最強なら、悪役で - 運を持つ、主人公とで
まだまだ続く異世界ファンタジー
今日は素晴らしい日だ。
天気は晴れ晴れとしていて、花々が踊り、小鳥が囀りまわっている。
街を生き人々も心なしか、皆笑顔だ。
こんな日は自宅でゆっくりと、テレビを眺め、お茶を飲むのが……
「緊急ニュースです。ラベリオスが何者かに滅ぼされたとの速報がありました。」
お茶を吹き出した。
今なんて言った?
「しかし死体が一つも発見されず、現在も行方を捜索中です。また、一つの不自然な家が建っており━━」
ピッ。と、テレビを消した。
夢か何かか?
いや、おそらく集団夜逃げでもしてそれをテレビが偏見報道でもしているに違いない。
そうだそうだ。
あ、そう言えば今日は友人のサムが来る日だったな。
そろそろ来るはずだが……
バーンと、大きな音を立てて扉が開いた。
この扉の開け方はサムだな。
「やあ!今日も元気かい?」
「おはよう!今日はいつもより元気だね。何かあったのかい?」
「あはははは!聞いてくれよ!」
「なんだい?」
「なんとな!俺の親父死んじまったんだよ!ダハハハハ!」
「は?」
「いやほんと…ハァアハハハハ!お思い出すだけでも!」
……おかしい…笑っているのに、泣いている……。
そんなの……!そんなの!
「ハハハハハハハっ!」
なぜだ?笑ってしまう……。
息が!続かない!
「助け……アハハ!」
助けを求めて、外に出た。
だめだ、全員笑っている。
薄れていく意識の中、空を飛ぶ、笑顔の少女が見えた。
他のとは違う、狂気の…笑顔……だ…。
●
桜が、笑顔になって死にゆく人々を見て、うっとりとしている時。
「惨たらしっ。」と、女神が引いていた。
「退屈凌ぎにはなったでしょう?」
「あんた鬼ね。」
「天国から来たから天使。」
「なら堕天使ね。」
「ありがとう。」
その時、女神がハッとしたように言った。
「まずい!奴がやってくるわ!」
「奴?」
「この世界の主人公よ!」
気がついた頃には時すでに遅し。
いかにも異世界系の主人公な顔をした人が、桜を見上げている。
主人公は、周りを見てから、口をゆっくり開く。
「これはお前がやったのか?」
桜は、落ち着いて返答する。
「だから?」
「聞いたぞ……ラベリオスもお前が滅したんだろ?」
「そう。快く私の糧となってくれたわ。」
「お前……!」
主人公は声を振るわせ、怒る。
「やっぱり、運がいいな。HPも、装備だって万全だっ!」
いきなり、主人公が桜に切り掛かる。
「ねえ!大丈夫なの?!」
女神が心配する。
「大丈夫。」
主人公が放つその攻撃全ては、クリティカルとなり、桜のHPを勢いよく削る。
「どうした!お前は数々の人々を殺したんだろう!?反撃も無しか!」
斬撃が放たれる中、桜が語りかける。
「ねえ、あなたは運のステータスが最大なのよね?」
「━━それがどうした!」
「あなたはそれが最強だと思っているようだけど、それは違う。」
桜のHPが、1で止まった。
主人公は攻撃を続けるが、それでもHPが減らない。
「運というのはね、勝てないのよ。主人公補正に。」
「「は?」」
今驚いたのは、主人公と、女神だ。
「補正がある限り、主人公は死なない。そして━━」
『/[{□□}{□□}] ⌘ ☍:shezuku ✴︎;』
『/[{△△}{△△}] ↠ ☍:All directions✴︎;』
桜は二つの魔法を詠唱した。
一つは、主人公ではない女神を守るためのオリハルコン生成魔法。
もう一つは、大爆発弾発射魔法。
どちらも極の威力だ。
世界は一瞬にして地獄の炎に焼き裂かれた。
「そして、主人公は主人公として認識されなければ、ただの一般人。ねえ、主人公はどっち?」
桜はいきなり女神に聞く。
「──あんたよ。」
女神は答えた。
HPが1となった主人公……いや、もう主人公ではない、桜の敵は、呆然としている。
「運というのは、避けられなければ意味がない。」
いや、桜の敵ですらないのかもしれない。
桜はまた大爆発弾発射魔法を唱え、そして……。
一つ、世界が消滅した。
◯
2人は、天国に戻ってきた。
「たっだっいまー!」
「ただいま。」
「それにしてもあんた、あんなことできるなら最強じゃない!」
「主人公補正のこと?」
「そうそう。」
「あれは、元々の世界の主人公とレベル差が広ければできない。」
「ふぅ〜ん……あれ、あんたに主人公のレベル教えてたっけ?」
「教わってない。だから、賭けた。」
「度胸あるわね……。」
チラリと、女神がちゃぶ台を見る。
そこには行く時にはなかった封筒がある。
「おっ!」
「それは?」
「お給料よ〜一応お仕事なんだからね!」
「汚い金。」
「あんたがいう?ま、これで焼肉でも食べに行きましょ!余ったお金はスキル取得に使いましょ!……変なスキル買わないでよね?」
「大丈夫。」
ものすごく不安になる、女神だった。
続く……




