第十六話 荒波超え征く二航戦(中編)
前回のあらすじ:日本海の哨戒任務に出撃した二航戦。
そして能登半島沖を通過し、伊吹と三沢はあの"事件"の事を思い出し、語り合う。
そしてその翌日。謎の艦隊を発見した二航戦。軍令部に判断を仰いだ所、監視を続けよと命令下る。
伊吹は嫌な予感がしてたまらなかった…。
「艦隊は?」
「未だ領海内に居ます」
「監視を続けろ…か、まぁ、下手すればあちらの国と戦争になるかもしれないからな…」
「司令、まだ国と決まったわけじゃありませんよ!」
「いや、流石にテロ組織であっても軍艦は持ってないでしょう」
「いやいや、あり得るかもしれませんよ?戦車を持ってる組織もあった位なんですよ?」
「うーむ…」
隼隊が艦隊の監視を行っている。命令に従って、しっかり監視している。
しかし、ボクはあの艦隊が…何かをやらかしそうでたまらないのだ。
しかも隼の隊長は…………。いや、きっと…何とかなるはずだ。
何とかならない訳がない、どうとでもなるんだ。
ボクは自分にそう言い聞かせて冷静さを保つ。
「司令!」
「!?び、びっくりしたぁ…」
緊迫した空気のCICに赤穂の呼ぶ声がこだまする。
「もっ!申し訳ありません…」
「で、どうしたの?」
「あの艦隊…見覚えがあります!」
「見覚え?何処で」
「…私の父が誘拐される時でした」
「はっ?誘拐?えっ?」
ボクは赤穂の衝撃の過去のほんの一部を聞いてしまったのだ。
誘拐?誘拐だと?どう言う…
「私の父は、丁度私が高校生2年生の時に誘拐されました…」
「そ、それで?」
「…遺体となって…帰って来ました」
「………」
CICが悲しいムードに包まれる。
皆沈黙してしまった。
「…で、誘拐される時にあの艦隊を…?」
「はい…私の目の前で父は誘拐されました。
丁度、海岸でゆっくりしてる時でした…」
~~赤穂の回想~~
「お父さん、海風は気持ちいいね!」
「そうだな弥生」
「ん?何あれ?」
「ん?あぁ、きっと海軍の艦隊だ」
「へぇ~…」
すると隣に…
ババババババババババババババ…
「あれ?ヘリコプターだ」
「本当だ、何かあったのか?」
そのヘリの中から、沢山の武装した人が出て来たんです!
それで…その人達は…
「お、おい!何をするんだ!は、離せ!」
お父さんを拘束して…ヘリの中へ連れて行ってしまったんです。
「止めて!お父さんに何するの!」
「ん?なんだコイツ?生意気な奴だなァ!」(赤穂を殴り飛ばす)
「きゃぁぁ!」
私を殴り飛ばした後…ヘリはすぐ飛んで行ってしまいました…。
ババババババババババババババ…
「待って!返して!お父さんを…!お父さんを…!」
私は思わず…泣き叫んでしまいました…。
~~回想終わり~~
「それで、そのヘリはあの艦隊に…」
「成程…つまり、何処かの国の物では無いのだな?」
「はい、あの武装した人に書かれていた国旗らしき物は、何処の国の国旗でもありませんでした」
「分かった、軍令部に報告しよう」
「はい!」
「無線手!軍令部と繋げ!」
「はっ!直ちに!」
無線手は軍令部への無線を繋ぐ。
「発、第二航空戦隊。宛、海軍軍令部
現在能登半島沖ヲ航行中ノ国籍不明ノ艦隊ハ、地球上ノ国家ノ物ニアラズ。何処カノ組織ノ所有物デアル」
「司令…」
「ん?」
「…攻撃できるのでしょうか?」
「さぁ?分からない。しかし、国家の艦艇ではない事が分かったからね。
これで軍令部も判断しやすくなっただろう」
「そうだと良いですね…」
「返信来ました!」
「読み上げろ」
「はっ!
発、海軍軍令部。宛、第二航空戦隊。
当該艦隊ヲ直チニ殲滅セヨ。アノ艦隊ハ、テロ組織『アスカラズ』ノ艦隊デアル。
・・・…以上です」
「…攻撃命令か」
「はい、攻撃命令です」
「…了解した。航空参謀!」
「はっ!」
「直ちに隼と白鷺を帰投させ、対艦装備にて出撃させよ」
「了解しました、直ちに呼び戻し、再度出撃させます」
「うむ」
ニ十分後 蒼龍飛行甲板
「対艦装備だぁ!ASM-3を4発積んでやれぇ!」
「し、しかし重量が…!」
「んなこたぁ、三沢達が何とかしてくれるぅ!私達は希望に応えて積むだけだ!急げぇ!」
「は、はい!」
甲板上では着陸して来た機体の給油及び武装転換が慌ただしく進んでいた。
給油と武装転換が完了した機から順番に発艦していく。
蒼龍は着艦・発艦が同時に行われると言う状況になっていた。
そして、全機発艦を終えたのは32分後の出来事であった。
隼・白鷺各隊は敵艦隊へ向け、前進する。
出撃した彼女らに待ち受ける未来は……一体。
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