王都にて(5)
「よくて来てくれたね」
レオンの言葉に反応したのは炎達だった。
『久し振りだな』
『随分と大きくなって』
『何年振りかしら』
「みんなこの人のこと知ってるの」
不思議に思ったティアが炎達に聞く。
『うん。僕たちにティアを見守るように言ってきた人だよ』
『そうそう。いきなり異世界に連れていかれたんだよな』
「では間違いなく彼女が凛なんだね」
話し続ける精霊達にレオンが問う。炎達が肯定するとレオンは普段見せることのない笑顔でティアの手を取る。
「やっと会えたね、凛。七年ずっと探していたんだよ。どんなに会いたかったか」
レオンは嬉しそうにティアを見たがティアには目の前に居る人が誰なのかが解らなかった。
申し訳なさそうにしながらティアが問い掛ける。
「あの、すみません。どちら様でしょうか」
その言葉にレオン、エドワード、セドリックの三人が固まる。何も言えず口を開けたままだ。流石に可哀想に思ったのか炎達が助け船を出す。
『前世であったことないのか』
『よく思い出して』
ティアは“うーん”と考えるも思い付かない。
「前世で外人さんの知り合いなんて居なかったし。因みにお名前は」
「レオンだよ。凛はレオって呼んでいたよ」
「レオ?名前に覚えはあるけど人ではなかったし・・」
その言葉にレオンはハッとした。
「そうだよ凛。僕は意識だけを飛ばしていたから光として君に会っていたよ」
ティアは困惑した。光でしかなかったレオが実は人間だったなんて思いもしなかったのだ。レオをジーっと見ていて髪飾りに目が留まった。
「この指輪」
「そうだよ。僕が凛から預かったベビーリングだよ」
指輪と二人しか知らないことを言われレオだと納得するも人間のレオンを前に戸惑ってしまう。レオンは仕方のないことなのかもしれないと思い昔の話をしないかと持ち掛けた。そうすればまた昔のように仲良くなれるかもしれないと考えたのだ。周りのみんなも過去の話しに興味があったようで聞きたがった。
レオンが異世界に行った理由から始まり二人の出逢い、炎達が連れてこられたこと、ベビーリングを預けたこと、沢山話したことを語った。そしてこの世界に来て生まれ変わらせる為に頑張ったことをレオンと炎達が、頑張って探し回った事を炎達が教えてくれた。そこで初めてティアは自分が転生した理由を知った。そして産まれてから魔族と対峙した時の事を振り返りレオンに話した。レオンは楽しそうに時には辛そうにしながら聞いていた。
「友達も作れず好きな様に出掛けられず辛くなかった?」
「前世の記憶がなければ無理だったかもしれないけど我が儘言ってみんなを困らせたくなかったし みんなにはちゃんと愛してもらってたから大丈夫だったよ」
レオンはそれを聞いてホッとした。楽しくやっていたんだ。良かったと。そしてこれからの事を尋ねた。
「君達はこれからどうするつもりなの」
「例の件の噂が落ち着くまで旅を続けるつもりです」
「魔族とのことなら此方から調査にも行ったしある程度終息されていると思うが」
「本当に?!だったら家に帰りたい!家族みんなに会いたいの!」
「そうか・・」
レオンは少し寂しそうに呟いた。それを聞いたセドリックはティアにお願いをする。
「折角久し振りに会えたのだから暫くここに留まってはもらえないでしょうか。もちろんご家族に会いたい気持ちも解るのでご家族は王都に来てもらうように手配します。だからお願いです」
あまりにも必死にお願いしてくるのに驚いたが、このあと特に決まった予定もないので家族を直ぐに呼ぶと言う条件付きで了承した。
部屋も用意してくれるらしく四部屋でいいかと聞かれたので大きな部屋を一つと言っておいた。レオンは不満そうにティアを見たがティアは全く気付かずセドリックはレオンを不憫に思った。
通された部屋にはベッドが二台しかなかったので後二台用意してもらい自分達の使いやすいように模様替えさせてもらった。ベッドを端の方に横に二台ずつ置き頭を合わせて四台くっつけた。テーブルとソファを残りのスペースの真ん中に置く。後は厨房を使わせてほしいとお願いすると好きに使っていいがご飯の用意は此方ですると言われた。
ティアはこんな凄い場所で至れり尽くせりなんて信じられないと嬉しく思ったがそんな場所で生活をできるのか不安でもあった。全てが堅苦しそうに思えたからだ。だが約束したし暫くの辛抱ですむだろうと考え二度とないことだろうからと楽しむことにした。
そんなティアをレオンは優しい目で見つめる。再び会えた喜びと恋心を再燃させて。
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