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パイロットを目指してたら艦隊司令にされた  作者: ワンステップバス
第十章 呉に吹き荒れる新風編
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第四十二話 決断一つ

前回のあらすじ:摩耶が呉に来て数日が経過した。

伊吹は基地司令室に滞在する時間が激増!基地司令室の雰囲気がガラっと変わった。

そして、伊吹と摩耶が色々話していると七海が駆け寄って来た。

伊吹に切符入れを渡し、そそくさと走り去る七海。

少し混乱する伊吹。

その切符入れの中には2枚の切符が入っていた。

伊吹は困惑しつつも旅の準備を行う…。



 福島町電停… 1月23日… 13:50…


「ねぇねぇ七海」


「ん?」


「1352から出ていい物なのかね…?」


「ん?どういう事?」


「名古屋に在来線とか乗り継いでいくならもっと早く出た方がいいと思うんだけど…」


 普通、在来線乗り継ぎならばもっと早い時間から出るべきだろう。

 この時間から出ても名古屋に着けるは着けるが…ほぼ終電だった気がする。

 何でわざわざそんな遅い時間を指定したのかな…?


「そ、そこは気にしないで!」


「そ、そっか」


 気にしない方がいいみたいだ。

 あ、来た来た。


 ガタン…ガタン…



 広島駅… 14:33…

 広島駅に到着!

 さぁ、七海から渡されたこの切符を使う時が来た!

 七海から渡されたマルス券を自動改札機に投入!

 マルス券は普通の切符とはまた違う特別感を感じる。

 大きいから無くしにくい。多分。


「~♪」


「ウキウキだね、伊吹ちゃん」


「そりゃそうでしょ、旅行なんだからウキウキしない訳がないよ~」


「そっか」


 5番乗り場… 14:48…


<まもなく、5番乗り場に列車が参ります。黄色点字ブロックまでお下がりください…>


 さぁ、2番目の列車の入線だ!

 これでまずは糸崎まで行く様だ。


 ガタン…ガタン…。

 パシャッ、パシャッ。

 キィィィィ…。

 プシュー(ドア開)


<広島、広島です…>


「さぁ、乗ろ」


「うん!」


 この列車は広島始発じゃないから人が乗っている。

 さぁ、座れるかな。


「あ、伊吹ちゃんあっち空いてるよ!」


「おっ、確保しようね」


 クロスシートの2席を何とか確保する事が出来た。

 ボクが窓側に座る。


「座れて良かったね」


「うん!」


 笑顔も可愛い。

 凄く可愛い。



 乗車中…


 ガタンガタン…


「ん~」


「ん?どうしたの伊吹ちゃん?」


「いや~ね、呼び方だよ呼び方」


「呼び方?何の?」


「君の」


「私の?」


「うん」


 これまでは落ち着いている方を"七海"荒れてる方を"海琴"って呼んできたけど…。

 性格の表裏が本来逆だったと言う衝撃的な事実を知ってしまったせいで呼び方をどうするか悩んでいたのだ。

 この際、本人に聞いてしまうのが一番だろう。タイミング的にも丁度いいしね。


「どっちをどう呼べばいいのかなって」


「どういう事?」


「ほら、七海と海琴」


「あ~…ん~」


 少し悩んでるみたいだ。さてどんな返答が帰って来るか。


「別に何でもいいよ~」


「そっか~」


 何でもいいのか…。

 まぁ、これで肩の荷が下りた。

 今まで通りの呼び方で行こう。





 岡山駅… 17:55…

 糸崎で岡山行きに乗り換えて、岡山に到着。

 ここからは姫路へ向かう様だ。


「後3分」


 そろそろお腹が空いて来た…ご飯どうしよっかな。


「ねぇ、七海」


「ん?」


「ご飯どうするの?」


「姫路で食べるよ~」


「OK」


 姫路…あ、駅そば!

 成程。ホーム上の駅そばを食べるのか。

 いいね、成程。



 姫路行き車内… 18:32…


 ガタンガタン…


<次は和木、和木です……>


「……」


「……」


 長時間乗ってると、話題も尽きてくる。

 何か…何か無いのか…!


「…ねぇ」


「ん?」


 七海から話しかけて来た。

 よし、これで姫路まで持たせよう。


「伊吹ちゃんってさ…」


「うん」


 ボクが…何だろう…?


「け、結婚とか…興味ある…?」


「え?」


 結婚…?

 結婚…

 結婚かぁ…


「えー…興味…完全に無いって言えば嘘になるかな。少しある位」


「そ、そっか!」


「んで、それがどうかしたの?」


「い、いや何でもない!何でもないよ!」


「そっか~」


 何か隠してるような、隠してないような。

 …うーん?

