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離婚届を置いて出て行ったら、元夫が毎日訪ねてきます  作者: 唯崎りいち


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 私はマティアス様の閉じ込められ氷の柱に炎の魔法を使った。


 しかし、炎が風に跳ね返されて、上手く氷の柱を溶かせなかった。


「こういう時の事も考えて、風を吹かせていたのか? よく考えられた呪いだね」


「やっぱり、炎の対抗策を仕掛けてるなんて、氷のドラゴンだったのか?」


 ブチッ


「コンラート、うるさい! 今更、ドラゴンの種類なんてどうでもいいでしょう!」


 私は炎の魔法が通じなかった事もあって切れた。


 これじゃ、私が、役に立たないと思っていたコンラート以下になるじゃない!


 私は青い光を右手に集めた。


「ちょ、待て!!」


「それは、『ドラゴンブレイカー』……!!」


 そう、『ドラゴンブレイカー』の爆発力で?風の派生源と氷の大半を吹っ飛ばす!


 そして炎の魔法が通じるようにするっ!!


 もしも、『ドラゴンブレイカー』で、マティアス様が割れちゃったら、ごめんだけど、元々死んでも仕方ない計画よ!!


「わー! 待て! 溶けるのに時間がかかると思って、こっちの準備がまだだーー!!」


 それは、早くやっといてよ!


 風が止んで氷がなくなった場所に、コンラートが簡単に入って行く。


 手前の氷の山がなくなっただけで、マティアス様が閉じ込められてる氷の柱はびくともしてない。


 私が炎の魔法を使うと、フレデリックがマティアス様の夢の中に消えて行く。



 ソフィーは心配そうな顔をしているけど、魔法の光がすでにいつでも発動出来るように準備されていた。


 私の炎魔法がじわじわと氷の柱を溶かして行く。


「マティアス! 見ろ! お前が、ヘレンの為に用意した髪飾りだ! 渡せなくなってもいいのか!」


 コンラートがマティアス様に呼びかけてはいるけど、氷の中に固く閉じ込められたマティアス様の反応はない。


 夢に中のマティアス様の意識はどうなっているんだろう?


 フレデリックはまだ出てこない。


 見た感じだと、まだ氷の柱の中に閉じ込められているみたいだし、呪われて意識はまだ夢の中だろうけど、氷の厚さがじわじわ薄くなって行く。


 ソフィーの顔に汗と焦りが滲む。


 薄くなった氷がマティアス様の肩でパリッと剥がれた。


 肩だけ露わになったマティアス様の身体は呪いに氷らされているようで、呪いに守られて、本当の凍結を拒んでいる状態だ。


 呪いが解けた時に、本当の冷気がマティアス様を凍らせて死に至らしめる。


 その瞬間が近づいている——!


 スッと、フレデリックが現れた。


「ソフィー! マティアスが夢から醒める!」


 ソフィーが手に準備していた治癒魔法を完成させると、素早くマティアスに放つ!


 マティアスの身体がピクッと動いた。


「やったー!」


 フレデリックの声に、私ちソフィーも喜んだ——のに、冷気が——再びマティアスを襲う。


 パリパリっと服や髪が凍って行く——!


「マティアス! この髪飾りをヘレンに渡したくないのか!?」


 コンラートが手のひらに乗せた髪飾りを見せる。


 パリパリっと凍って行く——。


「髪飾りと一緒にあった、箱の中身の事を話すぞー!!」


 コンラートの声に、再びマティアス様の身体が動くっ。


 パリンッ


 氷が割れて、マティアス様を包んでいた冷気が、暖かい風になって渦を巻く。


 ジューッと、氷たちが跡形もなく消える。


「絶対に、やめろ!」


 マティアス様がコンラートの肩を掴んで立っていた——。


「あ、はい……」


 コンラートはマティアス様の迫力に唖然として、髪飾りをてから落とす。



「マティアス様っ!」


 私とソフィーがマティアス様に駆け寄る。


「クララ様、ソフィー様。お二人が助けてくれたのですか?」


 私とソフィーはうなずいた。


「フレデリック王太子と、コンラート公爵が手伝ってくれたのよ」


 私の言葉にマティアス様は驚いていた。


「王太子と公爵……」


 それから、ヘレンお姉様がどれだけマティアス様の死を悲しんで、悲痛な覚悟をしているのか……。


「ヘレン様が……俺の為に……」


 マティアス様は赤くなって、でも、他の男と結婚しようとしている事に嫉妬したりしていた。


「この髪飾りをヘレンお姉様に渡したらとてもお喜びになると思います」


 ソフィーが、コンラートの持っていた髪飾りを拾ってマティアス様に手渡す。


「ありがとうございます。ところで、領主館にこれと一緒に置いておいた箱は……」


「そのまま、置いてあるわよ。この髪飾りに合うドレスが入っているんでしょう? 取って来て髪飾りと一緒にヘレンお姉様に渡しましょう!」


「ええ、そうします」


 マティアス様が言う。


「ドレスだけか……?」


 コンラートが口を挟み、マティアス様に笑顔で肩を掴まれてる。


「あ、ドレスだけですね、きっと」



 そして、私たちは、フレデリックの魔法で遺跡を後にする。


「ほら……俺の方が役に立っただろう……クララ」


「そう? 恥をかいた気がするわ」


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