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第二十三話 博多

前回のあらすじ:横須賀を向かう為に大湊を出港した二航戦。

その道中にタンカーの衝突事故に遭遇し、対処する二航戦。途中救出した人を搬送するヘリが無くなり困り果てていたその時、現れたのは一航戦の輸送機であった!

そして、一航戦の支援を受け無事搬送完了した。

その後、後処理の為に駆逐艦が4隻残りそれ以外は一航戦の護衛の下横須賀へ到着した…。

そして、伊吹と七海は休暇を貰いその休暇で博多へ向かう…。

 東京駅 のぞみ39号車内… 12月2日… 14:09…

 博多を目指して東京を発つ。

 その為の第一歩。博多行きの のぞみ39号 に乗り博多へ向かう…。

 第一歩で全工程を成し遂げてしまうなぁ。

 今回は贅沢に緑車(グリーン車)を使って約5時間乗車する。

 博多到着は19:06の予定。宿は既に京奈(けいな)インを予約してある。ビジネスホテル萬歳!

 外は猛吹雪。東京でこれなのだから、東北のあたりとかヤバそうですね。

 当然七海を連行…いや、付いてきたの方が正しいかな?


「外は猛吹雪ですねぇ~…」


「ね。ホームとか風凄かったよね」


「ですね~」


 列車が動き出した。

 他の在来線と違い、静かに動き出す。

 それは走行中においても変わらない。

 客は少ない。自由席と指定席はそれなりに乗っていたが、緑車(グリーン車)はそれほど乗っていない。


「他に乗ってるのは…3人くらいですね」


「少ないね」


「少ないですねぇ~」


「鉄道の本分は旅客輸送だからね、最悪動く鉄箱に人間詰め込めばヨシ!」


「極論ですねぇ」


「そ。でもこんなのだったら誰も乗らないでしょ?」


「そうですね~」


「だからこうやって快適な座席が設置される」


「…何の話してるんですかね?」


「さぁ?」






 岡山発車後…


「んー…。ふわぁ…」


 んあ…?ここ何処…?

