それぞれの処遇
―――三ヵ月後―――
今日王城で全ての貴族を集めた夜会が開かれる。
事件の解決と魔族の国――改めドルゴーン王国との友好を結んだ記念の夜会だ。
明日から一週間は王都でも祭が行なわれる。
来年行なわれる予定だった〝救国500年大祭〟は〝ドルゴーン王国国交樹立記念祭〟と名を変え明日から開かれる。王城から王都民へ酒もふんだんに振舞われ〝救国の四星〟のパレードもあるらしい。
フィリスは絶対に特等席を確保すると意気込んでいた。
あの最終決戦から三ヶ月オレ達は様々な後始末に追われた。
といっても大変だったのは公務を預る面々、陛下を筆頭に傷が癒え次第復帰した宰相と各大臣やお役人。もちろん王太子であるアルも超忙しそうだった。
それから高位貴族の頭首。今回の企みに三つの侯爵家の内の一家セルフェ侯爵家が協力していたのだ。
セルフェ侯爵家自体が罪に問われる事は仕方ないがその余波をなるべく最小限に抑えようとオヤジやロゼッタール公爵が奔走していた。
騎士団も大変だ。第一騎士団は団長のウルバルト・セルフェを含めほとんどが使い物にならず、カルルック第二騎士団長とクリフは騎士団の再編成と見直し、強化に追われていた。
教会もガタガタだ。大司教に次ぐ高位にいたガルファー・サリバーン司教が今回の首謀者の一人であり逮捕されたのだ。内部の動揺は激しくサーラは信頼できる司教たちと共に立て直しを頑張っている。
大司教は王城の一室に監禁されていた。でっぷり太った身体も幾分痩せたように見えるほど憔悴していたが救出されると途端に威張り出し助けに来るのが遅いなどと詰ったそうだ。その場で逮捕された。
そんな訳でオレ以外の〝救国の四星〟のみんなはとても忙しそうでほとんど会う事もできなかった。
オレは暇なのかって?まあ普通に忙しかったよ。でも魔導師団は何の被害も受けてないし通常運営だ。
それから今回の事件を起こした犯人達だが、
魔族の二人は魔王が引き取っていった。ヴェルナーヴと蛇のヤツだ。あちらの国で裁かれる事になる。サンテは重傷を負ったので入院中だ。命の危機は脱したが全快までは日にちがかかるようだ。
サンテはヴェルナーヴの手先だったが王太子であるアルを庇って傷を負った。罪に問われる事はないと思う。
ガルファー・サリバーンは処刑された。シグルド王国に引き渡す事も検討されたが罪が大き過ぎた。直接手を下した訳ではないが、ダマスカヤ峠の盗賊事件、カンタス、イルラーク伯領の鉱山事件等多くの人命が失われている。王城の占拠でも多くの者が怪我を負った。
もちろん見返りを期待し進んで協力していた者たちも全員処罰された。処刑から鉱山送り、軽い禁固刑など罪に応じて様々である。
セルフェ侯爵は爵位返上の上終身刑。侯爵家は没落した。第一騎士団長だったウルバルト・セルフェは一兵卒に落とされ辺境に送られた。
そうそう、カンタス伯の弟のナントカ男爵夫妻。ヤツらももちろん逮捕され処刑になったんだが、魔大陸から戻ったら一発ぶん殴ろうとの誓い(?)はサーラが果たしてくれた。
第三騎士団が暴動鎮圧に手こずった理由、カンタス、イルラーク伯領で起こった暴動は第三騎士団が駆けつけすぐに鎮圧された。大司教が教会を訪れありがたい法話を聞けると集まった多くの領民達を洗脳して起こした暴動だ。鎮圧されると領民達は皆徐々に我に返ったそうである。
厄介だったのが暴動に乗じてフェルベの町のあの廃屋敷で捕らえたならず者達が脱獄しカンタス伯のお屋敷に立てこもった事である。
魔大陸でヴェルナーヴの手先を全て捕まえたクリフとサーラは魔王と共に帰ってきた。クリフの希望で第三騎士団と合流すべくカンタス領に向かった。
膠着状態のカンタス伯邸を前に、オレとアルから話を聞いていたクリフ達は人質の筈の男爵夫妻は一味と通じていると判断、強制突入してあっさり捕縛したそうだ。捕らえられてなお、冤罪だ被害者だと喚く夫妻にサーラがつかつかと歩み寄り強烈な平手打ちをかましたそうだ。
まだまだ問題は山積みだが、皆の努力のおかげで王国は平常に戻りつつある。
一ヶ月ほど前、王国全ての貴族、国民に対し国王から今回の事件の経緯と真相 (とされるもの)が発表された。
〝魔族ヴェルナーヴと司教ガルファー・サリバーンは王位簒奪を目論み国王等を騙し、魔王が攻めて来ると脅した。それに気付いた国王は救国の四星を結成し魔大陸に送り出した。魔王と手を組み共に簒奪者を捕らえようと。魔王を説得し帰国を果たした救国の四星は簒奪者たちの起こした数々の事件を解決し先日の夜会において見事首謀者を捕縛する事に成功した〟というものだ。
なんかいろいろ違うところもあるが国王の権威を保ち国民が納得できるギリギリのラインらしい。
〝救国の四星〟であるオレ達の人気はうなぎのぼりだ。元々人気のある〝救国の四星〟がまた王国の危機を救ってくれたと大喜びだ。『魔大陸冒険譚』なる書物も発売されたらしい。
王城の補修工事は急ピッチで進められた。夜会の行なわれていたホールは惨憺たる有様だったが、天井に空いた大穴以外は全て工事を終えた。大穴だけは応急処置が施されている。
玉璽と鍵は無事銅像の腹の中から回収された。
オヤジと共に弁償を願い出たが、断られた。あの銅像はそのままにしておくらしい。陛下曰く〝救国の銅像〟として展示をするそうだ。
なんでもかんでも〝救国〟にするのはやめてくれ!オレとオヤジはこれからもあの黒歴史を見続けなくてはならないらしい……
お読みくださっている皆様、ありがとうございます。
次話で本編完結となります。
番外編も数話考えています。
最終話は本日16時頃投稿する予定です。




