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虐げられた令嬢が黒炎の騎士様を拾ったら溺愛されて幸せになりました〜実は腹黒いなんて聞いてません!〜  作者: 漆原 凜


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3/5

お願い

頭を撫でられている。優しく撫でられる手は大きく安心する。お母様が生きていた頃みたい…なつかしくて涙が出る。そんな訳ないと重たい目を開ける。お茶を頂いた後ソファーで眠ってしまったようだ。


私は黒い人に膝枕をされ頭を撫でられている。起きた?悲しい夢でも見た?と涙を拭いてくれる。


「ごめんなさい!眠ってしまったみたいで。」


私は飛び起きて謝る。膝枕をさせるなんて申し訳なさすぎる。頭を下げるが止められる。


「よく眠っていたから起こさないように勝手に私がしただけなんだ。謝らないで。」


「あ、おかえりなさい。」


ただいまって笑ってくれる。出かける前の騎士服とは違い落ち着いた服装になっている。男前にはどちらも似合う。


「もう少ししたら一緒にご飯食べよう?お腹すいたでしょ?」


「はい。すきました。」


うちのご飯美味しいから楽しみにしててよって言ってくれる。ずっと1人でパンとかスープだけだったから嬉しい。


「あの…レイモンド様?」


「ん?どうしたの?あとレイって呼んでよ。」


私を雇ってくださいって頭を下げる。働かしてもらわないことには生きていけない。手元には僅かなお金とお母様の形見の宝石が少しあるだけだ。最初は嫁ぎたいなんてアホみたいな夢を見たものだ。公爵家で無ければ少しねだったかもしれないけど。


「働いてお金が貯まったらお家を借りるので、それまで住み込みで部屋も貸してもらえたら嬉しいのですが…」


「私はアリスを命の恩人だと思っているから雇う事は出来ない。家を借りたいなら用意するし、望むことは何でもしてあげたい。ただ上司にも相談をしているし、しばらくはここでゆっくり静養して欲しい。」


「レイモンド様…」


「レイだよ。一緒に良い方法を見つけよう?」


レイ様ありがとうございますとお礼を言う。でも私は真っ当な命の恩人じゃないから心苦しい…邪な気持ちでついて来たから真っすぐなレイ様が眩しすぎるのだ。どうしよう。


じゃ食事にしようってダイニングに案内され席に着く。あ、性格悪そうな妹もいる。両親は今は領地にいるんだってレイ様に説明を受ける。


机に並ぶ料理はとても美味しそう!いっぱい食べてねって勧めてくれる。何を食べても美味しい!久しぶりの豪華な食事は最高だ。


「貧しい育ちなのかしら?」


性格悪いやつが話しかけてきた。レイ様はやめなさいって怒るが妹は聞かない。反抗期かな?まぁ変な女が急に来たらそうなるよね。


「ごめんなさい。いつも1人だったから皆さんと頂く食事が楽しくてつい…」


「アリスいいんだよ。気にしないで沢山食べて。うちの妹がごめん。次からは食事を別にするから今日は許してね。」


何で私が!って怒っている。出ていくのに妹使うか…妹相手なら罪悪感少ないしレイ様よりは気まずくない。出ていく前にまずは美味しいご飯いっぱい食べよう。もうこんな豪華な食事食べられないかも知れない。


美味しいご飯を堪能して部屋に戻る。ふと見ると妹が部屋に入っていった。あそこが部屋かと思い、とりあえず用意してくれてる部屋に戻る。しばらくしてからこっそり部屋を出て妹の所へ向かう。


「ねぇ妹?」


「は?あんた勝手に何よ!しかも妹って!私にはローズマリーって名前があるのよ!」


「えっと…じゃローズマリー様お願いがあるのですが。」


なんで私がお願い聞かないとダメなのよ!って怒っている。元気だな。落ち着くように言い、これは私のためとローズマリー様のためですって宥める。あと声小さくと注意をする。


「私はココを出たい。ローズマリー様は私を追い出したい。なので手を貸してください。」


お兄様が不満なの!?あんな素敵な人いないんだから!と怒られる。難しい。とりあえず話を聞いてほしい。


「何をすればいいの?」


「部屋を借りるお金ください。それか住み込みで働ける所紹介してください。」


「は?住み込みできる所なんか知らないわ。お金ならあげる。」


「あと明日の朝お兄様が居ない時に皆の前で私にキツくあたってください。その流れで出ていきます。」


「はぁ…変な女。とりあえずお金用意するわ。」


よろしくお願いします!とローズマリー様の部屋を出る。あぁ単純な妹で良かったー。部屋に戻る途中レイ様に出会う。


「何処行ってたの?散歩誘うと思ってきたのにいないから心配したよ?」


「あ、散歩してました。まだまだ歩きたいのでご一緒します。行きましょう。」


笑いながら手を差し出してくれる。手を取りご飯美味しかったですと話をする。良かったて微笑んでくれ、お菓子も美味しいから今度一緒に食べようって誘ってくれる。その時は無いかも知れないけど、レイ様の気持ちが嬉しく楽しみにしてますと返事する。


朝一緒に食事をしてから騎士団へ行くレイ様を見送り部屋に戻る。夜の間に用意してあった荷物を取り出す。昨晩のうちにお金も届けられ準備はバッチリだ。


「あんたいつまで居るつもり!やっぱりお兄様目当てなのね!」


ローズマリー様お辞めくださいと使用人達が止めに入る。あぁ邪魔しないでと思いながら泣く。


「ごめんなさい。そんなつもりじゃ…私やっぱり失礼します!」


泣いて走り出し部屋から荷物を持って外へ向かう。ローズマリー様は馬車を用意してくれていて早く!と呼ばれる。


「レイ様には感謝しか無いですが、ローズマリー様もありがとうございました。」


待って!あんたレイ様って呼んでるの?って驚愕の顔をしている。ダメなの?本人がそう呼んでくれって言うからと説明する。


「どうしよう私許してもらえないかも…お兄様は絶対誰にも愛称呼びさせないのに…」


震えながら待って!と引き留めようとしてくるが、払い除け馬車を出してもらう。ローズマリー様は泣きながら許して!戻って!と言っているが聞けない。さらば兄妹。


私はすぐ馬車を降り、辻馬車へと乗り換える。どこに行くかは決めてないけど、とりあえず進むしか無い。

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