 ボクは何処からか寝ていた様だ。


「おはようございます」


「何処…?」


「岡山を出た所ですよ」


「ボクはいつから寝てたの?」


「品川を発車した後ですね~」


「そっか…」


 岡山か…。新神戸の駅名表を、一度拝んでおきたかったな。

 ボクの故郷の神戸。家族旅行の時はいつも新神戸のホームから始まった。

 七海は大阪…八尾南。よく考えたら八尾南(やおみなみ)から神戸の垂水(たるみ)まで毎日通学してたんだね…凄いなぁ。


「ねぇねぇ」


「はい?」


「なんでわざわざ神戸の高校選んだの?」


「それは…」


「それは…?」


「…………」


「…………」


「教えませんっ☆」


「なんじゃそりゃぁ!」


「えへへ~」


「えへへ~じゃないよぉ。教えてくれないの?」


「これは先輩と言えども教えられませんっ!」


「そっかぁ…」


 まぁ、何かしらの理由はあるという事で…無理やり納得した。

 次は福山に停車する。岡山と来たら広島まで止まらないで欲しいけど、その役割はみずほに譲っちゃった。

 さぁ、博多まで後2時間だ。





 博多駅… 19:07…


「博多~」


「到着!」


 博多に到着した。

 さぁ、宿に荷物を預けに行こう。

 博多から地下鉄で1駅の祇園にある。


「さ、地下鉄の方へ向かおう」


「は~い」


 地下鉄博多駅… 19:18…


「後2分か」


「人が沢山居ますね~」


「ね。流石は博多だよね」


 祇園までは地下鉄で1分。大通りを歩ける距離であるが、使える物があるなら使おう。


<2番乗り場に、姪浜行き電車が到着します。

 ホームドアから離れてお待ちください。

 この電車は、中州川端駅で貝塚行き電車に接続しております>


 ガタン!ガタンガタン…

 キィィィ…。プシュー。

 ピロン♪ピロン♪


<博多、博多。

 この電車は、姪浜行き電車です。

 JR線・新幹線方面はお乗り換えです>


 ガラガラ君(キャリーバッグ)を少し持ち上げて車内へ。

 車内には空港からの客が多数乗っていた。


「沢山乗ってますねぇ」


「空港からの客だろうね」


「福岡空港…何であんな街の中にあるんですかね?」


 そんな疑問を投げかけたと同時に扉が閉まった。

 新幹線と違い、音が大きい。しかしこれは、新幹線と比べたらの話だ。


「えーっと、確か…。元々空港があった所まで街が広がったって言う話だった気がする」


「へぇ~」


「あはは、これが事実かは忘れちゃったけど多分事実」


「そうですか~」



 祇園駅… 19:21…


 列車を降り、改札へ向かう。

 エスカレーターが近かったからエスカレーターに乗る。


「人ちょっと多いですねぇ」


「でも、博多より少ないよね」


「そうですね~。所で何番出口ですか?」


「6番6番。エレベーターのある所…と言うか、エレベーターしか無いね」


「6番…あっちですね!」


 改札を出ると同時に七海が6番出口を発見。


「あの通路の先ですね!」


「そそ」



 大博通り… 19:27…

 宿はすぐ隣にある。

 徒歩0分とはまさにこの事。


「あ、これですね」


「そうそう」


「先輩ってクラブカード持ってましたよね?」


「うん。持ってるよ。これで10%割引~しかも他の奴と併用できる。凄い代物」


「凄いですね~!」



 京奈イン博多祇園… 511号室…

 ダブルルーム!これしか空いてなかったよ!


「…ダブルでごめんね?」


「いいんですよ~先輩ですから~」


「そっか」


「所で先輩、これから何処に?」


「ん?ふふっ、ちょっと、ね?」


「そ、そうですか」


「まぁ、楽しみにしておいてよ」


「は、はい!」


「じゃ、行こうか」


「はい!」


 荷物を置いて、再び地下へ潜る。

 七隈線に乗って橋本方面へ向かう。

 カメラは持った!お金も十分!さぁ、出撃!




 七隈線… 車内…


 ガタンガタン…


「人は少ないですねぇ…」


「そうね。でも快適でいいんじゃない?」


「そうですね~」


<七隈。七隈。

 降り口は、右側です。

 扉付近の方は手を挟まれないよう、ご注意ください>


「さ、降りるよ」


「七隈…ですか?」


「そう。七隈」


「何があるんですか…?」


「まぁまぁ、付いて来てよ」


「は、はい!」


 ガタンガタン…



 福大通り…

 地下から脱出し地上に上がった。

 交通量は少なめだ。

 さぁ、ここから福大通りを東へ向かう。


「先輩…何処に行くんですか…?」


「まぁまぁ、怪しい所でも無いし危害を加える訳でも無いし。安心してよ」


「は、はい…」


 七海は少し不安そうだ。

 まぁ…仕方ないよね、うん。


 福大通りを東へ進み、3つ目の交差点を北へ曲がる。

 完全に住宅街の路地だ。街灯の間隔は広く、一部は壊れている物もありだいぶ暗かった。


「せ、先輩…」


「大丈夫大丈夫」


 いつの間にか七海が手を握っていた。

 …まぁ、ボクも初めて来た時は怖かったね。しかも迷ってた時だし…。


 そして、数分歩くと…。


「ここだよ」


 目的の場所に到着。


「こ、ここって…」


 木で出来た引き戸。

 そして3枚の暖簾(のれん)

 その暖簾にはこう書かれている。

鮨 筑後(すし ちくご)

 …と、書かれている。


「あははっ、驚いた?」


「ここって寿司屋…!しかも回らない!」


「そう。回らない寿司屋」


「でもなんでこんな所…」


「まぁ、色々あるんだよ。そんな話は中でしよう。お代は全部ボクが払うよ」


「いやいや!そんなそんな!先輩に全額奢らせるなんてとんでもない…!」


「いーやいや、ボクが全部払うから、ね?ね?ね?ね?ね?」


「…そ、そうですか…」


 よーし、圧の勝ち!

 さ、入ろう~。


 ガラガラ…(引き戸を開ける)


「いらっしゃい!」


「お久しぶりです。大将」


「おっ!伊吹ちゃんじゃないか!久しぶり!さぁ!座って座って!」


 ボクは大将の目の前に座り、七海が右隣に座る。

 大将は七海に少し驚いていた様だ。


「せ、先輩…」


「あぁ、話がまだだったねぇ」


「どうしてここを…?」


「それは…」


 と、ボクが話し始めようとすると…。


「偶然だよ偶然」


 大将が割って入る。


「伊吹ちゃんが大学2年の時だったね…」



 ~~時は遡り航空学生2年目~~

 福大通り…


「やっべ…迷った…」


 迷 っ た ! 

