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「ちょっとフレデリック、私とは手をつないでくれないの!?」
コンラートとクララと別々の道を行くことになって、最初の小部屋を出ると、細い通路が続いていた。
通路には途中、階段があって上がったり下がったしている。
「え? クララは前にドレスでドラゴン退治しただろ? 防具屋の防具ならもっと歩きやすいし、手なんてつながなくて平気だろ?」
本当に平気だと思ってるようにフレデリックは言う。
「ドレスの方が着慣れてるからヒールの方が歩きやすいのよ。防具屋のブーツなんて慣れてないからバランスが取りづらいわ」
「そうなのか……ソフィーは大丈夫だろうか——っ!」
「って、目の前の私を心配しなさいよ! 歩き辛いって言ってるでしょうーが!」
フレデリックはやっと、私の手を取って階段を降りてくれた。
「コンラートにも素直にそう言えばいいのに」
フレデリックが、今は関係ない事を言う。
「コンラートは言わなくてお姫様抱っこで降りてくれるし……」
自分で言って気付く。
言わなくても分かるって、完全にコンラートを信じて甘えてる。
「……何っ?」
フレデリックの全部わかってるよみたいな微笑みがムカつく……。
でも、好きな人をどれだけ好きかって、知られたからって恥ずかしい事なんてないのに……マティアス様の事は『ドラゴンブレイカー』を習得するくらい好きだってみんなに言えたのに……。
私の『ドラゴンブレイカー』を避けた事が、ヘレンお姉様がマティアス様を本当に好きにさせるキッカっけになったんだけど……。
フレデリックと手をつないで階段を降りていると、楽しげな声が聞こえた。
コンラートがソフィーをお姫様抱っこして、楽しそうに話していた……。
コンラートは私とフレデリックに気付くと「あ、ヤバい」って顔をする。
『ドラゴンブレイカー』はソフィーに当たるか……。
「コンラート……ソフィーをこっちに渡しなさい」
「絶対にやだ、殺される」
「ソフィーを人質に取るの、最低ね」
「目の前の二人に殺されそうなんだ、この状況では人質にするしかないだろうっ!」
じわりじわりと後ろに追い詰められて行くコンラート。
「待って下さい! クララお姉様、私のブーツが壊れてしまったから、コンラート様は抱き上げて運んでくれたんです!」
見ると本当にソフィーのブーツはかかとが剥がれて、底が抜けそうだった。
「私と同じブーツなのに……不良品だったの?」
「たぶん、そうです。ごめんなさい、私が最初に気付いていれば……」
「それはしょうがないないわよ、ソフィー。冒険者用のブーツなんて初めて履いたんだし」
「そうだ……ね……」
フレデリックの歯切れが悪い。
コンラートがソフィーをお姫様抱っこしてる図のショックから回復出来ていない。
「クララよりは重くないけど、ソフィー
も重い。フレデリックが変わってくれ」
ガンッ!? と、コンラートの言葉にショック状態のソフィー。
「って、なんで比較が私なのよ! 双子で体型も変わらないんだから、そんなに重さは変わらないでしょう!」
「心理的に……」
「じゃあ、私の方が軽いはずじゃない!」
ソフィーはフレデリックに抱き上げられる。
「全然軽いよ、ソフィー」
「フレデリック様……」
どっちも真っ赤になってる。
ソフィーはフレデリックと手をつなぐだけで満足してたのに、お姫様抱っこまでされて、かなり恥ずかしそうだけど、嬉しそうでもある。
「わっ!」
私も何故かコンラートに抱き上げられている。
「あ、思ったより軽いな」
「だから体重はソフィーと同じだって」
「水を吸ったドレスの時は酷かったぞ」
「それは仕方ないでしょう」
結局、また私は当たり前みたいにコンラートに甘えてる……。
だから、これが自分の本当の気持ちなのか分からなくなる——。




