第16話 成り上がり。
「ねぇねぇ!鳴海君!」
「彼女とかいるの!?いないんだったらさ…」
「ちょっテメェ抜け駆けすんなしっ!」
はぁ…。
面倒くせー。
浅はかだった。
実験も兼ねた能力の使用。
空音には効果の無かった俺に惚れさせる力はしっかりとその機能を発揮してくれた。
しかしかけたら解く事は不可能。
クラス内でのカーストトップに君臨する女子2人は完全に俺に惚れてしまった様でその顔をだらしなく高揚させ、ア◯顔一歩手前の雌そのものな表情で近寄ってきていた。
適当にあしらってもまるで効果が無い様でほとほと困り果ててしまっている。
教室内の生徒は空音含め俺達を怪訝な物を見る目で見てきている。
その中には光沢も当然含まれていた。
こんな状況が昼休み開始の現状まで続いていた。
しかしその現状を打ち砕く切っ掛けがようやく教室に戻って来た。
そう、山中大介だ。
彼は教室に入るなりその異様な雰囲気を直ぐに感じ取りその原因が鳴海圭にあると直ぐに察した。
そしてそれは間違いでもなんでもないただの事実だった。
「テメェ!2人に何したんだよ!」
「別に何も?」
嘘である。
しかし馬鹿正直に話す気もないし言ったところで頭の心配をされるだけだ。
能力で惚れさせた。
こんな馬鹿な話を馬鹿正直にしても誰も信じない。信じるのはおそらく一人だけだろう。
「そんな分けあるか!!テメェふざけやがって!!」
「ちょっとやめなさいよ!アンタケンカに負けたからっていい加減ダサすぎよ?本っ当!ダサ!!」
「アンタこいつの彼氏でしょ?なんとかなさいよ?」
「違うし!私はこれから鳴海君の彼女になるの!こんな雑魚野郎に興味とかもう無いし!!アンタも光沢君の所に行きなさいよ!」
「私だってあんな自己中男もーいいわよ!鳴海君のがカッコいいし!!」
「は?まてよ?待ってくれよ!なんで俺がフラれてんだよ!?」
「だってアンタ負けたの認めず無駄にイキっててダサ過ぎ!!てか鳴海君カッコ良すぎ!!」
「はあ!?」
勝手に話しが膨らんでいる。
迷惑この上ない。
カーストトップだか何だかしらないがいきがってる尻軽女の彼氏なんて真っ平ゴメンだ。
「なんども言わせんな、俺はお前らなんかの男になるつもりはないぞ?」
「え〜ヤダヤダ!!」
「彼女にして!してください!!」
猫なで声で媚びる女共。
所謂ぶりっ子と言う奴だ。
まるでそそられない。
しかし彼女等の変貌にとうとう怒りのボルテージが限界に来たのか山中は俺の胸ぐらをつかんで睨見つけてきた。
「テメェ?あんま舐めんなよ?マグレで勝っただけでちょーしにのんなや?なぁ?ええ?」
俺は黙って胸ぐらを掴む彼の腕を掴んで捻り上げた。
「いだ!?いだだだだ!!?やめろ!テメェいだだだいだい!?やめ!?」
「ちょーしに乗るなはお前だよ山中」
俺は手加減無しで山中の腕を締め上げる。
制服越しに腕の皮が筋肉が骨が悲鳴をあげる。
奴は涙目になり教室中に今誰が何をしているのかを見せ付けた。
山中はカーストトップグループのトップ的ポジティブにいる光沢のボディガードだ。
力が強く発言力もある猿山の大将的存在。
雪坂空音を狙う男子生徒達の中で皆が光沢に攻撃出来ないのは山中の存在が大きい。
しかしこの瞬間そのパワーバランスは崩れ去る。
皆が揃って目の敵にしながらも一番舐めていた相手が猿山のボスを力でねじ伏せたのだから。
鳴海圭はこの瞬間舐めてはいけない存在へと成り上がった。
もしこの小説を読んで少しでも面白いと思はれたならブックマークや↓の★★★★★を押して応援してもらえると幸いです、作者の執筆モチベーションややる気の向上につながります、お願いします!