 ヤバイヤバイ。

 目的の飯屋が閉まってたので代わりの飯屋を探している。

 あゝ、どうしよう。

 それに駅までの道のりを忘れてしまった。

 どうしよう…取りあえず、飯屋を探そう。


 22分後…


「ん?あそこにしよう…」


 飯屋と思われる所を見つけた。

 もうお腹が限界を迎えている。

 もう…何でも良いや…。


 ガラガラ…(引き戸を開ける)


「!いらっしゃい!」


 ~~時は戻る~~


「…って言う感じで偶然入って来た訳よ」


「そうなんだよねぇ…」


「迷っちゃったんですね…」


「遅くなっちゃったけど、この子は?」


「ボクの後輩ですよ~」


「ほ~。この子が言ってた後輩か~。う~ん。可愛い!」


「うぇ!?そ、そんな…わ、私が…か、可愛いだなんて…その…」


 七海の顔がほんのり赤くなる。可愛い。


「あはははっ!」


「あ、日本酒頂戴」


「あいよっ!日本酒何にする?」


「蒼龍蒼龍」


「あ~い蒼龍ね~」


 圧倒的常連の会話に困惑する七海。

 うーん、可愛いね。


「そう言えば伊吹ちゃんってつまみ頼まないよね」


「別に酒単体でも飲めるし?」


 コト…


「肝臓強いねぇ…!」


「それ程でも~」


「あ、嬢ちゃん何飲む?」


「わ、私はビールで!」


「OK、何飲む?」


「えーっと…な、何でも…!」


「じゃ、これを」


 コト…


 大将は一番良い物を出してきた。

 七海は酒は強い方である。


「おつまみはどうする?」


「て、適当に何か見繕って…」


「了解~」


 コト…


「はい、アオリイカだよ」


「わぁ…!」


 七海が目をキラキラさせている。

 可愛いですね。護らねばならぬ。


「あ、イワナ頂戴~」


「あいよ」


 大将が慣れた手つきで寿司を握る。

 この景色にも慣れた。


「はい、イワナだよ」


「は~い」


 イワナの握り。(5貫)

