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王都にて(12) ~レオン目線〈3〉~

 

  次の日生憎の雨だったので庭でのお茶を諦め私室でお茶をする事にした。お昼を食べて少しゆっくりしてからティアを迎えに行くと待ってたよと出迎えてくれた。大人しくさせるから精霊を一人連れて行ってもいいか聞かれたのでもちろんと答えた。部屋に戻ると侍女達がお茶の準備をしていた。ティアをソファへと連れていきわたしも向かいのソファに腰を下ろす。準備が終わった侍女達が出ていくと漸く二人きりになった。本当は違うけど。

 

「クッキーありがとう。あの後頂いたけど美味しかったよ」


  ティアは良かったと笑ってくれた。クッキーはわたし達以外にティア達に付けた侍女にお礼にと渡したのだそうだ。彼女も喜んで受け取ったらしい。

  お菓子作りが好きなのかと聞けば簡単なものしか作れないけど好きと笑顔で答えた。もしまた作る機会があれば持ってくるねと言ってくれたので是非にとお願いした。今から楽しみだ。

  そう言えばと突然ティアがこの間の夜会の日の事を話し出した。何でも道に迷っていたら丁度夜会をやっている広間に着き料理に目が釘付けになったのだと。後で残った料理を棄てると聞いたので次の日迄持ちそうな料理を貰って人にあげてしまったとの事だった。勝手にごめんねと気にしていた様だが大丈夫だと言うとホッとしていた。


「ところで夜会と言えばいい人は見付かったの」


「え?」


「お嫁さん選びだったんでしょ」


  その言葉に思わず固まってしまった。


「ど・・どうして」


「ん? 城下でいろんな人が噂してたよ」


  わたしは大きく息を吐きティアを見ながら異世界に行った理由を話したことを覚えているか聞くと覚えていると頷いた。なら凛を好きになったと言った事はと聞けばそれも覚えていると頷いた。だから君を見付けた今他の人を探す必要がないのだと伝えると不思議そうな顔をした。わたひはティアが何故そんな顔をするのか解らなかった。


「レオが好きなのは凛なんでしょ。確かに前世のわたしは凛だけど今のわたしはティアだよ」


  言われてやっと理解した。ティアは前世と今世を別の人格として捉えている事に。当たり前の事なのかもしれないがわたしは同じ魂の持ち主だと言う考え方しかしてこなかった。だからわたしは凛と同じ様にティアの事を好きだったがその事がティアには全く伝わってはいなかったのだ。その事実に衝撃を受けたがなにも断られたわけではないので気を取り直してもう一度伝える事にした。


「ティア。確かに僕は凛が好きだと言ったけど同じ魂の持ち主であるティアも好きだ。僕にとって凛とティアは別の人間ではなく見た目は違うが同じ人だとしてみている。僕が君の好きな所はその心なんだ。今世ではまだ出逢って間もないけど前世と同様に一生懸命頑張っている、周りの人に認めて貰おうと頑張ってるその思いなんだ。そして何より君の笑顔を見ることができると嬉しくて仕方がない。それは凛の笑顔でもティアの笑顔でも変わりはないよ。だからティア 僕が君を好きなんだと解ってほしい。今はそれだけでいいから」


  ティアは頬を赤くして頷いたが 友達としては好きだけどそれ以上は考えたことがないと申し訳なさそうに言ってくるので 今は僕がティアを好きだと言うことを解ってくれていればいいと言っておいた。

  そう今はそれだけでいい。ティアには悪いけど僕が君を手放すことはない。籠の中に閉じ込めるような事はしないが逃がしたりなんかしない。甘えたの君をとことん甘やかしてあげる。やっと見付けたんだ。前世の様に君を失ったりせず今度こそ守ってみせる。だからティア少しずつでいいからわたしを好きになって。

  そんなことを考えているからかティアに見られていることに気付かずにいると“レオ”と呼ばれて顔をあげた。


「この前わたしに自由にできず辛くないかと聞いたけどレオはどうなの。王子様だから隠れるわけにもいかず人の目に晒されてきたんでしょ。いくら王子様だからって何もなく過ごしてきた訳じゃないんでしょ。家族とは仲がいいの?」


「ティアも聞いたことがあるかもしれないけど王家に生まれる紫の瞳は初代の生まれ変わりだと言われているからね。畏れられたりすることはあるけど魔族と疑われたりしないからまだましかな。家族はどうなんだろうね。仲が悪い訳じゃないだろうけど周りと同じ様に畏れている部分もあるんだろうね」


  そんな風に好かれてはいないと自嘲したかのように言うとティアがわたしの横まで歩いてきて靴を脱ぎわたしの座っているソファにあがって立った。急にどうしたのかと思っていると頭を撫でられる。


「えっ?」


  まるでいい子いい子とするようにわたしの頭を撫で続ける。今一つ状況が飲み込めないわたしはポカンと口を開けてティアを見ていたのだろう。ティアが笑顔でわたしに向かって言う。


「大丈夫だよ。わたしはレオの事好きだからね。ちゃんと自分の事を好きな人が居るってこと忘れないでね」


  その後小さな声で恋愛としてはまだ分からないけどと恥ずかしそうに言った。そうだ。今までの事は気にせずこれから手に入れたい物に全力を注いでいかないとね。



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