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第三十七話 難儀する帰路

前回のあらすじ:ナンパ野郎を無事に撃退した伊吹と七海(海琴)。

部屋に戻り、ゆったりしてると衝撃の事実を伊吹から告げられる。

それは、"いつも伊吹に見せている人格の方が交代人格"であるという事実である…。


 箱根湯本駅… 1月14日… 10:55…

 ここは箱根湯本駅。

 旅館がある強羅から登山電車で湯本まで降りて来て、ここからロマンスカーで新宿へ向かう。

 11:13発のはこね72号。60000形のMSEが充当される予定だ。


「さて、そろそろ入ってくるはずだけど…?」


「新宿09:20のがそろそろ来るはず…」


 ボクも七海も一眼レフを下げている。

 いつも通りの光景だ。

 …七海のレンズ長っ。


<お待たせいたしました。1番ホームに、特急ロマンスカー"はこね号"新宿行きが6両編成で参ります。

 危険ですから黄色い線の内側で、お待ちください>


 自動放送がかかると、列車が姿を現した。

 予定通りMSE。60000形。展望席では無い車両だ。

 補助警笛、MH(ミュージックホーン)を豪快に鳴らしながら入線。


 ガタン…ガタン…

 キィィ…

 プシュー…


<特急ロマンスカーは、折り返し運転の為、到着後車内の清掃・点検作業を行います。

 ご乗車のご案内までしばらくお待ちください。

 特急ロマンスカーをご利用のお客様は乗車券のほかに、特急券が必要となりますご注意ください>


「それにしてもさ」


「ん?どうかしたの?」


「良くこの雨で運行できるね」


「ね~」


 外は超大雨で尚且つ強風が吹いている。

 これでよく運行出来る。

 さて、飛行機は飛ぶのだろうか?


