表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
離婚届を置いて出て行ったら、元夫が毎日訪ねてきます  作者: 唯崎りいち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/25

12 過去編

 私とコンラートは結婚したんだけど、その前にフレデリックから妨害をされた。


 王太子の権力を使って、王命で私と結婚しようとしたり、辺境と王国の取引での優遇措置を止めるように言ったり、私の『ドラゴンブレイカー』は国で保護すべきだと言ったり、私とコンラートの婚姻前の既成事実を問題化したり。


 ただ、私の人となりを知られていくうちに、『暴れ馬』を王妃には絶対にさせられないという結論に達したらしく、コンラートが結婚したいならコンラートに押し付けようという事になったらしい。


 『暴れ馬』ってなんでよっ!


 私はハラハラして推移を見守っていたのに『暴れ馬』と呼ばれるし、コンラートにはこうなると思っていたと言われる。


「ちょっと待ってよ! 『暴れ馬』って呼ばれると思っていたの!?」


「的確な表現だよなぁ」


 私はコンラートを蹴った。


「そういうところが可愛いよな」


 コンラートに抱きしめられたけど……私が『暴れ馬』なら、コンラートはなんなのよ!




「王太子殿下と公爵様に取り合われるなんていいなぁ」

「私も『ドラゴンブレイカー』の練習しておけば良かった。ドラゴンが出るなんって思ってないし、人に向けて使うなんて危ないからやめたのよね」


「妹は常識があるんだな」


 コンラートが感心してる。


「マティアス様も背後から急に攻撃されて驚いていたものね」


「……背後からだったのか……避けたマティアスすげーな」


 コンラートは姉妹たちとも仲良くなったけど、ソフィーは風邪が治り切らずに、部屋にこもっていた。


 結婚式をしたかったけど、フレデリックの妨害も続きそうだし、ソフィーには出席して貰えないだろうから、やらない事にした。


 こうして、コンラートに出会って三ヶ月目で結婚して、私は王都の公爵家へ嫁入りした。


 なのに——


 その日から、コンラートは公爵家へ戻らずに、女の家を転々と渡り歩くようになった。




 私が公爵家についた最初の日に、フレデリックに王宮に呼ばれて帰って来なかったコンラート。


 それは、またフレデリックの妨害だと思った。


 けれど、二日目も、三日目も、四日目も帰って来なかった——。


 五日目に使用人たちが話していた。


「コンラート様は、今日は伯爵家の令嬢のところらしいわよ」

「昨日は侯爵家の令嬢のところだったんでしょう?」


 はい? フレデリックのところじゃないの……?


 は……っ!


 どういう事よ、コンラート!


 私が『暴れ馬』だって言ったのはあなたでしょう?


 ちょっと、王都の中心で『ドラゴンブレイカー』をぶつけてあげるわ!



「奥様っ!! お待ちください!」


 公爵家の執事やメイド、使用人たちがズラッと並んで床に頭を付けていた。


「クララ奥様の事はコンラート様から聞いております。すぐに手が出る『暴れ馬』のような方で、浮気などすればどんな事態になるのか、考えが及ばない旦那様ではありません。きっと何か事情があるのです。どうか、コンラート様が帰って来られて事情を説明するまでお待ちください!」


 コンラートの為に必死に私を止める使用人たちを、薙ぎ倒して出て行くわけにはいかない。



 そして、コンラートは一ヶ月後に帰って来た。


「コンラート!」


 私は怒っていた事も忘れて、コンラートに抱きついた。


「会いたかった……」


「俺も会いたかった。愛してるよ、クララ」


 コンラートが私にキスした。


 コンラートが帰って来て、これでもう安心だと思ったのに。


「出て行った!? コンラートが!?」


 私に何も言わずに、数分だけ戻って出て行ってしまう。


 それから、一か月が経ち、二か月が経ち——。


 私は離婚届を置いて、公爵家を出て行った。



 僕は彼女を救いたいだけなのに、『呪い』に全ての手を封じられてしまった。


 ——だから、もうこの手しかなかった。


 これをすれば『呪い』は消滅する。


  せめて、王都で新婚生活に胸を踊らされてるコンラートには、伝えておこうと思った。


「——なんでっ! なんでそんなことをしたんだ、フレデリックっ!?」


 親友の悲痛な声が僕の部屋に響いた。


「彼女を救う為だ——!」


 僕だって、親友の愛する人を消滅させるなんてしたくない。


 でも、そうしなければ本物の彼女が死んでしまう……!


 宴の夜に出会った、きらめく涙を流す、儚げなクララ——。


『——これで、呪いは永遠になる——!』


 永遠に『呪い』に身体を乗っ取られてしまった彼女を、僕はどうやっても助けたい!


「——勝手なこと言うなっ!! 今のクララが『呪い』でも、俺が好きになった人だ!! 絶対に消滅させたりしない!!」


 コンラートが僕の部屋を全速力で走って出て行く。


「絶対にクララは俺が守る——!!」


 ……それは、僕が守りたい『クララ』じゃないんだ、コンラート——。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