25
「改めて、助けていただき、ありがとうございます」
マティアスが、フレデリックの魔法で遺跡の外に出てから、私たちに礼を言う。
「早くヘレンお姉様に会って欲しいけど、まずは北の街の領主館に行きましょう。マティアス様の荷物もあるけど、北の街の人たちは自分達を助けたせいでマティアス様が死んでしまったと思っているから、生きている事を知らせてあげないと」
それで領主館に行ったけれど、思った以上に歓迎されて、夜の宴を断れなかった。
そして泊まる部屋は、マティアス様は自分の荷物がある部屋で——。
「クララは俺と一緒だな」
「そうね」
「は?」
コンラートは、私が自分と同じ部屋になると言ったから、驚いていた。
「私はコンラートが好きだし、どれだけ服従出来てるか確かめないと」
コンラートだけじゃなくソフィーも私の行動に驚いていたけど、
「フレデリックなら大丈夫よ、ソフィー」
「クララお姉様……」
ソフィーはうなずくと、フレデリックを見た。
「フレデリック様、お願いします」
ソフィーがフレデリックに頭を下げる。
◇
お、お願いって何を!?
僕はソフィーと同じ部屋にいた。
ソフィーが真っ赤になっていた。
「あ、僕は、こっちのソファで寝るから……」
「え……はい……」
ソフィーががっかりしたようで……僕は間違えた?
「フレデリック様……ありがとうございます」
にこりと笑うソフィー。
あ、間違えてなかった。
僕はホッとした。
けど、がっかりもする。
「……ソフィー……どうしても嫌だったら断っていいけど、君のこと少しだけ抱きしめていいかな……」
「……はい、ずっとフレデリック様に……抱きしめて欲しかったです……」
……っ!
ソフィーが僕にずっと抱きしめて欲しかったって……。
「もう少しいい? ソフィー」
「はい……!」
結局、少しじゃ離れらせずに、抱き合って朝まで眠る事になった——。
◇
「愛してる、クララ……」
コンラートが私の耳元で囁く。
やっぱり、身体が溶けていくみたいで……。
「すぐ俺にメロメロになる。やっぱ、俺のこと大好きだな、クララは」
「そうよ。だから、ちゃんとやりなさい」
「……なんで、そんな偉そうなんだ……」
「お姫様だもの、私」
コンラートは呆れたようにため息をついた。
「愛してる、お姫様……」
私はコンラートの頬をつねった。
「態度が悪い。ご褒美は要らないの!?」
「ご褒美ってなんだ?」
不満を言いつつ、コンラートはちゃんとやるようになる。
私は目をつぶってコンラートの囁きを聞いていた。
自然と言葉が溢れる。
「コンラート、大好き。愛してるわっ!」
「——っ!」
コンラートがますます優しく私に囁く。
ヨシ! 絶対服従できてる!
コンラートといるだけで、幸せな気分になれるわ——。
次の日には早めに辺境伯城に帰ったけど——マティアスが生きていた事はすでに伝わっていて……。
「マティアス様——っ!」
ヘレンお姉様が北の街から知らせを受けて、ずっと待っていた。
「ヘレン様——っ!」
マティアス様はヘレンお姉様を抱きしめてた。
本当に二人の想いが通じ合った瞬間が見れた。
その日の夜も、辺境伯の城で宴があった。
ヘレンお姉様はマティアスから送られた、髪飾りとドレスを着て、今までで一番綺麗だった。
「下着もお揃いだからね、きっと」
ヘレンお姉様が言った。
多分、マティアス様が、セットで売りつけられたのね……。
コンラートが知ったらドヤ顔しそう。
宴ではヘレンお姉様とマティアス様の結婚式の日取りが発表された。
「おめでとう、ヘレンお姉様!」
妹のジュリアとマルタも祝福してる。
「私も結婚式したかったわ」
あっという間に結婚してしまって、式なんてやる暇がなかった。
結局、離婚届は無効にして貰って、私とコンラートは夫婦に戻ったけど。
「じゃあ、すればいいだろう、結婚式」
コンラートは言うけど、改めて結婚式をするほどじゃない。
「ただ、ウェディングドレスが着たいだけだし……」
ソフィーとフレデリックがいる。
「二人の結婚式に、ドレスだけ着よう。双子が一緒にウェディングドレス着てたら可愛いでしょう?」
コンラートは想像して、うなずく。
「早く結婚してよね、ソフィー、フレデリック!」
二人が驚いてる。
「結婚って……」
「クララお姉様……」
なんだか時間がかかりそうな二人だ。
「とりあえず、ここでキスして」
「ええ!?」
ソフィーとフレデリックは驚いてる。
二人の結婚式は、ヘレンお姉様とマティアス様の結婚式の後——一年後になった。
ソフィーたちと一緒に、正装のコンラートとウェディングドレスの私が並んでいた。
「綺麗だよ、クララ」
「当たり前よ」
「一応、言っただけだろう」
「一応って何よ! ちゃんと言いなさい!」
もうとっくに仲の良すぎる夫婦だったけど!




