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第十二話 爆弾低気圧接近中、警戒セヨ

前回のあらすじ:中国漁船群に対し再度駆逐艦を2隻突入させた伊吹。

しかしただ突入させるのではなく、威嚇射撃を行うという物。

そして、伊吹は漁船群が工作船である可能性を鑑みて駆逐艦に報告をさせる。

しかし、報告の内容は全て漁船であるとの事。しかし、腑に落ちない。

伊吹はその違和感をもみ消すのであった。

 中国漁船群に違和感を覚えていると佐世保より伝令が入った。

 その伝令の内容とは『爆弾低気圧接近中』という物だった。

 わざわざ伝令を寄越して警告する程の低気圧。凄まじい物なのだろう。

 そういえば最近まともに天気予報を見てなかった。そのツケが回って来たのかな?


「爆弾低気圧ねぇ……風速とかなんか入ってる?」


「風速は31m/sと入っておりますが」


「31だと!? 31か……」


「これは、漁船と遊んでる場合じゃなさそうだ」


「引き返しますか?」


「いいや、引き返すにしても遠すぎる。佐世保まで戻るのに2日はかかる」


「で、ではどうするんです?」


「そりゃ、ここでじっとするしかない」


「えぇ?せめて低気圧の進路から外れるとか……」


「いいかい?少尉、あの低気圧は巨大だ」


「はい、そうですね」


「あまりにも大きすぎて進路から外れようとしても、どこかで追いつかれる。

 それなら動かず耐えていた方が良いと考えた訳だ」


「そ、そうですか……」


「あまり納得が言って無いみたいだね」


「最大限努力して進路から外れるべきでは?」


「あぁ、後言っとくと進路はあんまり正確じゃないよ」


「え?ど、どういう事ですか?」


「今の時点では本州に向かうけど、突如朝鮮半島の方に進むかもしれないって事」


「な、成程」


「納得したみたいだね」


 説得成功!

 耐えると言っても佐世保に帰りつつ耐える。

 任務は明日までだが、我々の安全を鑑みると今から帰投し始めた方が良いだろう。


「これより我が艦隊は、低気圧をやり過ごしつつ佐世保へ帰投する!艦隊第二戦速!進路を佐世保へ!」


「第二戦速!進路佐世保!」


 艦隊は佐世保へ進路を変えた。

 この行動に漁船群は多少の混乱を見せていたが、我々が引くと分かればこちらを煽り始めた。

 しかし、気にする必要も無い。煽る奴なんて荒波で転覆してしまえばよいんだ。


「先輩」


「ん?」


「この艦隊、耐えれますかね?」


「風速31m/s程度なら、転覆もせずに耐える。窓も割れないよ」


「そうですか……」


「爆弾低気圧と聞いて皆身構え過ぎだ。名前が禍々しいが、観測データを見て見ればそれほど強くない」


「大丈夫、なんですね?」


「あぁ、大丈夫なはずだ」


「『はず』?」


「どの事象にも『絶対』は無い。いつ何が起こってもおかしくない」


「成程」




 五時間後


 遂に低気圧に突入した。

 外は豪雨と暴風に襲われていた。雨音と風音が艦橋に響き渡る。

 海は大荒れ、視界は悪い。


「……前が見えないな」


「はい」


 大雨のせいで前が見えない。

 船の揺れも激しい。多分、船酔いする人も出てくるだろう。

 さぁ、この低気圧が過ぎ去るのはいつになるのやら。


 一時間後 司令室


「やっぱり大雨の中、こうして屋内で籠ってるのは、謎の優越感を感じる」


「そうですね~」


 七海もそう思うみたいだ。

 そういえば漁船群はどうなったのだろう?


「漁船群ってどうなったの?」


「さっき電探で確認したんですけど、7割が転覆・沈没したみたいですね」


「あははっ!あの時煽らずに大人しく避退してればあんな事ならなかったのにね!」


 ボクは思わず笑い声を上げてしまった。


「そ、そうですね~」


 あっ、七海が若干引いてる


「と、所で七海」


「はい?」


「次の休暇、ロマンスカー乗って箱根行きたいね」


「箱根!いいですね!温泉!入りたいです!」


 話をそらして何とか名誉を守る…。

 七海は温泉に注目を向けた、ボクの名誉は守られたのだ。


「VSE引退しちゃったからね、大人しくGSE乗りましょ」


「ん~私はMSEに乗りたいですね~」


「MSE?御殿場でも行くの?」


「いえ、メトロ直通の奴ですよ」


「あぁ、北千住から箱根に行くって事?」


「はい!地下区間の特急型ってワクワクしませんか!?」


「確かに、なんか地下区間を特急型が走って行くのって謎の高揚感があるよね」


「ですよね~!今度の休暇は箱根に行きましょう!」




 そして六時間が経過した

 低気圧は速度を弱めた。相対的に艦隊の方の速度が速くなった。

 そして佐世保に到着する時、丁度艦隊は低気圧を抜けた。

 その時、陸上に居た観測員から見た艦隊はまるで…。

【嵐を連れた艦隊】に見えたという。

お読みいただき、ありがとうございます!

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