 最初の方は白身から食べると良いらしいのでそうしてる。

 たまに大トロしか食わない時があったけどねぇ…ハハハ。

 手で掴み、お醤油を付けて食べる。


「ん~美味い」


「わ、私何食べようかな…うーん…」


 七海は初めての高級寿司。悩むのも当然だよね。


「先輩、何にしたらいいですかね…?」


「ん?おまかせでいいんじゃない?」


「はい。あ、大将!おまかせでお願いします!」


「予算はどれくらいかな?」


「えーっと…」


「20万」


「「ふぁっ!?」」


「せ、先輩そんなに出してもいいんですか!?」


「伊吹ちゃんそんなに出して大丈夫…?」


「大丈夫大丈夫!」


「そ、そっか…じゃ、じゃぁ、20万ね…了解…」


 少し引いてる大将。

 仕方ないね。


「所で先輩って、手で食べるんですね」


「うん。こういう所は手で食べてるよ」



 20分後…

 ボクは大トロを10貫くらい食べていた。

 やっぱり大トロはいいね。

 これまで食べたのはハマチ・タイ・マグロ・中トロ。

 それぞれ4貫づつ。中トロは6貫。

 お酒は蒼龍が2升と菊正宗が2升。

 日本酒は良いね。


「ふ~…美味しかった」


 七海が20万のお任せコースを食べ終えて満足してる様だ。

 あ、そうだ忘れてたよ。


「大将、赤だし頂戴」


「赤だしねっ、OK」


「あ、そうだ」


「ん?」


「そろそろ教えてくれよ」


「え?」


「職業」


「あぁ~…はいはい…」


「うぇ?」


 七海が目を丸くしている。

 まぁ、当然か。

 ボクはここまで大将に職業を明かさなかった。

 理由は…特にないが…。


「これを見ればわかるよ」


 ボクは鞄から軍務手帳を取り出す。

 身分証明書的存在の軍務手帳。


「こ、これは…!」


「これでも司令なんだよ」


「えーっと…す、凄いね…って、もしや…!お嬢ちゃんも…?」


「えへへ…たかが中佐ですけどね…」


「お、俺が思ってたより凄い人だったんだな…」


「え、因みに聞くけど何だと思ってたの?職業」


「警察官とか…消防士とか…救急救命士とか…」


「あはは…でも公務員って事は察してたんだねぇ」


「あぁ、雰囲気で分かるんだよ。おかた~い雰囲気が漂ってるよ」


「えぇ?そんなボク堅いかなぁ…」


「堅い堅い。態度は全然だけど、どうも雰囲気がね」


「えぇ~」


「まぁ、堅さより全然寂しさが勝ってるけどね」


「………寂しさ?」


「あぁ、何処か…寂しい感じがね」


「…そう」


 大将は赤だしを置いた。

 ボクは一気に飲み干す。


「ふぅ…ごちそうさま。…お勘定!」


「あいよ」


 お勘定を速やかに済ませ、店を出た。

 どうも、大将の最後の言葉が引っかかるな…。まぁいいか。




 **視点変更 伊吹→三沢**



 翌日… 京奈イン…  03:22…


「ん…」


 あれ…?今何時だろう…?

 3時…。早く起き過ぎたみたい…。

 先輩は…。


「あ、起こしちゃった?」


「あ、はい…」


「ごめんね」


「いえいえ!そんなそんな!」


 先輩のせいじゃないです!

 何も問題はありません!


「所で先輩、何処に行かれるんですか?」


「ん?ちょっとね。七海も来る?」


「はい!」



 ホテル前の大通り(大博通り)…

 大通りに出て来た。

 大通りは街頭だけが道を照らしていた。

 博多駅の方向を見ると、博多駅だけが煌びやかに光っていた。

 先輩は何処に行くんだろう?

 私達は博多駅の方へ向けて歩き始めた。


「「………」」


 先輩がちょっと不思議な雰囲気を出してる。

 …なんだか、この雰囲気好きだな。


 博多駅の方向へゆっくり歩く。

 目的地は博多駅なのかな?

 そう思ってると…。


 フッ!


 街灯が消えていく。

 それも、先輩が通り過ぎると同時に…!

 順番に消えていく。

 …どうして?


「せ、先輩?」


「ん?」


「が、街灯が…!」


「そうだねぇ」


「こ、これって先輩が…?」


「…さぁ、どうだろうね?」


「え、えっと…」


 ちょっと…怖い…。


 トテ…トテ…


 先輩がゆっくり博多駅の方へ進む。

 でも私は怖くて先に進めない…。

 …もしかして…夢…?

 それにしてはやけに現実感が…。


「………」


「…?」


「これが現実か夢か。どう思うかは七海の自由」


「うぇ…?」


 そう言うと先輩は一回転して私の方を向いて…。

 ゆっくり近づいてくる…!

 …本当にあれは先輩…?


「ヒッ…あっ…」


 ++人格交代++


「く、来るんじゃねぇよ…!

 こっちに来るなよ…!なぁ…!

 あぁ…!あぁ…!」


 私は思わず目をつぶる。

 そして…



 京奈イン・・・ 05:22


 ガバッ!


「はっ!」


「あぁ…あぁ…ゆ、夢か…?」


 あれは夢だったのか…?

 アイツは…


「スゥ…スゥ…ムニャ…ヌッコ…」


 寝てやがる…夢だったのか…?


「うーん…ふぇ…?」


 あ、起きた。


「あ、七海…おはよう…」


「お、おはよう…」


 私は思い切って聞いてみる事にした。


「な、なぁ」


「ん?」


「よ、夜…お前、外出てないよな…?」


「うぇ?うん…出てないよぉ?どうしたの?」


「え、えっとな…」


 私は夢らしき事を全部話した。


「はぇ~、怖い夢だなぁ…」


「だろ?」


「いやぁ、恐ろしいねぇ。まぁ、夢で良かったじゃないか」


「そうだな」


「さ、コンビニ行こう…って」


「あ?どうした?」


「靴が無い…!」


「は…?」


「いや、靴が無いんよ!ここに置いたのに…!」


「はぁ?別の所置いてんだろ」


「そ、そうだよね…」


「「ん?」」


 パタン。


「い、今誰か…覗いてたよな?」


「そ、そうだね…」


「も、もしかして…!」


「い、いやいやいやいや、ある訳無いって…!」


「そ、そうだよな」


「でも靴が…!」


「「………」」


 あれは…現実だったのか…?

お読みいただき、ありがとうございます!

ほんの少しでも「良いね」と思ったらブックマーク、評価の★の方を是非!

(付けると作者が凄い喜ぶよ)

(祝!六万字突破!)

よろしくお願いいたします!

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