第十四話 再会する姉妹
前回のあらすじ:爆弾低気圧を耐え、佐世保に帰投した二航戦。
便利屋と揶揄されている事に困惑していた、すると艦隊司令から『舞鶴に行け』との命令下る。
その命令を受け、佐世保を出港した二航戦。
伊吹は舞鶴で基地司令の任に付いてる自身の妹に1年ぶりに会う事に胸を躍らせ、舞鶴へ向かうのであった。
10月3日 舞鶴基地 北吸係留所
蒼龍は北吸係留所に横付けした。
横付けが完了してすぐタラップが降ろされた。
「ここが舞鶴ですか~!」
「うん、ここが舞鶴基地。北吸係留所」
蒼龍の後方には浦波と綾波が停泊している。
その2隻も同じようにタラップが降ろされている。
あれをタラップと呼んでいいのか、分からないのだがタラップって呼んでる。
「あれ?誰か居ますよ先輩?」
「ん?」
あ、ホントだ。誰か居るよ。
「お姉ちゃん!」
摩耶!迎えに来てくれたみたい。
ボクはタラップを駆け降りる。
「摩耶!」
「お姉ちゃん!」
地に足を付けると同時に摩耶に抱きつく。
ギュ~ッ!
「えへへ、久しぶりだね!」
「1年ぶりだね!お姉ちゃん!」
ナデナデワシャワシャ(お互い頭を撫でまくる)
「そうだね~!観艦式以来だよ!」
チュッ
「えへへ、舞鶴へようこそ!」
ん?七海が何か言いたげ。
「どったの七海?」
「いや、今しれっとキスしましたよね?」
「したね~」
「そ、そうですか……」
なんか若干引いてる。
でも気にする事じゃないや~。
「さっそく基地を案内するよ~!」
「おっ、宜しく」
30分後…… 基地司令室
「ここが、私が居る部屋」
「へぇ~、いいねいいね」
「そ~だ!久しぶりに飲まない?」
そう言うと、摩耶は棚から赤ワインを1本取りだした。
今は14:55。少し早すぎないだろうか?
「早すぎないかな?せめて日が落ちてからの方が良いんじゃないかなぁ」
「ん~、そうだね。それが良いかな」
摩耶は棚に戻さず、机の上に置いた。
「他になんか聞きたい事とかある?お姉ちゃん」
「ボクまだ任務聞いてないんよ、『基地司令から聞け』とだけ言われてさ」
「えぇ~!?てっきり聞いてると思ってたよ」
「普通、そう思うよね」
「じゃ、教えるね~」
「うむ、頼んだ」
ボクは任務を摩耶から聞いた。
その任務とは……
『日本海の空母艦載機による哨戒』
ボクが予想していた物と同じだ。
「ねっ、お姉ちゃん!蒼龍の中を見たいな~!」
「ん?いいよ~、案内するよ」
「わぁい!」
32分後…… 蒼龍艦橋
ボクは摩耶に艦内を案内した。
「ここが艦橋だよ」
「へぇ~、意外と広いね」
「そうでしょ?結構広いんだよね」
「これが舵かぁ~」
「CICでも操舵は出来るけど、基本は艦橋でやるよ」
「へぇ~」
司令室……
「ここがボクの部屋だよ」
「あっ!日本酒!」
摩耶は棚にしまってある日本酒を見つけた様だ。
「お姉ちゃん相変わらず日本酒好きだね~」
「ふふっ、ボクはワインより日本酒の方が好きなんだよ」
「え~?ワインの方が美味しいのに~」
「いやいや、日本酒の方が美味い」
「何~?」
「ほ~う~?」
「「……アハハハッ!」」
「いやぁ~、意外に質素だね~」
「ふふっ、豪華客船じゃないよ。"戦闘"をする船だからね、豪華な訳がないよ」
「武装は、豪華だけどね?」
「それが、軍艦の宿命だよ」
「そういえばお姉ちゃん」
「ん?」
「二航戦って軍令部で便利屋って呼ばれてるらしいんだけど、本当かな?」
「あ~……多分本当だと思うよ?」
「そっかぁ~」
21:11 基地司令室
「「乾杯」」
チリン!
グラスが良い音を立てると同時に、ワインを飲み干す。
「はぁ~……うん、ワインも良い」
「ワインも良いでしょ?」
「せやねぇ」
「確か出港って明後日だったよね?」
摩耶はグラスを回しながら聞く。
「そうだねぇ、領海内に侵入した韓国軍艦艇の見張りと言った所かな。攻撃は出来ないよ」
攻撃してしまえば、戦争状態になる。
たかが1人の軍人に、開戦決定は出来ない。
「摩耶って、最初から基地司令を望んでたんだっけ?」
「そうだよ、お姉ちゃんはパイロットだったよね?」
「まぁ、そうだね。その為の訓練課程も受けたし……」
「でも、途中で幹部学校に放り込まれた」
「それのせいか知らないが、今こうして航空戦隊の司令だ」
「そうだね~」
「上は何を考えてるんだか……良く分かんないよ」
「たまに何考えてるか分かんないよね、艦隊司令」
「あ、やっぱり?」
トクトクトク……
ゴクッ
「はぁ~、無茶な事良くするし、お酒が無いとやっていけないよ~!」
ボクはグラスにワインを注ぎ、そして摩耶に愚痴をこぼす。
こうして愚痴が言えるのは摩耶と七海だけだ。
「基地司令で良かった~。艦隊司令だったらどんな無茶な事を言われてたか……」
「そういう点で見ると、基地司令は羨ましいなぁ~!」
ボクは基地司令である摩耶を少し羨ましく思っている。
なんせ、自分が望んだ所に配置されているのだから。
「でも基地司令って、ずっと同じ所に留まってる訳でしょ?」
「まぁ、そうだね」
「色んな所に行ける艦隊司令は羨ましいなぁ~!」
「「アハハハッ!」」
23:45 将官寝室
「ふわぁ……」
ボクはベッドに入り、明後日の出港の事に付いて考えていた。
すると……
コンコン
「……ん~?」
ガチャッ
誰かが入って来た。
誰だろう?
「先輩……」
七海だ。何か用かな?
ボクに関する用事は何かあったかなぁ、と考えていると……
ボフッ!
「!?」
七海がボクに覆いかぶさって来た!?
えっ、ちょっ、えぇ?
「な、七海?」
「先輩……!」
なんか顔が赤い。
あれ?酔ってない?
「先輩…!キスしてください……!」
「えぇ!?い、いきなり?」
「無理だとは言わせせんよぉ……あの時普通にしてたじゃないですかぁ……」
あぁ!酔ってる!間違いなく酔ってる!
ん~、まぁ、七海だしキス位してもいいや。
「わ、分かったよぉ」
「えへへ~♡先輩~♡」
七海が明らかにまずいという事は、誰も目から見ても明白である。
誰に飲まされたんだか……どうせ、舞鶴の基地の奴らだろう。
「先輩♡大好きでしゅ♡」
そう言うと七海はボクの口に唇を重ねた。
チュッ♡
「ん~~……ん~……Zzz……」
・・・…キスしたまま寝てしまった様だ。
これは添い寝ルートかなぁ?
「プハァ」
ボクは七海の背中を撫でる。
七海の温かさが手を通じて伝わる。
「よいしょ」
七海を横にどけ、抱きしめる。
七海の温かさが身体に直に伝わる。
そして、ボクはその温かさに癒されながら眠りに付く……。
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