王都にて(2)
兵士の一人が指示を仰ぐため団長を呼びに行く。兵士と共に来た団長に暁のことを報告するとよくやったと誉められた。王子を狙ったのだから処罰されることらは確定しているが三日後の夜会のため王宮は慌ただしく暫く牢に繋いでおくように告げる。
騒ぎを聞き付けたレオンがセドリック達を連れて現れた。夜会のこともあり心が荒れているレオンが厳しい口調で兵達に問うた。
「何があった」
団長が説明するとレオンが暁に近付いてくる。レオンは地面に膝をつき押さえつけられている暁の顎に手をかけ上を向かせる。
「お前の顔は見覚えがあるな。前は片方紫の目をしていたと思ったが。またわたしの命を狙いに来たのか」
「生憎と前の生業からは足を洗ったから あんたの命に興味はないな」
「足を洗っても罪は消えないぞ」
「・・覚悟はしてるよ」
「へえ、それはいい・・・ぐっっ!!」
「っっ!!」
「!!!」
話している丁度その時レオンの魔力がまたも暴走してしまった。しかもその暴走した魔力は顎に手を当てていた暁を攻撃することとなり弾き飛ばされた。ティア達とお揃いで買った指輪の精霊の力はレオンの魔力に歯が立たず、突然のことすぎて防御ができなかった暁はまともにくらい服はボロボロになり見える所は傷だらけになって気を失った。
暁が魔力をくらったときティアとソルは暁の異変を感じ取った。嫌な予感がしたティアはソルと琥珀を捕まえ疾風を元の大きさに戻した。残りのみんなに目立たない所に隠れるように告げ 疾風の背に乗りソルに案内させる。様子が気になった悠翔も小さくなって後を追っていく。
王宮では魔力を暴走させたレオンの心配がされているが暁は手当てをされるわけでもなく放置されている。そんな暁を心配そうにステラが呼び掛ける。レオンも暴走が収まった訳でもないので心配されているだけで誰も近寄れない。誰もどうすることもできないそんな状況でたまたま空を見上げた兵士の一人が黒いドラゴンが飛んでいるのを見付けた。
「黒いドラゴンだ」
兵士が叫ぶとみんな空を見上げた。レオンも苦しみながらも上を見る。その時ドラゴンがレオン達と暁の間に舞い降りた。兵士達はレオンをドラゴンから護るように前に並ぶ。剣を構えるがドラゴンの背中から小さな女の子が飛び降りたのを見て驚いた。少女は捕らえられた男の下へと走り寄り声を掛ける。
「暁。暁、大丈夫。お願い 目を開けて。どうして・・」
ティアにとって暁は大切な人だった。初めて同じ紫の瞳を持った人を見た。初めて家族以外で話してくれた人。何の責任もないのに逃げるとき一緒に連れていってくれた人。途中で捨てられても仕方ないのに甘やかして大切にしてくれた人。そんな大切な人が傷つけられた姿を見たティアは抑えきれない怒りに支配された。目をギュッと閉じ涙を堪えて立ち上がり疾風を呼び暁を護ってと告げると目を開けた。するとその目は真っ赤になっていた。以前魔物に襲われたときと同じ目だ。
疾風は不安になりティアを宥めようとしたとき悠翔が追い付いた。疾風にティアは自分が見るから暁をと言われたので悠翔に任せることに。更に琥珀に暁の回復をするよう告げる。しかし悠翔もティアの赤い目を見たときは不安に駆られた。
(元々魔力が強いと思っていたがまさか目の色が変わるなんて。大事にならなければいいがどうなるか予測できない。危険がないようにこの建物の内側に結界をはっておくか)
悠翔は訓練場に結界をはり被害が外にでないようにした。そんなことをしてる間にもティアは兵士達の方を向き一歩二歩と前に進む。
「お前達か!お前達があんな酷いことをしたのか!」
ティアは腹の底から叫んだ。ティアの体は小さく震えていた。そして連動するかのように大地も小さく震えていた。精霊達、疾風、そして悠翔と契約を結んだことにより以前とは比較できないほどティアの力は強くなった。 まだ小さな体のために不安定な魔力は疾風によって安定し悠翔によって増大する。その力を躊躇することなく目の前に居る男達に向かい存分に発揮させた。
手を横に払うと強烈な風が男達に襲いかかる。その風を受け吹き飛ばされ結界にぶつかる者 地面に薙ぎ倒される者 衝撃で気を失う者が居るなかでエドワードはレオンを庇いながら耐えしのいだ。
「許さない・・」
攻撃された男達は戸惑った。本来攻撃を仕掛けられたら捕らえるのだが 相手は小さな子供だ。無闇に力を振るって捕らえるには抵抗があった。かといって話ができそうな状態でもない。そうして戸惑っている間にも次の攻撃を受けることに。立ち上がった者達は 水でできたリング状の物で腕と胴を纏めて拘束されそして両足首も動けないようにと締め付けられ動けない。拘束された者 されていない者全員の体かふわりと浮き上がる。ゆっくりと上がっていきピタリと止まったかと思うといきなり落下する。落ちながら浮遊感に襲われたかと思うと暗闇の中に居た。
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