胸が塞がる入学式! その2
ルシファから学校までは悪魔メイドの主任である銀髪のドミニクが案内してくれると説明される。
ルシファ屋敷の門前でドミニクと迎えの馬車を待つ。
王立大中等部の学生は馬車で送迎される。
霧が立ち込めて来る中で待つ事数分で白骨馬4頭に引かれた大型2連結馬車がやって来た。
軒を連ねる街並みは中世時代の禍々しい雰囲気が漂うロンドンという雰囲気。
首無しの御者が馬車を停止させる。
馬車のドアが開き中から車掌が出て来る。
せむし男だ!
雰囲気出てきた。
この世界から逃げられないなら楽しむしか無い。
世のせい悪魔のせいにしても現実は変わらないからね。
どこの世でも同じさ。
そこの枠で生きるしかないんだから、何とか活路を見出すしか無いんだよね。
せむし男、白骨の馬、首なし騎士…。
こりゃ人間世界で伝い聞く姿と実物との見比べもできるね。
上目遣いのせむし男の異様に長い腕に招かれる様に馬車の中に入る。
電車のボックス席を1.5倍ほど大きくした広さがある。
窓には真っ赤な厚手のカーテンが付いているが全て締め切ってある。
窓間にガラス筒に入った蝋燭の灯が仄かに揺らいでいる。
蝋燭の燭台は女性の様にしゃなりとした髑髏の立像。
薄暗い馬車内に入って座る場所を探すとドミニクが座る位置まで案内してくれた。
悪魔界は種族や家柄で慄然としたカースト制があり、馬車の座る椅子さえもそれ専用となっている。
ドミニクが案内してくれた椅子は馬車の一番後ろにある1人掛けの大きな椅子。
装飾が他の椅子とは一線を画している。
様々な人間の阿鼻叫喚の地獄絵図をあしらったゴージャスな彫刻が施されている。
気のせいかその彫刻からは呻き声が聴こえる気がする。
ルシファの孫の待遇は最上位の扱いのようで後ろの席まで行く間には10席ほどあったがそれぞれ
の椅子に座っている生徒が興味津々で視線を投げる。
囁き声…。
「あのお方がルシファ様の孫なのか、まるで人間じゃないか」
「そう人間の匂いがする」
人間は我ら悪魔族にとって特別な存在。
糧、その甘味なる魂。
魂は七色の珠玉の光を放つ。
人間界に渡航する事を許された最上級悪魔のみが味わう事ができる限られた美味。
そして齎される爆発的力。
力こそ存在の証その力を維持続ける事がカースト世界で君臨し続ける命題。
人の魂を喰らう事が出来る特権で上級悪魔はカースト制上位を数千年間堅持している。
血でさえ夜魔バンパイアの力の源である。
憧れ崇高な存在。
無限の力を宿す魂を持つ人族には当然単なる糧だけでは無い尊厳なる供物としての畏敬の念が抱かれ
ている。
その人族が目の前を通る。
まだ悪魔界に出る前の学生の悪魔にとってこれ程刺激的な出来事はないだろう。
更にルシファの孫というカースト社会の最上位のクラス。
席を案内する悪魔メイドも最上位バンパイアのエルダーバンパイア。
バンパイア族の中でも最上級に位置する。
兎沙戯は超上流階級となる。




