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離婚届を置いて出て行ったら、元夫が毎日訪ねてきます  作者: 唯崎りいち


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「コンラート下ろして」


「やだ」


 ガッ


 私はコンラートの顔面に拳を入れた。


「ソフィー、私、ヒールの靴を持ってきてるから、ブーツを貸してあげるわよ」


 地面に降りた私の提案に、フレデリックがあからさまに嫌そうな顔をする。


「本当ですか? あ、ありがとうございます……クララお姫様」


 ソフィーもちょっと残念そう。


「あ、クララお姉様のブーツ、履き心地が全然違います。やっぱり、私のブーツは最初から壊れていたみたいです……」


 壊れた靴を履き替えてソフィーは、反省しつつ、歩き易さに嬉しそう。


 フレデリックは不満顔だけど。


「フレデリックはソフィーと手をつなげばいいでしょう。私とフレデリックはここまで一本道だったのよ? きっと、ソフィーの方の道も同じでしょう? 何処かに抜け道があるんだから、探すわよ」


「ああそうか、なんかもうどうでも良くなってたけど、マティアスが閉じ込められてる氷の部屋を探さないとね」


 ソフィーをお姫様抱っこするのが目的じゃないと、フレデリックが思い出してくれたようだ。


 ソフィーと手をつないで、二人で来た道を戻ってる様子は、また忘れてそうだけど……。


「コンラート、私たちはこっちよ」


 フレデリックとソフィーとは逆方向を探す。


「手は?」


 コンラートが手を出しけど、私は叩いて避けた。


「コンラートの手は湿ってるから嫌」


 嫌なのにソフィーの真似しても楽しくない。


「……じゃあどうすればいいんだよ」


 私はギュッとコンラートの腕に巻き付いた。


「これならいいわ。ううん、これが良かったの」


「待て、俺がする事がないっ!」


「そんなのに知らない。早くマティアス様のいる場所への抜け道を探して」


 私とコンラートは戻りながら抜け道がないか探したけど、結局、最初の部屋に戻ってしまう。


「ここに何かあるの? ちょうど、反対の同じような部屋同士をぐるっと通路で囲んで、真ん中に何かありそうな形だけど……」


 コンコンと壁を叩くと、コンコンと音がしてした。


「——ッ!」


 きっと反対側にい人がいる。


「ソフィー!?」


「……クララお姉様」


 小さな声が聞こえた。


 すぐ壁を挟んでそこにいるんじゃなくて、空間を開けた向こうの壁からソフィーの声が聞こえてきてるようだった。


「ここ、やっぱり、部屋がある」


 私とコンラートは目を凝らして壁を探し。


 ソフィーたちも反対で探してるみたい。


「ちょっと、こっちを探すんだから、勝手に反対に行かないで!」


「腕を離せば良いだろう!?」


「私が離したくなった時に離すわ。それまでは、ちゃんと言うことを聞いてなさいよ」


「……なんだ、そんなにくっついていたいって、クララは俺のことやっぱり好きなんだろう!」


「当たり前でしょ。そうじゃなきゃ結婚なんてしないもの」


「……クララ!」


 コンラートが私から腕を引き抜いて抱きついてくる。


 ドガッ


「だから、私が離したくなった時に離すって言ったでしょう!」


「どっちだっていいだろう!」


「どっちでもいいなら、黙って私の好きなようにさせなさいよ、コンラートは」


「どっちでも良くなかった……クララの事は、

俺の好きなようにする!」


 コンラートの本音が出た。


「そんなの嫌なの! 私の方がコンラートの事を好きなんだから、私のしたいようにするの!」


私とコンラートは睨み合った。




 ガララ……


 ソフィーの声が聞こえた方の壁が開く。


 ソフィーとフレデリックが立っていた。


 フレデリックが壁を横にズラして開けたらしい。


「何をしてるんだ?」


 私がコンラートの片腕に抱きついて、コンラートは反対の腕を私の背中に回している。


 そして、お互いに視線は外さず睨み合う。


「いつものクララお姉様です……」


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