再会(2)
二人が何やら難しそうな顔をしているのに気付いたアクアがどうしたのかと問えばレオンへのお礼に悩んでいるとのこと。それを聞いたアクアが“王子様か”と呟いたのがリオンの耳に入り思わず固まってしまったのは仕方がないのかもしれない。二度と会うこともないはずのない王子にまた会うことになってしまったのだから。そしてそんなリオンに追い討ちをかけるかのようにレオンが会いたがっていると迎えが来た。リオンは顔を青くさせながらエリーと二人部屋を出て行った。
「パパン大丈夫かな?」
「ママがついてるから大丈夫よ」
リオンが気になったティアだがマリンの言うことにそうだよねと頷いた。しかしレオンがリオンとエリーの二人だけを呼んだのか不思議だった。挨拶するならアクアとマリンも一緒にするのではないのかと思ったからだが、レオンはティアの両親に早く伝えておきたいことがあったのだ。
応接室で二人が来るのを待っていたレオンとセドリックはリオンの顔を見たとき驚いた。
「・・前に一度会ったことがあるな」
「・・・はい」
「そうか。まさかティアの父親だったとは。あの時の息子の証言は嘘だった訳か」
「・・・申し訳ありません」
「・・いや、過ぎたことはもういい。此方に来て座ってくれ」
レオンの向かいのソファに座るように勧められたリオンはエリーと二人席に着いた。リオンの青かった顔は更に色を悪くし蒼白にエリーも強張った表情になり、二人を見ているレオンは苦笑した。
「そんなに怯えないでくれ。二人を咎めるつもりはない。二人に来てもらったのはティアの両親に伝えておきたいことがあったからだ」
リオンとエリーはついにきたと思った。ティアを王宮で預かっていると聞いたときから不安しかなかった。紫の瞳のことで何か言われるであろうことは予測していたからだ。見付からないように隠してきたのにまさか王子に見付かってしまうとはどうやっても言い逃れができそうにない。ティアをどうしたら守れるのか二人は考えつかなかった。ただ魔族ではなく間違いなく自分達の子供だと信じてもらえるように訴えるしかない。そう口を開こうとするよりも早くレオンが先に口を開いた。
「わたしはティアを妃に迎えたいと考えている。その思いは既にティアには伝えてあるので両親である二人にも告げておこうと呼び出させてもらった」
思っていたことと全く違う言葉を耳にしたリオンとエリーはボカンと口を開けてレオンを見ていた。暫く固まったまま何の反応も示さなかったのでレオンが声を掛けると我に返ったようだが上手く言葉が出てこず会話になりそうになかった。それを傍で見ていたセドリックが助け船を出してくれた。
「レオン。流石に突然過ぎてお二人が戸惑われています」
「ああ、そうか。すまない。いきなりだったから何を答えれば良いか判らないか。色々聞きたいこともあるだろうが今日は妃に迎えたいと思っていることを伝えたかっただけだ。また時間を取るのでその時には聞きたいことに答えよう。久し振りの家族の再会の邪魔をしてしまったな。ゆっくりしていってくれ」
リオン達が出ていった部屋で二人になったレオンとセドリックは大きく息を吐いた。
「ふう。此方の思いを一方的に伝える事になってしまったので心証が悪くなっていないといいが」
「ふふ。レオンがそんなことを気にするなんて」
「ティアの両親だからな。不安しか与えることができなかったなら良い結果にはならないだろうからな」
「そうですね。娘が同じ紫の瞳なのですから目に対しての恐れは大丈夫でしょうが王子と言う肩書きは脅威になりかねないですからね」
「お前はわたしを落ち込ませたいのか?!」
「滅相もない。わたしとエドワードは誰よりもレオンの思いが叶うことを望んでいます」
「そうだったな。二人には迷惑を掛けたな」
「いいえ、勿体なきお言葉」
「はははは」
「ふふふふ」
そんな風に笑いあっているレオンとセドリックに対し重い足取りで元居た部屋へと戻ってきたリオンとエリーは心ここにあらずといった感じで座っていた。ティア達はそんな二人を不思議に思い何があったのか聞いてみるもちょっとねと言うだけで話してはくれない。暫くしたら元に戻るだろうということでそのまま様子を見ることに。何かとんでもないことでも言われたのだろうかと気を揉みながら二人が再起するのを待った。
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