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庭では昨日の夜会の反省会が行われていた。
「ヘレンお姉様は、辺境の砦に王都から派遣された騎士といい感じだったじゃない」
ジュリアが言う。
「でも、彼には王都に婚約者がいるらしいのよね」
ヘレンがガッカリしている。
「あーそりゃダメだ」
「でも、お姉様の方が好きなら、婚約破棄してくれるでしょう?」
「マルタ、そんな簡単に婚約破棄する男なんて信用できないでしょう?」
「それだけ私の事好きって事でしょう? むしろ、そう言う人と結婚したいわ!」
「ええ……。マルタって……」
ジュリアがマルタに引いてる。
私もマルタ寄りの考えだったのよね……。
でも、それで離婚した私には耳が痛い。
二人にじっと見つめられても、何も言えないわ。
「ヘレンお姉様はどうなの? 自分の為に婚約破棄してくれたら嬉しい?」
「そうね……」
ジュリアとマルタは無邪気に聞いてるけど、ヘレンお姉様はその騎士とは上手く行かないと思う。
辺境伯の長女なんだから、辺境伯を継いでくれる人じゃないと……。
王都に帰る騎士では無理よ。
元々、ヘレンお姉様にはちゃんと辺境伯を継いでくれる立派な婚約者が居たのよ。
ただ半年前に辺境に現われたドラゴンから近くの街を守って亡くなってしまった……。
ヘレンお姉様の婚約者は強くて頼りになる辺境一の騎士だったから、他にドラゴンを倒せる人はこの辺境には居なかった。
それで、王太子のフレデリックと公爵のコンラートがドラゴン退治にやって来たのよね。
で、どーしても私と結婚したいって言うから結婚したのに!!
コンラートのヤツは!!
ちょうど、コンラートが長距離転移魔法でやって来る。
庭で姉妹とお茶をしてる私の顔を見て近づいて来るが、すぐ引き返す。
「わー! 何やってんだ、クララ! 辺境の城が吹っ飛ぶぞ!!」
手のひらで魔法のエネルギーが青く光る。
ドラゴンにトドメを刺した魔法だ。
「当たったら、ものすごく痛いくらいの弱さだから、建物には影響ないわっよ!」
コンラート目掛けて青い光を投げた。
「痛いんだろう! そんなもの、本当に投げるなっ!」
コンラートは青い光に背を向けて、庭の真ん中の何もない場所に逃げたと思ったら、反転して青い光に向き合う。
スッと腰の剣を引き抜いて、青い光の間に切先を素早く通す。
パンっと弾けた青い光が煙のように風に流されていく。
「かっこいい!!」
見ていた妹たちが叫ぶ。
「……」
カッコ悪いとは言わないけど……!
「危ないだろう!」
文句を言いながらコンラートが来る。
「コンラート様、こんにちは」
姉と妹に挨拶されて、コンラートもにこやかに挨拶してる。
「今日は四人姉妹で一人お休みですか?」
「ちゃんと説明するって言ったでしょう?」
私が言うとコンラートは私の手をつかむ。
「ああ、そうだな、じゃあクララの部屋で……」
絶対に説明しないな、コレは。
私は掴まれてない方の手で青い光を作る。
この至近距離なら当たる。
「わあ! 話すからやめろ!!」
私は青い光を消した。
「いつでも使えるんだから、そこに座って大人しく答えなさい」
私はコンラートを私の隣に座らせる。
姉妹たちも興味津々で聞いている。
「仲がいいね、クララお姉様とコンラート様」
うんうんとうなずき合う妹たち。
「あなたたち、本当に離婚は成立したのですか?」
ヘレンお姉様に聞かれる。
「ちゃんと離婚届に『成立』って出たもの!」
「異議を申し立てるつもりだから、まだ成立してない!」
「申し立ててないんだから成立してるのよ! やる気があるなら二日も放置しないわよ!」
コンラートが黙る。
「それは……」
「何か事情があるんですね?」
ヘレンお姉様が言うけど、その事情をずっと聞いてるのよ!
「……もしかして、王太子のせい……?」
ジュリアが言う。
「何で、フレデリックが?」
急に関係ない人の名前が出てきて私は驚いた。
けど、コンラートの表情が動いた。
へ?
「王太子は、クララお姉様の事をコンラート様と取りあってたのよ!」
「今、異議を申し立てしても、王太子の権力で、確実に離婚を成立させられちゃうんだ!」
マルタが言った。
コンラートはバレたかって顔をしてるけど……。
「え? だから、なんで、フレデリックが?」
フレデリックがそこまで私にこだわる理由って何よ!?




