王都にて(3)
「っな?!」
地面に叩き付けられるかと思った男達はいきなりの暗闇に驚いた。
「皆無事か」
レオンが安否を確かめる。どうやらレオンの調子は落ち着いてきたようだ。息を大きく吐いて呼吸を整えていると何処からか“パキッ、パキッ”と聞こえてくる。視覚を奪われているため何が起こっているのか直ぐには理解できず様子を伺う。暫くするとひんやりとして足が冷たくなってきたのと同時に動けなくなった。
レオンは慌てて火の魔力を使い辺りを照らす。自身も含め辺り一体が下から徐々に氷漬けになっていく。今は膝下迄氷に包まれている。兵士達は慌てて剣をとり氷を割ろうとするも罅すら入らず少し欠ける程度だ。そんなことをしている間にも氷は高くなっていく。
レオンがこの空間から出るために魔力をを使う。
「小さい割に力があるようだがおいたが過ぎるようだ。ひとつ叱ってやるとするか」
右手を素早く振り上げ闇を切り裂き氷を溶かす。再び光の下に出ると同時に口を開こうとティアを見たが言葉は発せられることはなかった。
「許さない!許せない!返して!」
叱ろうとした少女は悲痛に叫びながらボロボロと涙を流しいたのだ。流石にレオン達もいくら力を振るわれたとはいえそんな少女に何か言うほど非道ではない。聞いていて反対に胸が打ち付けられるほどだ。それでもまだ攻撃を仕掛けてくるティアにレオン達は防御に徹することになる。
自分達は何もしていない民に力を振るった訳ではない。罪人を捕まえたのだ。だから責められる必要はない。でもそれを小さな子供に言って納得させられるかと言われれば自信はなかった。
しかし何時までも攻撃を受け続ける訳にもいかずレオンが反撃をする。ティア目掛けて水を飛ばしてきた。二十センチ程の円柱状の水柱をティア目掛けて発射させる。それに気付いたティアもレオンに右手を向け雷を走らせる。驚いたレオンは水柱を消し防御に切り換えた。
(自分も感電するかもしれないのに雷技を?! いや、小さいから知らないだけか?)
何も知らず効果が高い技を返したのか、それとも知っていて放ったのか。レオンは相手の行動が読めず戸惑ってしまった。
ティアは涙を流しながら攻撃し続けた。兵士達は傷を負うも軽傷でしかなかった。いくら怒りで攻撃しているとはいえティアに人間を傷つけるだけの覚悟はなく当たる直前無意識のうちに威力を弱めていたのだ。兵士達は避けてるだけとはいえ体力を消耗している。威力を弱めていることなど知らないレオンはこのままではと思い再び攻撃にでようとした時 二本の腕がティアを抱き締めた。
「ごめん。もう大丈夫だから。ごめんな」
ティアは目を大きく開き固まった。動けなくて心臓はドクンドクンと大きく鳴り声の主が自分の間違いでないことを願いながら口をひらいた。
「・・き・・・きょ・う」
「ああ。ティア」
恐る恐る聞いたことにハッキリと答えてくれた。何時も一緒に居た暁の声に間違いなかった。嬉しさと安心から更に涙を流しながら暁に抱き付く。その時に全て魔術は消え去り兵士達を解放した。そして自分達にかけていた色変えの術も。
「こわ・かった。よかっ・た。うわあぁぁぁん」
「うん。ごめんな」
ティアは暁に抱き付き暫く鳴き続けた。その間兵士達はティア達に何かを言うわけでもなくただ見ていた。そのなかでレオンとセドリックは白くなったドラゴンを目の当たりにし もしかしてという思いを持った。
今自分達に攻撃を仕掛けていた子は五歳程の女の子。もしその瞳が紫ならばと二人は期待せずにいられなかった。
泣き止んだティアが暁と話し始めるとエドワードが近づいてくる。
「お前達は王族にむか・・・」
「黙れ、エドワード」
「黙ってください、エドワード」
エドワードがティア達に事の重大さを分からせようと口を開いたがレオンとセドリックによって遮られた。
「なんで・・」
「黙れ」
レオンとセドリックに文句を言おうとしたエドワードだったがまたもやレオンによって遮られたので渋々ながらも黙った。セドリックがレオンを見るとレオンは頷きセドリックも頷き返す。今の場所からではティアの瞳の色は判らないのででハッキリと判る場所まで近付いていく。
セドリックが近付いてきたのでティアは両手を広げ暁の前に立ちはだかる。するとセドリックはティアの瞳がハッキリと見え大きく目を見開いた。
「お嬢さん、貴女に聞きたいことがあるのですか宜しいでしょうか」
ティアは突然話し掛けられたことに驚いたが 自分に分かることならばと頷いた。
「九ヶ月程前インディクム領で魔族と対峙しませんでしたか」
その質問にティアだけでなく暁と疾風も驚いた。ティアはどう返事したらいいのか分からず暁にしがみついた。
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