異世界で頑張ります(9)
疾風と出会ってから丁度一年のその日。
今度は人間拾いました?
いやいや大変だ!この人怪我してるよ!ここからなら疾風の所が近いしそっちに運ぼう。
「だれか疾風よんできて!」
直ぐに疾風がやって来て倒れてた人を咥えて洞窟まで運んでくれた。
疾風は今洞窟で暮らしている。三メートル程の大きさになり家には入れなくなったからだけどまだ成長途中のようだ。一頭じゃ寂しいというので精霊達が日替わりで二、三人ずつ泊まってる。
体は大きくなっても寂しがり屋はかわらないようだ。
取り敢えずこの人の傷を治さないと。わたしはちゃんと治りますようにと願いながら治癒魔法をかけた。
「次はどうしたらいいかな?」
『身体を綺麗にしてあげたら?』
「そうだね。おゆであらって風でかわかすから水と火と風をつかえばいいのかな?」
『そうね。できそう?』
「うん。大じょうぶ」
上手くいきますように。ザアッと音がして男の人も着てる服も綺麗になった。
「やった。せいこうだよね?」
『うん!上手になったね!』
「あとは、お水とかたべものいえからもってくるから何人かついてきて。あとはこの人のこと見ててね」
そう言い残し家に向かってダッシュ!でもあんまり体力続かない。歩いたり走ったりを繰り返し漸く家に到着。
キッチンに行くとねぇねが居た。
「どうしたの?遊びに行ったんじゃなかったの?」
「うん。えっとパンをお外でたべようとおもってもらいにきたの」
「もうお腹空いたの?ちょっと待っててね」
ねぇねはパン二つと水の入った皮の水筒を鞄に入れてもたせてくれた。
「ねぇね ありがとう。いってきます」
そう言って戻ってきた道を再びダッシュ!で歩いての繰り返し。漸く戻ってきたのは三十分位経ってからだった。
「どう?もうおきた?」
『ううん、まだ起きないよ。動きもしないし』
「そっか。あっ、疾風はもうごはんたべたの?まだだったら行ってくる?」
『そうだね。なんだか天気も良くないし雨が降る前に行ってこようかな。ティアは一人で大丈夫?』
「うん。みんなもいてるし大じょうぶだよ」
『じゃあさっさと行って直ぐ帰ってくるね』
「うん。そのまえに雨がふったらこまるからこの人もう少しおくにはこんでくれる?」
疾風は男の人を奥に運び行ってくると言って出ていった。
───────。
『ただいま』
「『おかえり』 おなかいっぱいたべてきた?」
『うん。その人まだ起きないの?』
「うん。ちゆまほうきかなかったのかな?」
うーん?と疾風が男の人の顔を覗き込んだ時、ウッと聞こえた。目が開き始め疾風と目があったその時その男の人が突然叫んだ。
「うわああぁぁぁ。なんでドラゴンが・・・」
あー、分かる。寝起きに目の前に何かあれば驚くよね。まして見慣れない物ならなおさらね。
「お兄さん、おもったよりも元気そうですね?」
動いてるし、話もできそうなんで喋りかけてみた。
「もうけがは大じょうぶですか?」
「誰だ、お前」
初対面なのに偉そうだな。小さな子にもうちょっと優しく話せないのかな?
「お兄さんこそだれですか?」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「はぁ。・・よければお水のみませんか?」
「・・・・・・・・。」
「へんなものは入ってないのであん心してください。ここにおきますね」
そう言ってお兄さんの目の前に水筒を置き数歩下がった。
暫く沈黙状態だったがお兄さんが水を飲んだ。
「よければパンもたべますか?二コしかないけど」
返事してくれるかなと思ったがコクリと頷いてくれた。おお、素直で可愛い。
「お兄さんよければ名まえおしえてもらえませんか?」
「・・・・・・ない」
「えっ?」
「・・・・・・・・」
「じゃあ今までなんてよばれてたんですか?」
「お前」
「・・・・・・」
「避けられてたから・・。俺、ある里に住んでてそこでは暗殺や諜報活動なんかを請け負ってる。みんなに苛められてきたから実力で認めされてやろうと思ってた頑張った。お陰で今じゃ里で一、二番を競う程の実力だ。でも誰も認めてくれはしない」
「じゃあお兄さんにけがをおわせたのもそのさとの人たちですか?」
「・・違う、これは・・って傷がない!なんで!」
・・・今頃気づいたの?まあいいんだけど。
「けがはちゆまほうでなおしておきました。パンと水はサービスです」
「サービス? なんで見ず知らずの人間を助けるんだ!」
「すてておいた方がよかったですか?」
「いや、そうじゃなくて・・・・・・・ありがとう」
最後は殆ど聞こえない位の声だったが確かにありがとうと言ったよね?なんだか憎めない人だな。
「いいえ、どういたしまして」




