第14話 確認と好み
「ふむ。」
鳴海圭は自らの手をぐーぱーしたりして何かをたしかめていた。
(やはり俺の能力は効果があった…佐藤と渡井には機能していた。)
鳴海圭…いや、もう1人の鳴海圭。
本来の圭の中で目覚めた新たな鳴海圭には生まれながらに1つ、普通の人間には無い力がある。
それは性別的に女、雌に分類される生物を自分に惚れさせる能力だ。
これは人間に限らず生き物ならなんでも惚れさせる事が出来る。
まぁ畜生に惚れられても何の理もないし嬉しくもないので人間以外に使う気はないが…。
正直に言うと彼はこの力を幼馴染の雪坂空音にも使っていた。
惚れられたいとかそんな煩悩は無くただ単純に自分の力を試したかったからと言うそれだけの理由でだが。
囁いたり目を見たり間接的な手段は一通り講じたが一切効果が無かった。
肉体的なアプローチも試したいがおそらくは効果無しだろう…。
根拠はないがそう勘が言っている。
兎に角あの女子2人で試した所自分の力はちゃんと機能した。
では何故空音には効かなかったのか?
理由は今のところ不明だが効かないと言う事実は分かった。
どうも雪坂空音が特別なようだ。
「全く…面白い奴だ」
「うん?何が面白いんだ?」
隣の席の相田が問いかけてくるもそれを適当に流す。
「うんや?なんでもねーよ」
「………。」
「なんだ?」
「うーん…なんかお前雰囲気変わった?」
「そう見えるか?」
「おう!なんか垢抜けた感じ?自信に満ちてる様に見える」
「ふ、お前は良く見てるな」
「え?そうか?」
「ああ。」
本来の圭を通してこの相田と言う人間を観察していたから知ってはいたがこうして話してみて確信する、こいつには悪意がない。
俺達と純粋に友人として接してくれている。
(ふ、良かったじゃないか、少なくとも俺達はボッチでは無いようだぞ?)
しかしこうして周りを見るとこの教室は俺への敵意に満ちている。
何ともやりにくい物だ。
幼馴染の雪坂空音。
彼女と仲良くしたいが彼女が無意識に作る壁に阻まれてそれもうまく出来ない。
そんな雪坂空音から無償の施しをうける陰キャ。
それは明確な嫉妬となって鳴海圭に帰ってくる。
彼女にはこれほどまでの人気があるのかと心底驚かされた。
その人気者に近しい者は邪魔者となり排除の対象となる。
多分あの光沢大治も例外ではないのだろう。
イケメンで勉強も運動も出来るパーフェクトな色男、そんなのわかりやすい嫉妬の対象だ。
だから奴はあんな周りに自分の配下となる取り巻きを侍らせているのだろう。
(なんとも狡猾な奴だ、名前に光なんてついてるのが皮肉に思えてくるな。)
狡猾で邪で打算的。
腹黒でまさに真っ黒なクズ野郎だ。
しかし雪坂空音、面白い女だ。
俺の"惚れさせる"力が機能しないなんてどんな理屈だ?
興味深い。
こうなると是が非でも惚れさせてやりたい。
是非とも俺の女にしてやりたい。
正直圭には悪いが俺は寧音なんて尻軽より空音のほうが余っ程興味を唆る。
もう1人の圭は歪に微笑んだ。
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