第19回 顧雍、太子孫登の後見を命じられる
ある日、顧雍は孫権から呼び出しを受けた。孫権が言う。
「丞相、太子孫登の事をどう思う。」
「私如きが太子様の事を論じるなど、まことにおこがましいことではございますが、お人柄や政への取り組み方なども、多くの者の見本になられる非常に優秀な方だと思います。」
「そうか、丞相も認めてくれているのか。では、話が早い。丞相、今後は孫登の後見人として、その教導も頼みたい。」
「私が太子様の後見、でございますか。」
「ああ。どうやら太子は丞相のことを尊敬しているようだ。私なりにもかなり教育したつもりだが、今後は丞相に頼みたいと思う。」
「かしこまりました。私のできる精一杯のことをさせて頂きます。」
顧雍は拝礼して退出し、自邸に戻った。
すると、何と孫登が自ら顧雍を訪ねてきたという。
顧雍は自ら出迎えた。孫登が言う。
「丞相殿。今後、私の教導をしていただけると父から伺いました。至らぬ点は多いかもしれませんが、何卒、よろしくお願い申し上げます。」
「太子殿。わざわざお訪ね頂かなくとも、お呼び頂ければ、私の方から参上いたしますので、以後、そうして頂ければと思います。」
「しかし、父からは丞相殿を師として仕えるように、と命じられておりますので、ご容赦ください。」
「わかりました。もし、御用があればいつでもお越しください。」
こうして、顧雍は太子孫登の後見人となった。
その様な最中、一つの事件が起きるのである。




