表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】前世男子中学生の公爵令嬢、魔王討伐に行ったんだけど……  作者: 一理。
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/47

魔王との決戦(3)


 魔王は一人側近を呼んだ。彼だけは絶対に信用できる。そして秘密を守れる腹心の部下だと言う話だ。

 入ってきた男は部屋の惨状を見て息を呑んだが、無駄に騒ぎ立てたりしなかった。秘密裏に部屋を用意し人払いをし、オレ達を他の者に見られないよう招き入れた。


 オレ達も彼を見て驚いていた。王都に来る途中子供を助けたときのあの立派な体格の魔族だったからだ。


 部屋に落ち着き魔王が口を開いた。


「まず、改めて自己紹介しよう。

 私はこの大陸、全ての魔族の王、クトラディス・ドルゴーンだ」


 魔族の村で言っていた竜神と同じ名前だ。なんか偉くなったんだなあ……亮介を遠く感じた。


「近衛隊長のエリオル・ライノルグと申す。先日は娘を助けて戴き深く感謝する」


 あ、やっぱり気がついていたんだ。


 オレ達も順に自己紹介する。


「早速だがエリオル、ヴェルナーヴは彼らの大陸にいるそうだ」


 魔王はオレ達がここに来た経緯と、この機会を利用してヴェルナーヴを助けたものを捕らえたい事を説明する。


「ヴェルナーヴ様も困った御人ですな。王にはなれぬというのに……」


 エリオルは溜息をつきながら続けた。


「スーネイル卿、秘密の抜け道を教えた男、そちらの大陸にいたのはマストゥという男と蛇の獣魔族ですか……」


 盗賊の首領もマストゥという男も実はヴェルナーヴの配下だったらしい。


「蛇の獣魔族の男というのはコヴェルトだろう。蛇の一族はヴェルナーヴ側と見て間違いないな」


「蛇の一族はヴェルナーヴ様の妃を二人出しておりますから。

マストゥは……姉がヴェルナーヴ様の妃だったかと。もう亡くなっておりますが」


「カラスが一族を挙げてヴェルナーヴ側なのか、一部の者だけなのか探る必要があるな」


 なんかやたら妃って言葉が出てきたようなんだけど……どんだけエロおやじなんだ……


 オレ達が微妙な顔をしていたので魔王が説明してくれた。


 現在竜魔族は三人しかいないらしい。魔王、ヴェルナーヴ、魔王の父の三人だ。500年前まではもう少しいたそうだが、侵略戦争の折、ほとんど亡くなってしまった。残ったのは成人前だった魔王の祖父ただ一人だったらしい。

 竜魔族は他の魔族に比べ、寿命がはるかに長い。しかし反面子供が生まれにくい。いや、竜魔族の子供が生まれにくい。

 どういう事かと言うと竜魔族は普通の魔族とは子をなす事が出来ない。子の魔力に母体が耐えられないからだ。獣魔族とは子をなす事ができるが、生まれてくる子は獣魔族か竜魔族のどちらかだ。竜魔族と獣魔族の特徴を併せ持った子ではなく、完全にどちらかの種として生まれてくるのである。そして、生まれてくる子のほとんどが獣魔族だ。なので竜魔族は多くの妃を娶る。そして竜魔族の子供を生んだ妃が正妃となるらしい。魔王の子供でも獣魔族として生まれたものは臣下に下る。王族は竜魔族だけだという。


「私か?今は妃は五人だったかな?正妃はいない」


 亮介……オレの知らないうちに大人の階段上っちゃったんだな……


「蛇とカラスの一族の者だけではヴェルナーヴ様の脱獄は出来ませんな。側近の誰かが関与していると思われます」


 あれ?サンテは?サンテは狼の獣魔族だっけ?


「サンテか。彼奴は狼の一族から疎外されている。ヴォルグの姓を名乗る事も許されておらん。優秀な若者なのだが……」


 獣魔族は全て一族の姓を名乗るらしい。エリオルと同じ獅子の獣魔族は全員ライノルグを名乗る。その中でライノルグ卿と呼ばれるのは一族の長だ。エリオルはライノルグ卿らしい。


「サンテの母はヴェルナーヴの妃であった。一族の反対を押し切ってな」


 魔王の言葉にエリオルも続ける。


「魔王様は幼少の時にもヴェルナーヴ様に命を狙われたのです。それを救ったのが狼の獣魔族でした。先代魔王様への忠義厚い狼の一族は猛反対したそうですが、サンテの母はそれを押し切りヴェルナーヴ様に嫁ぎました。その時点で一族の籍を抹消されました」


 ってことは?


「サンテはヴェルナーヴ様の息子です」


 オレ達は信じられなかった。ヴェルナーヴはサンテを紹介したとき魔大陸から唯一一緒に逃れてきた()()だと言った。サンテを見る目も部下へのそれでしかなかった。サンテも主人を見る目でしかヴェルナーヴを見ていなかった。




 もうかなり夜も更けていた。空が白み始めるまであとわずかだろう。


「魔王様が襲われた事は公にしたほうが良いでしょう。どのみちあの部屋を見れば何かあった事は一目瞭然です」


 エリオルが言った。


「この者達をを捕らえるのか?」


「いえ、逃げられた事にして我が屋敷に匿います」


「私達はスーネイル卿の屋敷に戻った方が良いのではないか?その方が彼らの内情を探れるだろう」


 アルが提案したが、エリオルは首を振った。


「後でお願いするかもしれませんが、今は相手の出方を見たいと思います。あなた方が戻ってこなければ彼らは情報が得られない。何らかのアクションを起こす筈です」


 魔王が口を開いた。


「エリオル、こういうのはどうだ?魔王は何者かに襲われて怪我を負った。隔離されて療養中」


 エリオルは溜息をついた。


「はー……それで魔王様は何をなさるのです?」


「こんな事でもないと自由に行動できぬからな。まずは彼らと一緒にお前の屋敷に行く」


 なんとなく楽しげな魔王だった。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