隣国で頑張ります(11) ~悠翔目線<2>~
次の日の朝迎えに来てくれたティアにちゃんと挨拶したか聞かれてしまった。ちゃんとしたと答えると今度は忘れ物はないか聞かれた。小さな子に子供に聞くようなことを聞かれるなんて思いしなかったが悪い気はしなかった。気にかけてもらえるのはいいものだ。最後にいってきますと言わされ漸く出発した。なんだかわたしの方が小さな子供みたいだ。
一緒に行動して気付いたがみんな仲がよくお互いを名前で呼んでいる。なのでわたしも呼んでほしいと頼むことに。何て呼んでほしいかと聞かれたが特にこれといって思い付かないので任すことに。契約についても聞かれたが気にしたことがなかったのでこれも任すことに。ティアは暫く考えて名前を付けてくれた。
「ゆったりととんでるっていみでゆうとでいいかな」
どういう意味かよく分からなったので聞いてみると王様って悠然としてる感じがして後精霊だから翔ぶって字を入れたのだと言われた。精霊さんはぞくせいもなさそうだから属性の名前も入れられないしね。駄目かなと。もちろん駄目なわけがない。それでいいと告げるとティアがニッコリ笑って此方を向いた。
「じゃああらためて。悠翔。なかま、友だち、かぞく、そしてしゅじゅうとしてなかよくしてくれますか」
わたしは驚いた。主従の契約だけでなく仲間や友達、ましてや家族としてと言われるとは思っていなかったからだ。
何時までも答えないわたしにティアは心配そうな顔をして嫌だったと聞いていた。慌ててこちらこそ仲良くしてほしいと告げると宜しくねと笑ってきた。この子と一緒に居れば面白いかもしれないと期待が湧いた。
ティア達と出会い沢山の初めてを体験した。初めての旅。初めての野宿。初めての芋掘り。初めての果物狩り。初めての料理。そして初めての抱っこ。大変なこともあったが楽しかった。みんなでするとこんなにも楽しいものなんだと思わせてくれる時間だった。
二ヶ月程経った頃漸く目的地に着いたようだ。小屋を建てるための場所探しをするがなかなか見つからず少人数にわかれて探すことになった。わたしは瑠璃と翠とで探すことに。大人しい子達と一緒だからか何時もより静かだったことに寂しく感じる。森に居たときは静かなのが当たり前だったのにたった二ヶ月程で賑やかなのを当たり前だと思うようになっていたことに驚いた。
いい場所がないか探し回るも見付からず約束の場所へ。誰も見付けてこなかったので自分達で造ればと提案する。魔力を使い造ってみせるとありがとうと言われる。何かをしてお礼を言われるのは嬉しいものだと感じた。
此処に住み始めてティアはバイトを始めた。指輪に魔力を込めるらしく相談を受けた。魔力が少なく使えない人のための物だそうで障壁を発動させたいのだが上手くいくか自信がないのだと。ティア自身は魔力が高いのでちゃんとできると思うが本人にとっては不安でしかないようだ。なので思いが大事だと教えた。その人を守れるように願ってごらんと。
暫くするとティアは小さくなった疾風を見せにきた。やっと欲しがってた腕輪が手に入ったようだ。四つ欲しいと言っていたからまだ全部は手に入れられていないようだが 直ぐにと欲しがっていた疾風の分が手に入ったのでかなり嬉しかったのだろう。小さな疾風をずっと抱えたままだ(まあ、しょっちゅうくっつきまくっているけども・・)。
この場所に落ち着いて四~五ヶ月経った頃 ティアに魔獣狩りについて相談された。それは人間を守るために何もしていない魔獣を倒すと言うことだ。確かに人間は魔獣を怖れている。襲われることもあるだろう。だが全ての魔獣がそうであるわけではないし 人間が肉を食べるため狩りをするように魔獣も生きていくために襲ってくる場合もある。必ずしも魔獣を悪い物と決める必要はないはずだ。
少し意地悪かと思ったが聞いてみた。
「それは人間に対してしか思わないの。魔獣は倒すべきなの?」
ティアは混乱し泣き始めた。そして謝りながらどうすればいいのか聞いてくる。
「わたしと疾風が此処を去れば問題は解決すると思うよ」
直ぐには理解できなかったようで不思議な顔をしている。
森の王として存在していたわたしは魔物が森に入ってきて争ったりしないように威圧し続けていた。王でなくなった今威圧し続ける必要はなく力を抑えているので威圧できる範囲は狭まってきているはずだがなくなったわけてはない。これからも徐々に狭まっていくだろう。だから時間をかけてもいいのなら少しずつこの森から居なくなった魔物が戻ってくる可能性はある。
しかし今すぐにとなるとこの森を去ったほうがいい。
わたしが言った意味を理解したティアはわたしに向かって告げた。
「わかった。急なことで申し訳ないけど明日此処を・・
出ていってほしいと言われてしまうのかと覚悟した。わたしが居なくなれば解決するのだから当然だろう。できればもっと一緒にいたかったが。しかしティアが続けて言った言葉はわたしの予想に反するものだった。
出ていこう」
そう言って立ちあがり慌てて出ていった。
また一人になるのだと思ったわたしはそれが嬉しくて暫く動けなかった。
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