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サラレティア編〈6〉

 

  みんなが気落ちしかけたその時一頭の犀類の魔獣が此方に気付き鳴き声を上げて威嚇してきた。危ないと判断したサラレティアはみんなに逃げるように指示を出すが犀類の魔獣はサラレティア目掛け突進してきた。


  “ゴンッ!!” “ごうっ!”


  魔獣がぶつかる直前防御の指輪が働き防御壁を作りサラレティアの風魔法を発動させた。魔獣は一瞬怯んだものの怒りからか何度もサラレティア目掛け突っ込んでくる。そうするうちにサラレティアの恐怖心はどんどん膨らんでいき体がカタカタと震え始める。外からも援護しようと魔力の有るものが攻撃するが他の魔獣が邪魔をして思うように助けることができない。リューイは馬をおりてサラレティアの下に行こうとするも同乗している使用人に抱き抱えられ動けない。


「お嬢様! お嬢!」


「リューイィ。リューイィィ。」


  呼び叫ぶリューイにサラレティアが泣きながら呼び縋る。周りの大人達も何とかしようと必死になるもどうすることもできない。そうしているうちにサラレティアに向かって体当たりしていた魔獣がその場から少し距離を置いた。諦めてくれるのかと思ったら勢いをつけてサラレティア目掛け再び突進してきた。サラレティアは目を覆って頭を抱え込み泣き叫んだ。


「いやぁぁぁぁぁ!!」


「「サラレティア様!」」


「「お嬢様!」」


「お嬢!!」


「レティア!!」


  呼び声の後衝突寸前だった魔獣の体を地面から生えた棘が巻き付き甲高い声を上げながら魔獣はその足を止めた。

  その光景に大人達は何が起こったのかと瞠目しサラレティアとリューイは聞き覚えのある声に辺りを見回した。するとサラレティアの傍に悠翔に抱っこされ左手に琥珀を掴んだティアの姿があった。


「レティアちゃん 大丈夫?!」


  ティアの登場に捕まえられた魔獣の鳴き声でその足を止めていた他の魔獣達がティア目掛けて突進してきた。しかしその魔獣達もサラレティアに攻撃していた魔獣と同じ様に棘に巻き付かれてあっさりと捕まった。


「ティアちゃん・・」


  サラレティアの声は震えていた。ティアは悠翔に下ろしてもらいサラレティアの前に屈むとそっと頭を撫でる。そしてふわりと笑みを浮かべた。


「レティアちゃん もう大丈夫だよ。頑張ったね」


「こ、怖かったよ。うわぁぁぁん」


  泣きじゃくるサラレティアの下に馬からおりたリューイが駆け寄りきつく抱き締める。


「お嬢! ごめん! 護れなくてごめんな!」


「リューイィ 怖かったよ」


「うん。ごめん。無事でよかった」


  サラレティアとリューイはお互い無事なのを確認しあいながら安心した。

  しかし魔獣を何とか止めているとは言え何時までもこのままで居るわけにもいかない。


「レティアちゃん、リューイ。よければ何があったか教えてもらえる」


  まだ震えてるサラレティアに代わりリューイが答えた。

  水不足のため森の川や池を見に行こうとしたこと。集団で移動している魔獣の数頭がいきなり襲ってきたこと。大半の魔獣はまだ森の入り口付近に留まっていること。

  すると話を聞いているうちに魔獣がガタガタと震え出した。何事かと思えば悠翔が怒りからか魔力漏れを起こしながら魔獣を睨み付けていた。

  悠翔はティアが気に入っている人や物を大事にしている。それ故にティアが大好きなサラレティアを襲おうとした魔獣に怒っていたのだ。

  悠翔の怒りに気付いたティアは悠翔の手を握り向かい合って笑顔を浮かべる。


「悠翔にお願いがあるんだけど」


  棘に縛られている魔獣達にみんなの所に戻りそのまま待つように伝える事ともうひとつお願いしてティアはサラレティアや使用人達を一ヵ所に集める。

  突然現れたティアを不振がる大人達にサラレティアは自分とリューイの友達だと紹介した。


「怪我している人もいるみたいだけど大丈夫ですか? あと雨が降らないって事だけど雨乞いは試してみた?」


「雨乞い? そんなの効くのか?」


  疑惑な目を向けてくるリューイにティアはニヤリと笑って服に手をかけると脱がそうとする。


「うわぁぁぁ!? 何するんだ?!」


「もちろん雨乞いのための裸踊りをしてもらおうと思って」


「そんな雨乞いの方法聞いたことない! 嫌だぁぁぁぁぁ!」


  ティアとリューイが戯れ合いながら騒いでいるのを大人達は苦笑顔で見ている。二人を止めようとサラレティアが口を開いたときポツリと何が手に当たった。ふと顔を上げるとパラパラと雨が降ってきた。大きく目を見開き周りに居る長達を見てみんなで喜びあった。


「雨だ! 久し振りの雨だ!」


「恵みの雨だ!」


  みんなが思い思いに喜んでいる中 ティアがサラレティアに寄っていく。


「レティアちゃん。雨が何時まで降るか判らないから盥とかに溜めておいた方がいいかもしれないよ」


  サラレティアや長達はそれを実行するため慌てて戻る準備をする。そんな中ティアは未だ用があるから後でお邪魔させてもらうねとサラレティアに告げ怪我をした人達を治してあげてと琥珀を渡した。そうして悠翔と二人森へと消えていった。

 


お読み頂きありがとうございます。

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