異世界で頑張ります(8)
疾風がウチに来て三ヶ月程たった。
精霊達に頼んでいた疾風の家が見付かったと言うのでにぃにとねぇねを連れてやって来た。そこは洞窟で 木が上手い具合に入り口を見えにくく隠してくれていてとても良さそうだ。思っていたほど森の奥ではなく家からも然程遠くない。獣達も特に見当たらない。
「いいんじゃないかな。どうはやて?」
『そうだね。周りには果物もあるし、もう少し森の奥に行けば獣達も居るだろうからいいと思う』
「にぃにとねぇねはどうおもう?」
「うん。家からもそんなに遠くないしティアが来るのにも困らないんじゃないかな」
「そうね。明るいうちに遊びに来るのには大丈夫そうね」
『そうだろう。頑張って探したんだぜ』
『本当、大変だだったんだから』
『感謝しろよ』
一生懸命探した、誉めてとアピールしてくる精霊達に疾風と二人 お礼を言った。
最近の疾風はねぇね程の大きさになっていて じきにウチに出入りするのも難しくなるんじゃないかと思っていたので やっと見付かったことに安心した。これで何事もなく人目につかず暮らしていければいいんだけど・・・。
わたしもパパンやママンをこんな気持ちにさせてるのかもしれないと ふと思った。
(少しでも早く独り立ちしてパパンやママンを安心さてあげたい。もっと強くなって自分を守りきれるようにならなきゃ。明日からもっと力を入れて特訓しないとね。後はご飯も作れないといけない。前世で作ってたから今も作れるとは思うけど この小さな手でどれだけできるだろう?とにかくもっといろんなことが一人でできるようにならないとね。うん!)
一人で気合いをいれてるとにぃにが帰る時間だと言ってきた。
「お店の手伝いに戻らないといけないから そろそろ帰ろうか」
「そうね。ハヤテの家も決まったことだし今日は帰りましょう。次はもう少し早い時間に来て洞窟の中を見に行ってもいいわね」
「うん!」
家に帰りパパンとママンに疾風の家が見付かったことを告げるとよかったねと喜んでくれた。
その夜新しい家について疾風と二人で話し合った。
「いいところがみつかってよかったね」
『うん。みんなと離れちゃうのは寂しいけどね・・』
「たしかにいえはべつべつになっちゃうけどまいにちあえるよ!」
『そうだよね。毎日会いに来るよ!』
「うん!でもすぐにでていくわけじゃないし、そのまえにあのどうくつをすみやすくしないとね。っていってもたいしておもいつかないけど、わらをもらってしきつめて からだがいたくないようにしないと。あと、とつぜんけものにおそわれたりしないよう わなかなにかつくったほうがいいかな?」
『罠は要らないよ。僕ドラゴンだからそうそう襲われたりしないし』
そうなんだ。でもまだ子どもだけど大丈夫なのかな?気にはなったけどそれを言うと弱いと言ってることになるんじゃないかと思って黙っておいた。
「じゃあほかになにかほしいものはない?」
『今はこれといって思いつかないかな』
「そう?それじゃあ あしたわらのことパパンにきいてみるね」
そうしてその日は寝るとこにした。
次の日の朝 何時ものように家の事をして特訓に出発。疾風や炎、海、翠、胡桃、真珠、琥珀を相手に周りにばれない程度に力を入れて誰にも負けないように。もしもの時が直ぐ来てもやっていけるように・・・。
でも本当にその時が来たらちゃんと一人でやっていけるんだろうか。甘ったれで育ててもらったのに独りぼっちになったらどうなるんだろう・・・。
『ティア、危ない!』
特訓中なのに意識が逸れてしまったせいで 危うく攻撃を受けるところだったのを疾風に助けてもらった。
「ごめん!はやて。ケガはない?」
『僕は大丈夫だよ。急にボーっとしてどうしたの?』
「ごめんね。かんがえごとしちゃって・・・」
『ふーん。今日はもう特訓やめようか。集中できないでしょ』
「ごめん」
今日は特訓をやめ家に帰ることにした。
夜パパンに藁が欲しいことを伝えたら、農家の人に聞いてくれるとのことだったので 疾風の体の下に敷く分だけて大丈夫だからと伝えておいた。
昼の特訓中に頭を過ったことが忘れられない。今まで偉そうに独り立ちとか言ってたのに本当に一人でやっていけるのか考えたら自信がなくなるなんて・・・。
「ママン、きょうはにぃにとねてくるね」
ママンに告げて にぃにの部屋までやって来た。
「にぃにあけてもいい?」
「どうぞ」
にぃにはわたしを部屋の中に入れてくれた。
「今日は帰ってきてから元気がないけどなにかあった?」
「ううん。なんにもなかったけどきゅうにふあんになっちゃって・・・」
「そっか。それは困ったね」
にぃにはそれ以上何も聞かずに頭をなでなでしてくれた。
「にぃにきょうはいっしょにねてもいい?」
「いいよ、おいで」
そう言って一緒に布団に入るとギューっとしてくれたのでわたしもにぃにの胸にギューっとしがみついた。にぃにに抱っこされると気持ちが落ち着いてきた。わたしはにぃにと離れてやっていけるんだろうか。
背中をトントンと叩かれながら眠りに落ちていった。