「飛行機飛ぶかな」


「もしかしたら…欠航するかも…」


「そうなったらちょっとだけ面倒」


 まだ予約画面には欠航とは出ていない。

 今の段階では、飛ぶらしい。


「あ、ドア開いたよ?」


「おっ、乗ろう乗ろう」


 車内整備が完了して、乗車できるようになった。

 1番線の端っこから乗車する2号車の扉へ向かう。



 2号車…


「15C、15D…」


 座席は一番後ろを確保した。

 これで後ろを気にせず、リクライニングを倒す事が出来る。


「七海D席行って~」


「う、うん」


 七海を窓側に座らせる。

 そして、ボクは通路のC席に座る。


「特急ロマンスカー"はこね72号"新宿行きです。ご乗車には特急券が必要です。間もなく発車致します…」


 肉声による車内放送が行われる。

 それと同時にリクライニングを最大限倒しゆったりモードへ。

 乗っている客はそれ程多くない。

 かなり空席が目立つ。


 そうこうしていると列車は動き出した。

 新宿着は12:45の予定。1時間と32分の乗車。

 車内は暖房が効いていて暖かい。


<本日も、特急ロマンスカーをご利用くださいましてありがとうございます。

 はこね72号 新宿行きです。停車駅は、小田原、秦野、本厚木、海老名、町田、新宿です……>


 車内チャイムが流れた後に自動放送が流れる。

 この放送を聞くとロマンスカーに乗っていると言う感じがする。


「やはりこの放送を聞くとThe ロマンスカーって感じがするね」


「そうだね~」


 にっしても雨酷いなぁ…東京に泊まる覚悟もしないとなぁ。


「伊吹ちゃん」


「ん?どったの?」


「飛行機、何に乗るの?」


「JALJAL。ファーストクラス」


「ファーストクラス!?」


「そだよ。どうかしたの?」


「た、高くなかった…?」


「最近はこの値段に慣れた」


「…普通の席座れる?」


「座れる座れる」


「…1人で?」


「勿論。座れないと国内線の航空機移動難しいやん」


「それもそっか…」


 最近はプレミア席とかファーストクラスとかの値段に慣れた。

 お金は職業柄多く貰える。


「ラウンジ使う?」


「…いいの?」


「いいのいいの。ファーストクラス使うんだし」


 ファーストクラスに乗る人はラウンジに乗る事が許可されている。

 まぁ、ボクはJGCプレミア会員だからファーストクラスに乗らなくともラウンジを使える。

 …七海も入ればいいのに。




 新宿到着前…


<間もなく、終点。新宿に到着いたします。JR線・京王線・地下鉄線はお乗り換えです…>


 もうすぐ終点の新宿。

 さて、雨は一層酷くなっている。

 飛行機の飛ぶ飛ばないは、羽田で見よう。


「さ、降りよっか」


「うん」


<特急ロマンスカー。

 はこね72号をご利用くださいましてありがとうございました>




 バスタ新宿…

 バスはまだ辛うじて動いている様だ。

 さて、飛行機は羽田に着いてのお楽しみ~。


「さ、羽田までは乗り換えなしのリムジンバスだよ」


「バスかぁ…」


「ん?何か不満でも?」


 七海が不満そうな顔をしている!

 これは早急に解消せねばならない事案である。

 七海、何でもボクに行ってごらん!


「いや、飛ぶのかなぁ~って…」


「あ~…仮に飛ばなくても代替手段があるよ」


「う、うん」


 …こればかりは天の気分次第。

 ボクにはどうしようもできない。

 天よ!七海の笑顔に貢献するのです!


 …雨は晴れない。

 何故!何故七海の笑顔に貢献せんのだ!許せん!

 ミサイルでも何でも飛ばしてその腐った考えを―


「改めてくれるぅ!!」


「!?ど、どうしたの伊吹ちゃん…?」


「あ、いや、何でも…無いです…ハイ…」



 羽田空港第1ターミナル…


「さて…」


 今ボク達は選択を迫られている。

 何故かって?そりゃぁ…。


[17:55] [広島] [JAL] [265] [B] [5A] [遅延]


 はい、欠航では無く遅延です。

 これはですね。

 あの、まだ飛ぶって事なんですよ。えぇ。

 非常に悩ましい。

 今、飛行機を辞めて新幹線に変えると言うのは楽だ。

 しかし…!保安検査場を通過してしまうと非常に難しい。

 最悪の場合、空港に野宿する事になりますよ。

 …まぁ、ラウンジ使うしそれでもいいかもしれない。


「伊吹ちゃん…どうするの?」


「七海…ラウンジで泊まる覚悟はある?」


「伊吹ちゃんと一緒なら何処でも天国だよ?」


「よし、行こう」


「うん!」


 さぁ!保安検査場に突撃!


「…ん?保安検査場あっちだよ?」


「え?」


 七海が指さしたのはBの保安検査場。

 おっと、混んでるでは無いか。


「あ、そっちじゃないよ」


「え?」


「ボク達が使うのはあっち」


 ボクは専用の保安検査場を指さした。


「…え?」


「ボク達はファーストクラスの客だ。保安検査場も専用の奴」


「凄い…!」


 因みに、なんでファーストクラスを取ったのかって言うと…。

 …ファーストクラス以外空いてなかったから…。

 うん…それだけ、Jクラスを使おうと思ってたんだけどね。

 仕方ないね。




 保安検査場を抜け、JALのダイヤモンド・プレミアムラウンジへ入る。

 ラウンジに入るのも久しぶりだ。

 飛行機自体は使ってるけど、ラウンジは使ってない。


「す、凄い…!」


 七海が目を輝かせております。可愛いですね。


「どうだい、これがJALの国内線のラウンジだよ」


「国内線…国際線もあるんですか…?」


「当然。むしろ国内線の方が珍しい」


「そ、そうなんだ」


「そうだね、国際線は結構あるけど。国内線は珍しいよ」


「確かに、お客さん全然居ませんね~」


「まぁ、国内線の移動でラウンジ使う人は少ないよね」


 と、そんな話をしていると。


「ね、今ここに居るのお姉ちゃん達と私だけだね」


「あ、確かに言われてみれば…って!?」

「摩耶!?何故!?」


 摩耶が後ろから話しかけて来た。

 なんで摩耶が居るの!?

お読みいただき、ありがとうございます!

ほんの少しでも「良いね」と思ったらブックマーク、評価の★の方を是非!

(付けると作者が凄い喜ぶよ)

よろしくお願いいたします!

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