第三十二話 潜水艦の脅威(前編)
前回のあらすじ:尖閣諸島へ向かう輸送艦隊を護衛するべく、第一護衛隊と共に瀬戸内海を西進しはじめた。
そして、艦隊は屋久島付近に到達する…。
屋久島近海… 蒼龍飛行甲板… 1月7日… 09:21…
「寒い!!」
「じゃぁなんで出て来たの…?」
「気分」
「気分…」
「そ、気分!」
飛行甲板に出たくなったから出た。ただそれだけの事である。
それにしても寒いなぁ…!やはり海上は風が強い。
蒼龍の周りには輸送艦や駆逐艦、巡洋艦が沢山居る。
これが護送船団…!
まぁ、護衛自体は3度目だけど、こんな大規模な艦隊は初めて。
「司令!」
伝令兵だ。
どうしたのだろうか?
「ん?どうしたの?」
「司令!潜水艦と思しき反応が確認されました…!」
「何?うちの潜水艦ではないのか?」
「…はい!」
「分かった。すぐ戻る」
「はい。では…」
「い、伊吹ちゃん…!」
「まずいぞ~…これは…」
10分後… 蒼龍CIC…
「その後、反応は?」
「ありません。こちらが最終確認位置です」
「…対潜哨戒機を出そう。雷撃されないとも限らない」
「しかし今は戦中では…」
「艦長、このような時こそ様々な事態を想定して動くべきだ」
「は、はい」
「鰺隊、発艦セヨ」
「鰺隊は速やかに発艦!対潜哨戒に当たれ!」
秋波の初実戦だ。さて、どれ程の効果を出すか…。
楽しみだな。
蒼龍飛行甲板…
ブォォォォォォ…
「鰺1番機!発艦位置へ!」
秋波はプロペラ機だ。
それ故、射出機を必要としない。
「発艦!」
ブォォォォォォ…!!!
秋波は艦上機であるが、着水も可能である。
それ故、着水し聴音する事も可能である。
武装は、一七式誘導短魚雷2本に大量の爆雷を搭載。
当然、ソナーも積んでいる。
積んでいなければそれは、最早対潜哨戒機とは言えない。
「2番機、発艦!」
ブォォォォォォォ…!!!
「3番機に掛かれ!!」
発艦作業は続けられる…。
蒼龍CIC…
「鰺隊、発艦中。飛び立った機から対潜哨戒に移ります」
「了解」
「しかし…ここまで中国の潜水艦は出てくるのか…?」
「司令、まだ中国の潜水艦と決まった訳ではありません。今やテロ組織が軍艦を持つ時代です。潜水艦を持っていても、おかしくは無いでしょう」
「あぁ、そうだな」
あの能登半島の事案で証明されてしまった。
"テロ組織も海軍力を持つと"
それにしても、港は何処にあるんだ…。
[こちら、鰺2!潜水艦を大量に発見!鮫共がうじゃうじゃ居るぜ!]
「何!?大量に居るだと!?位置のデータを送れ!」
[あいよ]
秋波からデータが送られて来た。
そして、そのデータはCIC中央の地図モニターに表示された。
そのデータに、我々は驚く事となる。
「こ、これは…!」
「何だこの数は…!?」
「この海域には10隻以上の潜水艦が潜んでいるのか!?」
CICがざわつき始める。
そりゃそうだろう。参謀達が慌てているのだから。
「諸君らがそんなに慌てていては、乗組員が不安がるぞ」
「も、申し訳ありません…」
「さて…潜水艦か…」
正直ボクも心の中では動揺している。
まだ領海内だぞ…?こんなにいるのか…?
対潜警備がまだまだザルだと言う事か…。
[こちら鰺1、これより艦隊に最も近い潜水艦に対して警告用爆雷を投下します]
「了解」
同時刻… 鰺1… 機内…
「警告用爆雷!1番から4番。深度調整35。投下用意!」
「投下用意」
「投下!」
「投下」
後方のハッチが開き、警告用爆雷が投下される。
ガコン。ガコン。ガコン。ガコン。
「投下完了」
「さて、様子を見よう」
「水中で爆発音!」
「潜水艦、進路を変更!」
「やはり敵か!」
「進路、0-0-5…!蒼龍の方を向いています!」
「何!?」
「魚雷発射管開いてます!!」
「蒼龍に至急打電!平文でいい!」
「敵潜水艦、魚雷発射。注意サレタシ」
「はっ!」
蒼龍CIC…
「何!?魚雷だと!?」
「魚雷発射管が開いたみたいです!」
嘘だろう…?撃ち込んで来るのか…?
鮫共は何を考えているんだ…!
「突発音!確認!魚雷です!」
「三式雷防、囮魚雷!取り舵一杯!回避セヨ!」
「魚雷防御、開始します!」「囮魚雷発射!」「取り舵一杯!」
囮魚雷が発射され、魚雷防御装置が魚雷を途中で止めるべく、ジャマ―を起動させる。
これは効くのだろうか…?
「囮魚雷!効果無し!」
「魚雷防御装置!同じく効果無し!」
「魚雷、回避出来ません!」
「被害対策班用意!浸水に備えよ!」
「間もなく命中します!」
ドゴォォォン!
「被害を報告せよ!」
「左舷後方、船体に命中!浸水確認!」
「排水始め!早く穴を塞ぐんだ!」
「参謀長、我々は攻撃を受けて損害を受けた」
「そ、そうですが…」
「反撃するぞ。こういう場合は許可されているからな」
「は、はい!」
艦隊を攻撃した罪は重いぞ…!
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