第二話:最初の獲物、死霊魔術師マラコルの捕縛劇
【前書き】
ここからラインハルトによる、売国奴どもへの血の大粛清が本格的に始まります。
北部戦線の地獄を共にした3000人の「黒い親衛隊(SS)」、その圧倒的な冷酷さと組織力をお楽しみください。
「まさか、あの最底辺の泥泥兵上がりが、本当に全権を握るとはな……」
宮殿の奥深く、私室のふかふかのソファに腰掛け、魔将軍マラコルは不機嫌そうに高級ブランデーを口に含んだ。
彼の周囲には、いまだに戦場から持ち帰った死体の山から放たれる、微かな死霊魔術の残滓が漂っている。
マラコルは、ラインハルトを傀儡のトップに据えたつもりだった。歴史の泥を全て被せ、自分たちは裏で甘い汁を吸い続ける予定だったのだ。
だが、広場でのラインハルトの演説、そして突如として現れた「黒い外套の兵士たち」の存在が、彼の胸に小さな焦りを生んでいた。
「フン、所詮は3000人の負け犬どもだ。我が私設の死霊騎士団が動けば、一瞬で肉塊に変えてくれるわ」
そう自分に言い聞かせ、マラコルがグラスを置いた、その瞬間だった。
――ズガァァァァン!!!
重厚なオーク材で作られた私室の扉が、凄まじい爆音と共に吹き飛んだ。
爆煙の中から現れたのは、漆黒のヘルメットと外套に身を包み、冷徹な仮面のような無表情を浮かべた兵士たち。ラインハルト直属の『黒い親衛隊』だ。
「な、何奴だ!? ここを誰の部屋だと思っている!」
マラコルが立ち上がり、激昂する。
しかし、兵士たちは一切怯むことなく、一糸乱れぬ動きで部屋を包囲した。そして、彼らの真ん中を割り、軍靴の音を響かせながら一人の男が入ってくる。
泥の軍服を脱ぎ捨て、一切の無駄を削ぎ落とした漆黒の総統服に身を包んだ男――ラインハルトだ。
「夜分遅くに失礼する、マラコル大将。……いや、元・大将と言うべきか」
ラインハルトの瞳は、まるで凍りついた湖のように冷たかった。
「ラインハルト……! 貴様、狂ったか! 自身の立場を弁えろ! 私を誰だと思っている、最高魔将軍の一人、マラコルだぞ!」
「ああ、知っている。国家反逆罪、および外敵への物資横流し、さらには味方兵士への禁忌魔術使用による大量虐殺の主犯だ」
ラインハルトは懐から、赤い魔導スタンプが押された【逮捕状】を取り出した。
「容疑は国家不敬罪、並びに祖国反逆罪。……総統命令に基づき、貴様を現行犯で逮捕、および財産を全て没収する」
「ふざけるなッ! 貴様如き若造に、この私を裁く権利など――」
マラコルが激怒し、その両手に禍々しい紫色の魔力を集め始めた。最上位の死霊魔術が発動すれば、この部屋の周囲一帯の生命力が吸い尽くされる。
「死ね、生意気な餓鬼が! 【デス・リザレクション】!」
だが、魔術が完成するよりも早く、ラインハルトが冷酷に右手を上げた。
「撃て」
――パン、パン、パン!
短く、正確な3発の銃声。
親衛隊の放った特殊な【魔力封じの銀弾】が、マラコルの両肩と右膝を正確に撃ち抜いた。
「ぎゃああああああっ!?」
魔術が霧散し、マラコルは血を流しながら高級絨毯の上に無様に転がった。
「馬鹿な……! 私の防御結界が、ただの銃弾ごときに……!?」
「ただの銃弾ではない。貴様らが敵国に売り飛ばそうとしていた魔導結晶を逆加工した、我が親衛隊特製の弾丸だ。貴様らの汚い金が、回り回って貴様らの肉体を穿ったのだ。因果応報だろう?」
ラインハルトは倒れたマラコルの頭を、容赦なく軍靴で踏みつけた。
「ひっ……う、動けない……魔力が、練れん……」
「連れて行け。中央広場に処刑台を設置しろ。明日、国民の目の前で、この豚を最初の『生贄』とする」
「ま、待て! ラインハルト! 金ならやる! 隠し口座の場所を教える! だから命だけは――!」
見苦しく叫ぶ元将軍を、親衛隊の兵士たちはゴミのように引きずっていく。
部屋に残されたラインハルトは、窓の外の暗い首都を見つめた。
「まず、一人目だ。……残り3人」
新しき総統の冷徹なる大粛清は、まだ始まったばかりだった。
【後書き】
第二話をお読みいただき、ありがとうございました!
ついに4大魔将軍の一人、マラコルが捕縛されました。明日はついに、公開処刑の時です。
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