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虐げられた令嬢が黒炎の騎士様を拾ったら溺愛されて幸せになりました〜実は腹黒いなんて聞いてません!〜  作者: 漆原 凜


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4/5

逃げられない

ローズマリー様は意外と沢山お金をくれた。それほど悪い虫を追い出したかったのだろう。この先どうしよう…ため息が出る。公爵家のご飯美味しかったな…。この短期間に生家から逃げさらに公爵家からも逃げて何をしているのだろう。


落ち着く所見つけたいな。


しばらく辻馬車を乗り継ぎ走るととても落ち着いた街に出た。素敵な街。ここにしようと思い辻馬車を降りる。


「こんにちは。お一人ですか?」


ベンチに座り街を見ていると、綺麗なご婦人に声をかけられる。


「住む街を探してまして綺麗だなと思い見てました。」


「この街は整備されていて、とても住みやすいのよ。でも今は夫婦だけだから寂しくて…まだ宿が決まってないなら今日家に泊まらない?」


突然の提案に申し訳なく断わろうとしたけど、どうしてもとの事で断りきれず泊まらせていただく事になった。ご夫婦はとても優しく招き入れてくれ、名前も知らない私に優しくしてくれて申し訳くらいだ。


「この人ロイドっていうの。私はハンナよ。」


「アリスと申します。泊めていただきありがとうございます。」


ロイド様とハンナ様は仲が良く、家は息子に任せて王都から離れ領地にきているらしい。ご飯にしましょうと誘ってくれ快諾する。


「凄く美味しいです!」


レイ様のお家で食べたのと同じくらい美味しい。食に興味があって毎日の食事は重視してるのよとハンナ様が言っている。


「こんな娘さんなら食べさせがいがあるわー。うちの子達はあんまり言ってくれないのよ。無表情で食べるだけ。」


「こんなに美味しいのに?美味しすぎて自然と笑ってしまいます。」


「アリスさんはご結婚の予定とか無いのかしら?うちの子に嫁いで欲しいわー。こんなお嫁さんなら毎日楽しいでしょうね。」


「こら。迷惑だろ。アリスさんにも事情があるのだから無理強いをしない。」


ごめんねって謝ってくれる。レイ様みたいに優しい。やっぱりレイ様の所に居たら良かったかな。


「私…好きな人がいるのですいません。」


いいのよ。応援してるわねって言ってくれ、ハンナ様が慌ててハンカチを差し出してくれる。え?と思ったら涙が出ていた。大丈夫?て2人は気遣ってくれる。


「私は母を早くに亡くしていて、父はすぐ後妻を家に呼び…ずっと1人でした。お2人の優しさに両親が居たらこんな感じなのかなって、つい…」


「今日だけじゃなくいつでも来ていいのよ。何ならこのまま住む?」


いえ、また遊びに来させてくださいと伝える。いつでも来てねって言ってもらえ嬉しい。この街に来て良かった。


次の日2人とお別れをして街を散策し住むところを探す。なかなか難しい。ベンチに座り眺めていると遠くで黒い炎が上がる。え?何?


「坊っちゃんが来てるのか?久しぶりだな。」

「最近魔獣出てたからなー」

「またしばらくは安心だな。」


街の人達があの炎について話をしている。私は話しかけ詳しく聞いてみる。


「この街初めてかい?この先の森に魔獣が出るんだが領主の坊っちゃんは強くてな、たまに領地に帰ってきて倒してくれるんだ。」


「そうなのですか。頼りになる存在なのですね。教えてくれありがとうございます。」


お2人の子供って事よね。無表情で食事を食べると噂の…そんなに強いんだ。


「あ!アリスさんちょうど良かった!」


「ハンナ様どうしたのですか?」


「今日息子が来ているの。一緒に食事したいなって思って誘いに行こうとしていたの。」


「でもせっかく家族の団欒を邪魔したら悪いですし…まだ宿も家も決まってないので…」


じゃ今日も我が家に泊まりましょう!と連れて行かれる。意外と強引だ。レイ様みたい。お邪魔しますとハンナ様と家に入る。昨日も来たのに悪いなーと思いながらロイド様に挨拶をする。急に息子が来てすぐに誘ってすまないねと言ってくれる。


アリス!と聞こえ視界が真っ黒になる。え?と思ったら抱きしめられていた。呆然とする。え?レイ様?



「レイモンド急にどうした!アリスさんを離しなさい!」


ロイド様とハンナ様が止めに入るがレイ様は会いたかったと離さない。


「なんでレイ様がいるのですか?」


「「知り合い?」」


お2人が驚いている。離さない息子にも知り合いという事にもびっくりしている。


「アリス探したよ。ローズマリーがゴメンね。帰ろう?」


腰を抱いたまま私の顔を見て言ってくれる。優しく微笑むレイ様は目の下に少しクマができている。心配させていた事に反省をする。


「レイモンドとりあえず落ち着いて話そう。アリスさんを離しなさい。」


離したら何処かに行くから嫌だと拒否して、お2人は呆れている。逃げないので座りましょうと言うと、手を繋がれソファーへと歩き出す。手を離してくれない。


「知り合いだったのか?」


「倒れてたのを助けてもらって、家に連れて行ったんだ。虐げられていたのを助けたくて。それなのにローズマリーが追い出したんだよ。」


「ローズマリーが?!なんて事だ。」


違うんです…と私がお願いしました。すいませんと謝る。私が嫌だった?!レイ様は泣きそうな顔で聞いてくる。


「助けた時にあわよくば嫁ぐか雇ってもらえないかと計算してました…でもレイ様は純粋に恩人だと優しくしてくれ心苦しくなりました。なのでローズマリー様にお願いして逃げました。お金もお返しします…」


「私はアリスが可愛いから連れて帰ったんだ。じゃあ、お嫁さんになってくれたらちょうど良いね。」


は?意味がわからない。どうしよう。縋る気持ちでお2人を見るとちょうど良いって顔をしている。


「じゃアリスさんがお嫁さんになるの?嬉しい!こんな息子は嫌かしら?」


「レイモンドは令嬢に心を開かなくてどうしようかと思っていたが…」


レイ様は手を繋いだまま優しい顔で私を見つめている。


次はどうやって逃げよう…

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