第六話 教育航空群と幹部学校
前回のあらすじ:遂に過去を語り始めた伊吹。しかし高校生の時から語り始めてしまったのだ。
赤穂が知りたいのはもっと先の話であったが他にも気になる事はあった。
丁度良いタイミングだったので赤穂はその疑問を伊吹に投げかける……
「あ~そうだね……」
「司令、私司令の経歴は少ししか存じ上げないんですけど……」
「うん」
「小月教育航空群を本来4年の所を2年で卒業して幹部学校で1年間教育を受けたって聞いたんですけど事実でしょうか?」
「うん、事実」「事実ですね~」
紛れもない事実だ。
何で2年で卒業させられたんだろう。
普通に楽しく学生生活を楽しんでただけなのにね。
「三沢中佐」
「ん?」
「中佐殿も司令と同じ……?」
「うん、私も同じ」
「その時のことを教えて頂けませんでしょうか?」
「ええよ~」「いいよ~」
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2015年 小月航空基地 ボクは20歳!
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン
「~♪」
まさか2年で単独飛行出来るようになるとは思ってもみなかった。
さぁ、着陸だ。
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン。キキッ。(設地)
ちゃーくりくぅ。
うん、楽しい。
スポット入り完了……
「きょ、教官?」
「………」
教官が白目をむいている。
ボク何かした……?
「きょうかーん!おーい!大丈夫ですかー!」
「!失敬失敬、気を失っていたよ……」
「そ、そうですか……」
「いや、君の操縦技術は目を見張るものがあるよ」
「いえいえ、私なんてまだまだですよ」
「謙遜せんで良い、今すぐにでも実践配備したいくらいだ」
「そ、そうですか……」
「それにしても……」
「???」
「君の飛行に着いてくる彼女も凄い……聞いたところによれば君の後輩らしいじゃないか」
「えぇ、彼女は私の1番の後輩ですよ」
「弟子じゃなくて?」
「で、弟子……ですか……」
「他の奴から聞いたぞ、よくあいつに色々教えてたらしいじゃないか~」
「は、はぁ……」
にしてもT-5もカッコ良いね。
T-5も良いけどボクは戦後初の国産艦上戦闘機の「威風」の方が好きだなぁ。
「なぁ」
「はい?」
「威風に乗ってみないか?」
「へ?威風ってあの?」
「そうだ、艦載機の威風だ」
「………えっ?」
「今な、ここに1機あるんだよ」
「きょ、許可は……」
「取ってあるさ、なんせ司令が言い出したんだからな」
「司令が言ったんですか……」
なんで威風がここにあるんやろ。
あれは陸上配備はされてなかったはず……。
赤城と加賀だけの配備やったはずやけど。
聞いてみよう。
「教官、何故威風が陸上基地に?しかも小月に……」
「さぁ?俺にも分からん」
「そ、そうですか……」
「あ、そうだ」
「はい?」
「俺さ、異動になるんだよ」
「異動ですか、どちらに?」
「赤城だよ」
「赤城?あの赤城でしょうか?」
「そう、あの赤城」
「へぇ~パイロットですか?」
「いや、司令」
「え?もう一度お聞きしても?」
「司令だよ司令、一航戦の司令になるんだよ」
「おぉ!おめでとうございます!」
「所で伊吹、幹部学校に行く気はあるか?」
「幹部学校ですか、でも何故?ここを卒業してからは艦隊で訓練ですよね?幹部学校に入る時間は無いはずですが……?」
まさかの提案だ、幹部学校だなんて。
そもそも幹部学校に行くにはまずここを卒業して艦隊で訓練を受けて、それからの話だ。
まさかここを中退しろなんて言うんじゃ……。
「今年で卒業すれば良い」
「はぁ?何言ってるんです?私の卒業は2年後ですよ?」
「いや、今年の卒業生に混じってしまえばよい」
「教官にこんな言葉使いしたくないんですけど、頭おかしくなっちゃいましたか……?」
「大丈夫、俺は正常だ」
「そ、そうですか……」
「君の成績も筆記、実技共に今年の卒業生より上回っているからね」
「故にここで卒業しても問題は無いと、そういう事ですか
そして幹部学校に放り込めば、指揮官としてもパイロットとしても良い軍人が出来上がる」
「その通り、それは俺が考えたんじゃないけどな」
「じゃぁ誰が?」
「さぁな?俺はただ聞かされただけよ」
「そ、そうですか……」
「それで、行くのか?幹部学校」
「是非、行かせてください」
「決まりだな」
「あ、後……」
「勿論彼女も同時に卒業させる、半年で単独飛行……天才にも程があるよ」
「あはは……そうですねぇ……」
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2015年 海軍幹部学校
教官の言う通り幹部学校の指揮幕僚課程に七海と共に放り込まれた。
周りの視線が全てこちらに向いている様な気がする。気のせいやとええんやけど。
「せ、先輩」 ギュー(七海がボクに抱きついてくる)
可愛いなぁ、七海は。
ボクより1年も早く卒業しちゃったんだ、そんなに怖がるのも仕方ない。
だってボクも怖いんやから……。
「だ、だ、大丈夫、大丈夫、だって正式な入学なんだもの……」
「そ、そうですよね、正当な経路で入学したんですもんね!な、何も問題は無いですよ……ね?」
「これが正当って言えるのかな……?」
「……言えないですよねぇ」
ボク達以外は皆大尉や少佐ばかり。
一応ボクも七海も大尉なんだけども皆現場で何かしらの経験は積んでいる。
そんな中現場経験の無いボク達が生き残れるはずがない、これからの1年間終わったよぉ。
「あの2人が例の……」「凄いな……」
あぁ、言われてるよ、侮辱も酷い所だよ。
凄い、やべぇって……ん?凄い?これむしろ称賛されてない?
すると周りの同級生達が一斉に駆け寄って来た!怖いよぉ!
そして質問攻めにされた。
「君、小月を2年で卒業したんだってね?」「飛んでる所を見てみたいよ」
「天才が2人も居るよ」「こんなに小さいのに、凄いなぁ」
「あ、あはは……」
怖いなぁ、ボクよりデカい人達に質問攻めにされるのは怖いよ。
でもこの感じだと普通に生活出来そう。ちょっと安心。
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「うん、怖かったね」
「そうだったんですか~、それでその後の幹部学校での生活は?」
「特に何もなく普通に生活出来てたね」
「そうですね、特に何もありませんでしたね」
ここはまだ普通に語れる範囲。
ここからどんどん辛くなってくる。
極力泣かない様にしよう。
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