王都にて(1)
ティアが家を出て半年程過ぎた頃レオンは国王に呼び出されていた。王の執務室を叩くと返事があり中に入る。何の用かと聞けばそろそろ妃候補を決めろとのことだった。
「わたしに向かって言っているのか」
レオンは怒りを抑えながら低い声を発する。王は畏れた。本来レオンは息子であるが建国者の生まれ変わりでもあるのでその立ち居ちが定かではない。しかし普段大人しく息子として接していたため王も強く出たのだ。妃のことはレオンも探している人物がいることを告げられていたので今まで口出しせずにいたが魔力の暴走のこともありそろそろ決めろと命令した。そのことがレオンの怒りに触れることになってしまった。王は忘れていた。レオンは息子であって息子でないことに。
小刻みにガタガタ震える王を見ながらレオンは落ち着きを取り戻す。
「失礼しました。考えておきます」
そう告げると執務室を出ていった。部屋の外には幼馴染みの二人が待っていた。自分の執務室に戻ると何の用だったのか聞かれ 妃候補を決めるように言われたと告げると二人はなんともいえない顔をした。
「わたし達が見付けられないせいで申し訳ありません」
セドリックが謝るがレオンは違うと言う。
「お前達のせいではない。よくやってくれている」
セドリックとエドワードは少し話をしたのち執務室を出ていった。レオンは一人考える。
(周りに迷惑を掛けるようになっているのだから誰か決めないといけない時期になってるのかもしれない。だがもしティアが見付かったとき他の誰かと一緒にいればティアはわたしを好きにはなってくれないだろう。ティアの居た国は一夫一妻制だった。なら一夫多妻は受け入れられないだろう。それを考えると躊躇してしまうが諦めないといけないのかもしれない)
レオンは答えを出せずにいた。
その一週間後レオンはまたも魔力を暴走させてしまった。しかも今回は被害が大きくなってしまい周りを震え上がらせた。これ以上酷くなってしまうわけにもいかずレオンは妃候補を探すことを決めた。父王に報告すると魔力の多い者から少ない者まで見付けておくと言われた。
それを聞いたセドリックはレオンに詰め寄る。
「本当にそれでいいのですか」
「これ以上迷惑を掛けるわけにもいかないから仕方がない」
「まだ妃候補だし結婚するわけでもないんだから大丈夫だろ」
寂しそうにするレオンにエドワードは元気付けるつもりで言う。
「もしわたしに相手が居るのが分かれば凛はわたしを好きにはなってくれないだろう」
「だったらなんでっっ!!」
悲しそうに笑うレオンに幼馴染みの二人はそれ以上何も言えなかった。
二人は今まで以上に凛を探すことに力を入れた。もちろん今までだって頑張っていた。ただレオンのあんな悲しそうに笑う顔はもう見たくはなかった。それが二人の更なる原動力となったのだ。しかし時は無情に過ぎていく。何の手掛かりもなく二ヶ月程過ぎた頃レオンの妃候補達が決まり一ヶ月後に夜会で顔合わせとなった。
夜会が三日後と迫った頃ティア達も王都に居た。何処に行くか決まらず何故か王都に来る羽目になったのだ。因みに今日はティアの目と疾風は黒で暁は金色の目だ。疾風は小さくなったので色を変えなくてもいいのだがお揃いにしようと色を変えたのだ。
王都は今妃候補やその他の遠方から来る貴族達のため衛兵が町の見回りをしていた。暁は以前里の者達と王子を狙ったことがあり衛兵達に気付かれないかと気になったのでみんなと少し離れることにした。
ティア達に用があるから後で落ち合おうと告げ去っていく。誰も特に気にすることなく暁を見送った。
みんな何か面白い物はないかと彷徨く。美味しそうなものを見付けると一つだけ買ってみんなで分けあう。みんな揃って町に出るのは珍しいので思い思いに楽しんだ。
そろそろ時間だと待ち合わせの場所に。まだ暁達は来ていないようだった。暫く待つも暁は来ない。すると暁と一緒に居たソルが慌ててやって来た。
『暁が捕まっちゃったよ!』
待ち合わせ時間の少し前。暁は見付からないようにと人が来なさそうな場所に隠れていた。そろそろ行くかと歩き出すとバッタリと衛兵に出会してしまった。暁は背中に嫌な汗を流したがその衛兵達は暁のことが分からなかったようで素通りしていった。少し歩くとまた衛兵に出会す。今度も大丈夫であるように願うが今度の衛兵は暁を覚えていたようで攻撃を仕掛けてきた。
「お前はあの時王子を狙ってきた奴等の一人だな!」
攻撃をかわしながら逃げようとするがも衛兵も逃がしてなるものかと仲間を呼びちょっとした乱闘騒ぎに。暁は魔法が使えるとはいえ町中のため使用することを躊躇した。それ故多勢に無勢だったので拘束されてしまい城へと連れていかれた。
城には今沢山の人が集まっているので兵達の訓練場へと連れていかれる。捕まってしまったのは仕方ないとはいえソルとステラは関係ないので逃がそうとするも二人は傍を離れようとしない。
「頼むから」
そう言われたときソルはティア達のことを思い出した。
『ティア達を呼んでくるからステラは暁を守ってて』
ステラに告げると急いで飛んでいった。
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