその事も圭にとってはもはや遠い過去になりかけていた。
学校では既にカーストトップグループのボス的ポジに祭り上げられ、自分達のあずかり知らぬ所で自分と空音がカップルみたいな物にされている事を知ったのは冬休みに入る直前の事だった。
どうもクラスメイト達の中で高嶺の花としてのポジを図らずも確立した空音はもはや一般男子が付き合える様な手近な存在ではなくなっているらしい。
そしてそんな空音に相応しい相手は今はカーストトップでクラスの中心で空音の幼馴染である鳴海圭以外にいないじゃん!と言うよくわからない理由で僕等はクラスメイト公認のカップルに祭り上げられているのが現状だ。
まぁ相田君が言うに
「まぁ本音は多分皆一緒で雪坂さんと付き合えたら最高だけどどーせ無理なら妥協点が欲しい!って感じなんじゃない?」
との事だ。
まぁそう言われてしまえばなる程と思わなくもない、好きな相手がずっとフリーなら俺にもワンチャンと思うけどその相手に恋人が出来てしまったら諦めも付く。
ただ僕が空音の恋人とか恐れ多いし空音も多分良い気はしないと思うんだけど今現在、目の前にいる空音はと言うと…。
「別にどーでも良いかな」
「えぇ!?良いの?」
現在僕等は冬休みの真っ只中。
迫りくる受験に向けて僕は空音に勉強を教わっていた。
受験先も同じと言う事もあり互いに問題を出し合ったりわからない所を聞きあったりして一緒に勉強する事になったんだけど空音は頭も良く僕が聞いてばかり…結局教えて貰う事の方が多い感じになってしまっている現状だ。
しかし勉強も一段落すると自然と雑談となり話題は必然的に最近の事が多くなって来ていた。
「別に周りが何言おうとアタシ等には関係なくね?」
「いやいや…空音は僕と恋人にされてんだよ?」
「うーん…よく考えるとさ、アンタと恋人って事にしといた方が色々と都合がいいのよね〜」
「な…何でさ…?」
「え?だって告白避けになるしさ?メンドーなんよね、告白断んの!それに今なら前みたいにアンタにイジメとかしよーって奴も出て来ないだろーしさ、いっそ付き合えばアンタも残りの学校生活平和に過ごせんじゃね?」
「ま…まぁそうかも知れないけど…」
「なによ?煮え切らないわね?」
空音は僕と恋人でも別に良いって事なのか?
男として見られて無いから気にもされてない?
それはそれで凹む。
「アタシさぁ〜恋人とか彼氏とか言われても今一ピンとこないんよね、でも絶対付き合わないといけない場合とかあるとするじゃん?」
「絶対に付き合わないといけない場合?」
〇〇しないと絶対に出られない部屋的な?
ヤバい…、変な想像したら顔が熱くなってきた。
「何想像してんのかしらないけど別にアンタが相手なら恋人でも彼氏でも別に問題ないかな~って思ったのよね」
「うえ!?そ…そうなの?」
「うん、アタシしょーらい結婚するならアンタで良いやって思ってたしさ、まぁアンタが嫌ってなら無理にとは言わないけど?」
「うぇええ!!!?」
「いやいやビックリし過ぎでしょ?」
「いやいやいやいやビックリするよ!!」
「え〜?そんな反応するとこ?皆恋人とか結婚とか重く捉え過ぎだよ」
驚いた…まさか空音がそんな風に思っていたなんて…てか空音は僕が相手でも良いって思ってるのかな?
いや、思ってるからこんな事を言い出したんだよね?
と言うか空音は恋愛観が他の女子と比べて適当だな…。
「周りの女友達の話聞いてると誰々と付き合ったとか別れたとか毎日の様に聞くのよね…なんてゆ〜か結局別れるなら最初から付き合わなきゃいーじゃんって思うのよね、アタシは恋人とか結婚ってずっと続く物だと思ってるから結果別れるくらいなら最初から恋人なんて作りたくないし付き合わないと駄目なら良く知ってる相手が良いなっておもったら消去法でアンタが一番妥当だと思ったのよ。」
「ああ…なる程…消去法ね…」
空音の言いたい事も分かる。
何となくでだけど…。
僕だって付き合うなら良く知ってる相手が良いし向こうにも知っておいてもらいたい。
………。
「僕は…寧音さんの事…何も知らなかったんだなって…」
「私は寧音じゃないしアイツがどうしてあんな事したのかも知らない…家にいても殆ど話さないし正直興味もない。」
「……」
「でもアイツがした事は最低だと思う…姉妹の関係を消したいと思うくらいに気色悪いと思うわ」
「……」
「ねえ?」
「え…?」
「アンタさ…まだ同じ高校受験しようと思ってるの?」
「え…と…まぁ…そうだね」
「……あんたさ…まだ姉に未練でもあるの?」
「未練か…、正直わからない…最近は色々あってあの日の事を考える余裕が無かったけど思い返すとやっぱり辛い気持ちになるし色々考えるよ…」
「……。」
「でも受験先を前の所から変えないのは寧音さんは関係ないよ」
「そうなの?」
「なんて言うのかな?…一度決めた目標なんだし…最後まで頑張ろうと思うんだ」
「っ!!……そうなんだ。」
「うん…こうして空音にも手伝って貰ってるしね。」
「そうね、私がこうして勉強教えてあげてるんだから途中で止めるなんて言ってたらぶん殴ってたわよ」
「ええ?暴力は反対だよ…」
「殴られたくないならちゃんと頑張ればいいのよ」
空音は穏やかな笑顔を向けてくれる。
不覚にもその笑顔にはドキリとさせられる。
空音と僕は周りから恋人認定されている。
けれど高望みなんてしちゃいけない。
下手に希望を持つとその希望がまやかしだと分かった時に傷付くのは自分自身なんだから…。
それでも…。
空音は僕との恋人関係を良好に思ってくれている。
たとえそれが打算的な物だとしても不快に思われてない事が分かったのは大きい。
幼馴染としてなんだろうけども…それでも…僕は素直に嬉しかった。
この時の僕は気付いてなかったし自覚も無かったけど…寧音さんの事よりも空音の事を考えてる時間の方が多くなっていたんだ。
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