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王都にて(6)

 

  ティア達が城の世話になって二日後 夜会の日がやってきた。城の中は準備で慌ただしくしている。

  そんな中をティアは一人厨房に向かい歩いているつもりだったが案の定迷子になった。人は沢山行き交っているので声を掛ければいいのだが忙しそうで掛けづらい。仕方ないので歩き続けていると建物の外に出てしまった。振り返りどうしたものかと考えていると後ろから声を掛けられた。

  見るとコック服を着た五十歳位のおじさんが立っていた。厨房に行こうとしたら迷子になった事を伝えると今日は忙しいからまたにしろと。お願いがあるだけで直ぐすむと言うと用件を聞かれ七時以降に来るように言われた。お礼を言って別れるも何処から来たか分からず部屋に戻れない。仕方ないので階段を見付けて泊めてもらっている三階まで上がれば部屋が見付かるかと思い階段を探すことに。やっと見付けるとまたもや声を掛けられた。今度はセドリックだった。

  迷子になったので部屋の場所を教えてほしいと頼むと笑いながら案内してくれた。途中で細いリボンか紐を貰えないかとお願いすると分かりましたと頷いてくれる。これで欲しいものは揃った。



  七時になり部屋を出るも朝着けなかった厨房に着ける筈がない。またもや迷子になるが何だか賑わっている場所がある様でそちらに行ってみることに。開いている扉からこっそりなかを覗くと夜会が開かれていた。ティアは夜会より目の前に並べられている料理が気になった。色取り取りの料理に目が引かれる。

  ミニトマトとモッツァレラと生ハムが一つの串に刺さったもの、一口サイズの四角く切ったピッツァ、同じく一口サイズのの四角く切ったサンドウィッチを三個程串刺したもの、小さなカップに入ったスパゲッティ、バケットに色んな種類のクリームを塗ったもの、チューリップ唐揚げ、ローストビーフ、ミートローフ、沢山の種類の果物、一口サイズのケーキその他沢山の種類の食べ物が並べられている。

  その様子を遠くからレオンが微笑ましそうに見ていた。レオンが“クスッ”と笑ったのを見た周りの令嬢達は頬を染めてレオンを見つめる。それに気付いたレオンは咳払いをして視線を逸らす。それに気付かないティアは相変わらずキラキラした目で料理を見ていた。

  そこに何時もティア達にご飯を運んでくれる侍女がティアに近付いてきた。どうやらレオンがティアの下に向かわせてくれたようだ。厨房に行こうとして迷子になったことを伝えると連れていってくれた。漸く辿り着けたことにホッとしお礼を言って朝会った料理人の所に向かった。

  余った食材が用意されていた。ティアは料理人に夜会で余った材料でクッキーが作りたいと伝えてあったのだ。置かれている材料から小麦粉、卵、砂糖、バター、アーモンド、ドライフルーツ、紅茶葉を貰う。アーモンドは袋に入れ棒で叩いて細かく砕き、ドライフルーツは包丁で細かく切る。紅茶葉は魔力を使ってみじん切りにして下準備完了。

  材料を混ぜ合わせプレーンクッキー、ドライフルーツクッキー、紅茶クッキー、アーモンドクッキーの生地を棒状にしておく。遅くなったので焼くのは明日にした。後片付けをしていると夜会が終わったのか料理が下げられてきた。殆んど食べられた様子はない。

  この料理はどうするのかと思えば捨てるようだ。ならば勿体無いので欲しいと頼んだ。綺麗に並べられている料理の中から日持ちしそうな物を選びできるだけコンパクトに詰める。それを結界の中に入れ水の魔力で氷を作り冷やす。クッキーの生地も同じようにして更に温度を下げて凍らせる。これで簡易冷蔵庫の出来上がり。これを異空間収納に入れておく。また明日来ますと告げて部屋に送ってもらった。

  部屋に戻るとみんな寛いでいた。暁の下に行きこの間お邪魔した孤児院の場所を覚えているか聞き明日連れていって欲しいとお願いした。


  次の日の朝さっさとご飯を食べて厨房へ。片付けに来てくれた侍女と一緒に行く。厨房は食事の用意が終わっていたので直ぐに窯を借りることに。凍らせてあったクッキーの生地を切り鉄板に並べて焼くだけなので焼くのを待つ以外直ぐすんだ。少し焦げたりしたが料理人のおじさんに手伝ってもらったのでなかなか上手に焼けた。急いで片付けてお礼にとおじさんにクッキーを二枚ずつ渡した。


「手伝ってくれてありがとうございました。味は分かんないけど食べてくださいね」


  ティアは急いで部屋に戻り暁と出掛ける準備をした。悠翔と疾風が付いてくる様で残りは留守番らしい。悠翔は何か思うことがあるようだ。

  歩いて二時間程掛かった孤児院は山手に建っていて裏には木々が沢山の植わっている。森と言うわけではないので魔獣や野犬などは存在しない筈だった。だか悠翔は其処が気になるようで近付いていく。

 




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