第四十一話 六甲颪
前回のあらすじ:新しい呉基地の新司令として伊吹の妹である摩耶が舞鶴からやって来た。
さて、呉基地はどう変わるのだろうか。
呉基地… 基地司令室… 1月20日… 09:00…
「舞鶴と比べてみて、呉の基地司令室はどう?」
「ちょっと広い位で、そんなに変わんないかな」
「そっかそっか」
呉の基地司令室。
1時間以上滞在した事は無い。長くても30分程度。
全ては前の基地司令の威圧感のせい。
しかし、摩耶が着任してからは2時間以上滞在する事が増えた。
人が居るだけでこんなに居心地が変わるのか、驚きだな。
「それで、二航戦の修理具合はどう?」
「摩耶と浦風以外は全て修理完了。いつでも出れるけど」
「けど?」
「飛龍の為にも、全艦揃った状態で出撃したいね」
「そっか…修理にどれくらいかかりそう?」
「3週間もあれば完璧に修理できる」
「了解。呉の乾ドック全部使っての修理作業やね」
「民間の所も動員しての大修理。海軍のドックだけじゃ足りないしね…」
民間の企業の方々には悪い事をしてしまった。
期間にこだわらず、海軍のドックだけでやりくりすればいい物を…。
わざわざ"2月下旬までには終わらせたい"だなんて我儘を通したせいでこんな事になってしまった。
後で詫びの品持っていかなきゃ。
「空母艦隊は大事だからね~」
「そうだね」
摩耶の言う通り、空母艦隊は大事。
一隻も失わなかった事は不幸中の幸いと言ったところだろうか。
攻撃してきた敵艦隊の所在は未だ調査中である。
少なくとも、正規軍では無さそうだ。
「最近よく聞く何カラズだったっけ…またアイツらなんやない?」
「艦隊1個消し飛ばしたお礼参りか?」
「多分」
「確証が無いなぁ…」
「証拠を引き上げるのはもっと先になりそうだしね」
先の事案のせいで南西諸島全体が"民間船護衛地域"に指定されてしまった。
日本海側は解除されたが、まだまだ護衛艦の需要はありそうだ。
「はぁ…奴らは武器・兵器を日本に持ち込んで何か…その…」
「その?」
「何かをしようとしている。摘発は為されているが、少ししか聞き出せていない」
「海保も警察も頑張ってるけどね」
去年の能登半島沖で得た捕虜の大半は死亡している。
死因は様々。だが、全員自殺だ。
生きている奴は数十人程度で、誰も口を割らない。
あぁ、困った物だ。
ガチャ
誰か入って来た。誰かな。
「あ、伊吹ちゃんここに居たんだ」
なんだ七海か。今日も可愛い。
「修理完了するのっていつになるのかな?」
「3週間後位かな。まだまだ暇な時間は続くよ」
「そっか~」
別に今のまま動いても特に支障はない。
ただ戦力が幾分か少なくなっただけだ。
戦時であればこのまま出撃しただろう。だが今は平時だ。焦る必要は無い。
しっかり戦力を整えてから、出撃しよう。
「あ、伊吹ちゃん!」
「ん?」
ん?何か持ってる。
よく駅に置いてるJR西日本の切符入れだ。
「こ、これ…」
「ん?いつもの切符入れ君やん…って」
ボクに切符入れを渡すとバタバタと七海はこの部屋を去って行った。
一体何なんだろう。
「摩耶~これ中身見ていいと思う?」
「ん?いいと思うよ?」
「了解~」
さて、何が入ってるのかな。
ボクは中に入っている物を確認した。
「…何この切符…」
「ん?何々?」
中には2枚の切符が入っていた。
1枚目は広島から岐阜までの乗車券。
2枚目は名鉄岐阜から名鉄名古屋までの乗車券。
μチケットは入ってなかった。特別車乗りたかった。
ん?後切符じゃない紙が…。
1/23 福島町 13:52
「何だろこれ。時間?」
「た、旅の準備とかした方がいいんじゃない?」
「そうだね。切符渡されたんだし」
何で七海は走り去っていったのかなぁ…。
別に普通に言えばいいのに。
うーん…?
まぁ、当日になれば分かるでしょう。
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