第三十六話 表と裏
前回のあらすじ:旅館で夜鳴きそばを食べていた2人。
食べている途中にナンパ野郎が寄って来た。2人を口説き落とそうとする。
しかし、突発的な人格交代により海琴が登場。
その荒々しい口調を駆使してナンパ野郎を見事撃退。
そして、2人は部屋へと戻る…
「…私の方が先なんだよ」
「…うん?それはどう言う…?」
先…?どういう事…?
脳内が混乱して来た。
こういう時は落ち着いて宗谷本線の駅を唱えるのが1番!
「稚内、南稚内、抜海、勇知、兜沼、豊富、下沼、幌延、上幌延、南幌延……」
「お前…てっきり察してるって思ってた…」
「いやいや、え?どゆこと?」
「だーかーらー人格だよ人格」
「人格…先…えぇ!?」
「ようやく察したか」
「嘘…」
いや、驚いた。
まさか主人格が海琴だなんて…。
「えっとつまり、ボクが七海と呼んでいる方が交代人格と…?」
「おう」
「わぁ、驚いた」
本当に驚いた。
まさか…ボク見て来た七海は…本来の七海では無かった…。
海琴の方が…本当の七海だった…。
衝撃の事実にまたもや脳が混乱して来た。
宗谷本線の続きを…。
「安牛、雄信内、糠南、問寒別、歌内、天塩中川、佐久、筬島、音威子府…」
「お前らしくねぇ慌て様だな」
「そりゃ慌てるよ、高校の時からずっと見て来たのが裏だなんて事実…知ったら誰でもこうなるって!」
「ふーん」
この事実もそうだが、何故このような人格が生まれたのだろうと疑問に思う。
こういうのは、本人に問うてみるのが1番!
「なんでこう…人格が分かれたのかなぁ」
「…そりゃ…」
「うん」
さて、どんな返答が帰って来るか!
「……お前に気に入られる為だよ!!!」
「…え?」
「恥ずかしい事言わせんなよ…」
ボクに気に入られる為…?
あれ?最初に会ったときからそうだったと気がするんだけども…。
部活で初めて会ったとは思うけど…その前に会った事ある…?
「あれ、初めて会ったのは部活…」
「始業式の時だよ、始業式」
「始業式?」
「おん、始業式の日の朝だよ」
「朝…朝ぁ…?」
「………」
「……?」
「………」
「咲来、天塩川温泉、恩根内、紋穂内、初野、美深、南美深、智北、智恵文、北星、日進、名寄…よし、落ち着いた」
「………」
ありゃ、喋んないなぁ。どうしたんだろ。
「おーい?」
「…!?」
「あぁ、戻って来た。それで…始業式の朝…?会ったっけ…」
「お、覚えてないの?」
「覚えとらんけど」
あ、ボクが良く知る七海だ。
成程、人格交代の空白だったのか。
「その…ほら、登校するとき!」
「登校する時?」
登校…思い出してみよう。
どんなんだったかなぁ。
「ほら、伊吹ちゃん追い越したやん!」
「追い越した…?誰を」
「私を!」
「せやったかなぁ…あんま覚えとらんわ…」
長年に及ぶ標準語が主流の所での生活により、地元の神戸弁が出る事が少なくなって来た。
まぁ、部隊間の通信とか命令は標準語の方が伝わりやすいからね。仕方ないね。
小月で叩き込まれました。
「覚えてないんや…」
「せやなぁ、それから先の事はよぉ覚えとんのやけどなぁ」
「そっか…」
「うん」
「んで、ボクが追い越したから…?」
「それで…一目惚れしたんや…」
「…一目惚れ?」
「せやで」
「え?一目惚れでずーっとここまで付いて来よったんけ?」
「せやね」
「えぇ!?凄いなぁ…」
一目惚れで10年程付いてきた…これもまた驚愕の事実。
「ねぇ、伊吹ちゃん」
「ん?」
「常会の開会っていつ?」
「ん?今年は23やったと思うけど…と言うか何故今?」
何故急に常会の開会日を聞いて来たのかな。
ん~…飛龍関連では無さそう。それに③計画でも無さそう。
何なんだろう…?
「えっと…その…あの~…」
何処か恥ずかしそうですね。可愛い。
国会で恥ずかしがる事…?
何やろなぁ…。
「い、伊吹ちゃん。今何時かな?」
「ん?んーとね」
時間…時間。
この部屋に備え付けられた時計を確認する。
[23:41]
「2341やね」
「そろそろ寝ない?」
「そーだね。寝よう寝よう」
時間も時間だ。
そろそろ寝よう。
お布団はデカいのを1つ敷いてもらった。
これで七海の体温その他諸々を感じられる。
布団に潜り、七海を抱きしめて足を絡める。
七海の体温が直に感じられる。うん、素晴らしい。
「えへへ…暖かいね…」
「ね~」
七海の顔が若干赤くなってる。
何を今更恥ずかしがる事があるのかなぁ。
まぁ、可愛いからヨシ!
「伊吹ちゃん大好き」
「ボクも七海大好き」
そして流れる様にディープキスを行う。
最近はディープキスにも慣れてしまった。
慣れていい物なのかね、これ。
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