サラレティア編〈5〉
遅くなりました。
宜しくお願いします。
王子達が去って落ち着きを取り戻すかと思われたアウトゥムヌス家の娘達だが一カ月後に開かれる婚約者発表のパーティーに出席するとあってドレスだ首飾りだと相変わらず騒がしい。だがその騒がしい中にサラレティアは混ざることなく何時も通りに過ごしていた。どうせ自分は行くことはないだろうと。
そんな中アウトゥムヌス領内では頭を抱える問題が起こっていた。それはここ暫く雨が降らない状態が続いており とうとう水不足になってしまったのだ。元々王子達が来る前から暫く雨が降らなかったのだが過去にそんな長期間降らなかったという話もなかったのでそのうち降るだろうとみんな軽く考えていたのだがそれが不味かったのだろう。急いでアウトゥムヌス領内の村長や町長達が集まり領主を交えて協議をしたいとの願い出に早速話し合いの場が持たれた。
一先ず現状の報告を求めると切羽詰まった状況であることは判ったが詳しい状況迄は把握できていないらしく曖昧なところもあったので詳しく調べ後日報告することになった。なのに次の日事もあろうか領主は後を家令に任せ王都へと出発してしまったのだ。先に妻子だけ送り後から単身で追い掛ける方法を取ってもいいものなのに。しかもサラレティアの予想通りサラレティアを残して。
調査を終えて後日集まった長達は領主が不在であることを告げられると怒りを露にしたがそこにサラレティアが現れ不在を詫びた。そして頼りにはならないが自分を話し合いに参加させてほしいと頼み込んだ。しかしいくら公爵令嬢とは言え子供でしかないサラレティアの願いを長達は了承してくれなかった。勿論サラレティアも簡単にいくとは思っておらず必死に何度もお願いした。そうして何時まで経っても諦めようとしないサラレティアを見て 結局は長達が折れる形で参加を認めてもらえた。
サラレティアは真剣に長達の報告を聴いた。そして状況を把握しようと努力した。井戸の水も川の水も干上がりそうで飲み水の確保も難しく農作物の為の溜め池の水も底をつき食物不足の問題も上がり始めていた。
サラレティアは前世で水に困ったことはない。震災にあったこともあったが自分の住んでいた地域では断水にはならなかったし 雨が降らず水不足になりかけたこともあるがせいぜい節水を呼び掛ける程度で済んでいた。だから自分の持っている知識では役に立たないことは解っていたが それでも自分が何か役に立てないかと必死に考えた。
「あの、皆さんの町や村には把握できているだけで何人位の水魔法を使える方が居ますか? 後その中で精霊を連れている方は居ますか?」
「現在アウトゥムヌス領内で水魔法を使える者は二十名足らずだと把握しております。その中で精霊を連れている者は居ないかと・・」
「そうですか・・・」
「精霊をどうするつもりだったのですか?」
「いえ・・。可能かどうか判らないのですがお願いして他の精霊を呼んでもらえないかと思ったのですが・・・。無理ですよね。すみません」
自分の考えを浅はかだったと恥ずかしく思い顔を下に向けたまま小さくなるサラレティアに長の一人が優しく声を掛ける。
「いいえ、サラレティア様。どんなことにでもすがらないとやっていけない今 少しでも現状を打破できるかもしれない考えがあるならば試してみたいと思うのは当然のことです」
「みんなでもっと案を出し会いましょう」
「はい! ありがとうございます!」
それを観ていた他の長達も一生懸命なサラレティアに歩み寄り始めた。それがサラレティアにはとても嬉しいことだった。そのまま話し合いは続いていく。
「どなたか森を調査された方はいらっしゃいますか?」
「森ですか? 我々は自分達の村や町しか調べておりません」
「そうですか。範囲も広いし大変ですものね。では公爵家の方で急いで調べてみようと思います」
「でしたら我々もご一緒させてください」
「そうですね。その方が早く終わるでしょう」
「ありがとうございます。では明日調査する事にして今日は邸にお泊まりください」
「わかりました。ではまた明日の朝に」
「はい。宜しくお願いします」
そうして話し合いは終わり長達は用意された部屋へと移り明日に備えて体を休めた。
次の日乗馬できる長達とサラレティア、リューイ、アウトゥムヌス家の使用人達とで森へと向かった。サラレティアとリューイは一人で馬に乗れないため使用人と二人乗りしている。森の前に着き各々が調べる場所を確認し出発しようとしたその時森の中で動く影を目にした。目を凝らし暫く観ていると魔獣が集団で移動しているようだ。幸いまだ此方に気付いた様子はなく使用人の一人にこの事を家令のクロードに告げ領内に森に近付かないよう布令を出すように託けた。
「何故こんなに多くの魔獣が・・」
「もしかしたら魔獣達も水を探しているのかもしれませんね」
「では森にも水はないのでしょうか・・」
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