隣国で頑張ります(10) ~悠翔目線<1>~
わたしは惑いの森に次代の精霊王として生を受けた。精霊王は百年周期で代々受け継がれて行く。生まれて百年は世継ぎとして百年から二百年の間は王として生き 二百年以降は好きなように過ごしていいらしい。
先代王達は森に居続けている方が多いようで、たまに出掛けても直ぐに帰ってきてしまう。他の精霊達のように森から外に出たことがないので興味があるのだが先代達を見ていると大したことはないのではと思えてしまう。
だが小さな精霊達は数人で出掛けて楽しんでいるようだ。なら誰かと一緒に出掛ければいいのではないのか。だが誰が一緒に行ってくれるだろう。王として育てられたため友達の精霊はいない。後少しすれば王を退けるのに一緒に行ってくれそうな精霊を今から探し出せるだろうか。
そんなことを考えている間に王座を次代に譲り渡した。王自体はやりたかった訳ではないのでいいのだが まだ一緒に行ってくれそうな精霊を見つけられていない。なのですることもなくボーっとする日が続いていた。
そんなある日精霊以外の気配を森の中に感じた。精霊の誰かが連れてきたのだろうが何を連れてきたのか興味が湧いて夜遅く見に行くことに。すると小さな女の子が一人でフラフラしているのを見掛けた。とても憂鬱そうな顔で歩いているので声を掛けてみた。
「辛いことでもあった」
話し掛けて気付いたが紫色の目をしている。人間だと思うけど珍しい。
なかなか話してくれなかったがもう一度聞くとボソボソと話始めた。話を聞くとどうやら呪いをかけられているようだった。きっと呪いを解くために此処に来たのだと思いそっと頭を撫でた。もう大丈夫だからと。
次の日 昨日会った場所で女の子がわたしを読んでいる。どうしようかと思い暫く見ていると何度も読んでくれる。こんなに呼んでくれるならと思い姿を現すとお礼を言われた。
昨日とは違いとても元気になっていたので暫く話すことに。名前をティアと言った。此処にきた理由を尋ねると里帰りだと言われた。呪いを解きに来たのかと思ったが違うかったようだ。みんなで旅をしていると教えてくれた。
わたしは旅に誘われたこともないし行っていいとも言われなかったと告げると 一緒に行こうと誘ってくれた。もしそれが口だけだったとしても嬉しいお誘いだった。
お礼がしたいからと寝泊まりしている場所へと誘われる。みんなが戻るまで待っててほしいと頼まれるが何時までたっても誰も戻らない。心配で堪らなくなったのか泣きそうになったのを一緒に居た精霊達が気付き訳を話す。するともっと心配するはめになったようだ。このままほって帰る訳にいかず戻ってくるのを一緒に待つことに。
日が越えた頃彼等は戻ってきた。その中に白いドラゴンが居た。珍しいと思いながら見ているとティアをとても可愛がっているようだ。随分なついていた。
少年がわたしを見て誰だと聞いてきたのでこれ迄の経緯を説明する。するとみんなにお礼を言われた。だがその中で上位精霊と思われる一人が此方を見ている。どうやらわたしが王だと気付いたようだ(今は引退したが)。だがその事を上位精霊以外気にもしないようだ。それどころか野宿に誘われた。
次の日 目を覚ますと既にティアが起きていた。朝ご飯を食べるかと聞かれたので頂くことに。本来精霊は食べても食べなくても問題はないが折角なので食べることにした。こうやって誰かとご飯を食べるのも楽しいものだ。美味しいかと聞かれたので美味しいと答えると よかったと笑ってくれた。成る程。こうやって仲を深めていくのだな。こういった会話をすることのないわたしには新鮮なことだった。
暁とティアがこれからのことを話し合っていた。どうやら出ていくことに決まったようだ。それを聞いて思わず置いていかれるのだなと呟いてしまった言葉をティアが聞いていたらしく何か思い付いた顔をした。
「よし!せいれいさん。やくそくどおりいっしょに行こう!」
そう言ってまたわたしを誘ってくれた。
「・・・本当に連れて行ってくれるのかい」
聞き返してしまった。その代わり野宿だと言われたがそれくらいは構わなかった。一緒に旅をしてくれる仲間を見付けたのだから。
身近な者だけには旅に出ることを告げておいた方がいいと思い会ってほしいとお願いし城に連れていく。部屋で待っていてもらい王と補佐官達の元へ急ぐ。旅に出る仲間を見付けたと告げるとそうですかと気のない素振りで言われるが怯まず待たしてあるので会ってほしいと頼めば少し慌てたように見えた。
会って挨拶を済ますとまた明日迎えに来るからちゃんと別れの挨拶しておくようにと小さな子に言われてしまった。別れの挨拶か。何と言えばいいのだろうか。取り敢えず思い付くままに言うことにした。
「今まで世話になりありがとう。森から出られず辛いこともあるかもしれないが頑張ってくれ。暫くは帰らないと思うが心配はしなくて大丈夫だ」
三人に向かってそう告げると笑われた。何処かおかしかったのだろうか。それでも最後にはどうかお気を付けてと言ってくれた。
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