異世界で頑張ります(10)
「ところでお兄さん。何があったのかきいてもいいですか?」
「何がって・・・・。ただ依頼を受けて失敗しただけ」
「いらい?けものにおそわれたわけじゃなかったんだ。・・・一人だったんですか?」
「いいや。相手が相手だからそれなりの人数で行ったが いともも簡単に返り討ちにされた」
「そうですか。じゃあおなかまさんさがしに行くんですか?」
「行かない! 彼奴らのことなんか知らない!」
「わかりました。じゃあほかの人はいいとしてお兄さんはこれからどうするつもりですか?」
「わからない。・・・このまま全てから逃れられるなら逃れたい」
「そうですよね・・・。どうしましょうか?とりあえずウチへといってあげたいんですが わたし一人じゃきめられないし・・。ひとまずどうくつから外にでませんか?雨もふってないようだし」
「ああ・・。いや!俺は明るい所は・・・!!」
急にお兄さんが慌て始めた。どうしたんだろう。追手が来るのを気にしているのか?それに明るい所と言っても曇っているから眩しいなんてことはない。不思議に思っているとポツポツと話始めた。
「俺、覚えてる限り仕事以外で彼奴らとも話したことないし、こんな風に手当てしてもらったりするのも始めてだ」
彼奴らって里の人のことでいいんだよね?
「今まで町を歩いても みんな俺の顔を見ると逃げたり遠巻きにしたりしてた。だから初めて喋ってくれたのに他の奴等と同じように逃げられたりしたら俺は・・・」
んー?ようはこのお兄さんは顔にコンプレックスでもあるってことかな?倒れてるの見たときは特に気付かなかったけど、血だらけだったしね。案外すっごいイケメンで近寄れなかっただけとか?だったら是非とも明るいところでその顔を拝みたい!今も見えないわけじゃないけど そこまではっきり見えてる訳じゃないしね。
「ねえお兄さん、ぜったいにげないからそのかお見せてください」
「そんなの分かんないじゃないか!もし逃げたらどうする」
まるで子供のようだなと思った。
「にげませんって。それにもしかしたらわたしのかおを見てお兄さんの方がにげるかもしれないじゃないですか」
そう返事するとお兄さんはうーんと悩み始めたが漸く決心してくれたようだ。
「絶対逃げるなよ!約束だからな!」
そう言って洞窟の前まで出てくれた。やっぱり子供だ。
同じように洞窟の前に立ちお兄さんの顔を見てみると、伏し目がちで思いっきり視線をそらされていた。
(うわっ!!すっごい美形!はー。こんな顔に生まれてみたいわ。しかもオッドアイ。こんな希少なものまで!もー、ずっと眺めてられる。鑑賞にピッタリだわ。ぜひお持ち帰りしたい!男のくせにその綺麗さ。その顔が嫌なら是非頂きたいくらいだ!)
「おい!やっぱり嫌なんだろ」
「へぇ?」
あら。自分の世界に入ってて変な返事してしまったよ。失敗、失敗。
「いや、きれいなかおに見とれてました。おとこなのにび人なのがいやなんですか?」
「違う!逃げられるって言っただろ!他にあるだろうが!」
「ほか?ほかってオッドアイ?このじだいってオッドアイはきらわれてたっけ?」
「色だよ!色!」
「いろ?きれいなきいろ?きんかな?とむらさきだね。・・・もしかしてむらさきなの気にしてるの?・・・・お兄さんこっち見てくれないから気づかないんだろうけど、わたしの目なにいろに見えます?」
「えっ、何色って?」
その時洞窟から出てきて初めてわたしを視界に入れてくれた。
「・・・紫だ。あんた魔族なのか?」
「ちがいます。いちおう人げんのはずです。そういうお兄さんは?」
「俺は父親が魔族らしい・・・」
「らしい、とは?」
「里の奴が言ってただけだから・・・。俺、人間で紫の目をした奴見たの二人目だ」
そう言って目の色と魔力の関わりについて少し説明してくれた。
魔力は当然人間よりも魔族が高い。故に魔族には紫の目をしているものが多い。もちろん人間にも魔力の強い者は居るが、魔族程はない。ある一定を超えないと紫にはならないらしい。だから魔族でも紫の目じゃない者も居る。
それを聞いてるともしかしてわたし強いの!なんて思っても測りようもないし比べることもできないのでわからない。
因みにお兄さんはなんでそんなこと知ってるんだろう?みんな知ってるようなことなんだろうか?パパンは何も言ってなかったけど・・。もしかしてわたしに内緒にしてるだけなんだろうか。
「なあ、お前その目俺に見せてよかったのか?」
「よくはなかったですがお兄さんのかお見たさにわすれてました」
「今まで苛められたりしなかったのか?」
「いじめられたことはありませんよ。と言うかかぞくいがいの人とあったりはなしたりしたことがなかったので。お兄さんがはじめてですね」
「初めて・・・」
「そうですよ。見つからないようにくらしてきたんで・・。でもともだちはいっぱいいますよ!」
そう言ってわたしは疾風や精霊達を見た。
「そ、そっか!俺も二人だけだか居るぜ。こいつら!」
するとお兄さんの頭の後ろから精霊が二人、ひょっこりと顔を出した。