 ってまた話題探しか…。




 数時間後… 新快速車内…


<今日も、JR西日本を……>


 ガタンガタン…


 姫路でそばを啜って新快速に飛び乗った。

 乗ったらすぐ寝てしまって…。

 気づけば米原直前である。


「ねぇねぇ七海」


「ん?」


「最近方言出ないよね」


「ね~」


 小月や幹部学校で方言は極力控える様にって言われたから抑えていた。

 そして、抑え続けているとだんだん標準語で話す事に慣れて来て…。

 今では標準語が標準設定となっている。


「ボクと七海の会話でさえも標準語が標準と化している」


「ね~。でもそんなに方言に拘らなくていいと思うけどな~」


「それはそうなんだけどね」


 方言に拘る理由って何だろう。

 …地元の誇り?誇り大事。





 名鉄岐阜駅… 22:27…

 もう2229…。

 まさかこんな時間に名鉄岐阜に居るとは思わなかった。

 …こんな時間に岐阜に居るのは高2の夏以来。

 あの時は遅延して仕方なくこの時間に岐阜に居たけども。


「特別車~」


「伊吹ちゃんって特別車とか好きだよね~」


「課金は正義」


「そ、そっか」


 あれ?若干引いてる…?

 まぁいいか。


 特別車… 車内…


「どれだけ乗っても360円の特別車…!名鉄は太っ腹やね」


「う、うん!」


 七海の喋り方がいつもと違う。

 これは緊張してる時の喋り方なのだけども…。

 何で緊張してるのかな…?


「こんな遅い時間に特別車乗るの久しぶりだね」


 前こんな時間に特別車乗ったのは…いつだったかな。


「こんな時間はもうながらの時間だよね!」


「それはそう。消えちゃったけども」


 ながら。ムーンライトながら。

 18キッパーの味方ながら。

 つい最近消えてしまった夜行列車君。


「あ、そだ」


「ん?」


「なんでこのタイミングでこうして…旅に出ようと…?」


「そ、それは…」


「それは…?」


「……」


「……」


「……」


「……」


 沈黙!

 うーん…何なんだろう。

 何故名古屋…?

 何故この時間…?

 何故在来線乗り継ぎ…?

 疑問は解消されないままここまで来ている。


「な、名古屋に着いたら分かるよ!」


 何か隠している…?

 今更ボクに隠す事なんて無さそうだけどなぁ。

 でもあるのかぁ…。

 …名古屋に着いたら分かるのかぁ。



 名古屋直前… 22:57…


<間もなく、名古屋に着きます……>


 艦隊の復旧状況とか、色々雑談してたらもうすぐ名古屋。

 3面2線の名鉄名古屋駅。

 ラッシュ時の列車の間隔は秒単位。

 日中でも数分間隔で来ると言う凄まじい駅。


 ガタン…ガタン…。


 荷物をまとめて席を立ってドア前へ。

 …七海が凄くソワソワしてる。

 名古屋に何かあるのか…?




 数分後… JR名古屋駅中央改札口…


「……」


 七海についていく事数分。

 JRの中央改札に到着。

 うん。色々思い出すなぁ。


「ね、ねぇ伊吹ちゃん」


「ん?」


「お、覚えてる?」


「ん…?」


「私と伊吹ちゃんが初めて一緒に旅行に行った時の事!」


「忘れる訳が無い。ってか忘れるはずがない」


 本当大変だった。

 大垣から名古屋に向かう途中…。


「大変だったよね」


「それはそう」


 数時間程列車の中に閉じ込められた。

 お陰で名古屋に着いたのが23時台。

 …ホテルに電話で事情説明したのは良い思い出。

 あの時からボクは京奈イン会員…。


「…えっとね」


「うん」


「伊吹ちゃんに…貰って欲しい物が…あるんよ…」


「ほう」


 ボクに貰って欲しい物…?

 なんやろ。別にわざわざ名古屋で渡さんくてもええと思うけど…?


 七海がリュックから小さい箱を取り出した。

 うーん。箱。

 中身は何でしょうね。


「こ、これ…!受け取って…!」


「ん」


 紺色の高級感溢れる箱。


「何やろな~」


 ボクは箱をゆっくり開ける…!

お読みいただき、ありがとうございます!

ほんの少しでも「良いね」と思ったらブックマーク、評価の★の方を是非!

(付けると作者が凄い喜ぶよ)

よろしくお願いいたします!

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