隣国で頑張ります(9)
相談された悠翔は魔獣狩りがしたいのかと聞いてきた。
「魔獣狩りがしたい訳じゃないよ」
「ならどうして魔獣狩りに参加しようとしてるの」
「みんなを守ってあげられるなら守りたいから」
「それは人間に対してしか思わないの。魔獣は倒すべきなの?」
「違うよ!わたしは魔獣を倒したい訳じゃない。確かに食べるために倒してるけどそれ以外は襲われたりしない限り手を出したりもしない! ・・・間違ってる?そうだよね。勝手に怯えて一方的に攻めるのはおかしいよね」
ティアは悠翔の質問に答えているうちに自分の勝手な考え方に気付き涙が出てきた。確かに隣のアエスタース領で魔物が増えてきたとは聞いたが被害については聞いていない。噂されていないだけで被害はあったかもしれないし本当にないのかもしれない。ないのなら何もしていない魔獣が倒されるのはおかしいんじゃないのだろうか。ティアは混乱した。
「意地悪言ってごめんね」
悠翔がおいでと言ってティアを抱き締める。命をそんな簡単に考えては駄目だと教える。すべてのものに生命は平等にあり人間だけが優遇されているわけではないのだと。
ティアは悠翔に謝り だったらどうすればいいの教えてほしいとお願いした。
「わたしと疾風が此処を去れば問題は解決すると思うよ」
以前疾風と悠翔が居れば魔獣は寄ってこないと言っていた。だから此処から居なくなればいいということだろうか。でも近寄って来ないだけで存在はしているはずだからあまり関係ないのではとティアは考えたが違うのだろうか。
「確かにわたしと疾風が居れば寄ってこないと言ったけどわたしの場合は逃げていってしまうんだよ」
ティアは悠翔の言いたいことを直ぐには理解できなかった。
悠翔が言うには悠翔の気配を感じると魔獣達は遠くへ逃げていってしまうのだそうだ。だから本来アウトゥムヌス領の森に居た魔獣達は隣のアエスタース領の森に逃げ数が増えてしまい人に見付かりやすくなってしまったのだろう。だから悠翔が此処から離れれば元々居た魔獣達は戻ってくるだろうと。
でも瑠璃は大丈夫みたいだとティアが言えば好戦的な魔獣が逃げていく確率が高いのだと。できるだけ争い事をしなくていいようにとのことだった。
「わかった。急なことで申し訳ないけど明日此処を出ていこう」
ティアはそう言うと立ちあがりちょっと町に行ってくるねと慌てて出ていった。
《魔》の店に行きまた旅に出ることになったと別れを告げる。色々ありがとうとお礼を言えば元気でやれよと言ってくれた。
アウトゥムヌス公爵邸にも行きサラレティアとリューイに別れを告げる。また会おうねと約束をして。
お別れを言い終わり小屋に戻ってくる。みんなに集まってもらい訳を話して明日出ていくと告げる。暁、疾風、瑠璃は納得してくれて雷牙はお願いなら仕方ないなと了承してくれた。
ティアは真珠にお願いをした。明日になったら精霊王達が何処か別の場所に出ていくようだと噂を流してほしいと。真珠は他の風属性の精霊達に手伝ってもらい噂を流した。明日には元の場所に戻れるはずだ。自分達の居場所に帰れると。
暁がまだ暗くなるまで時間があるから当面の買い出しをしてくると言うのでティアも行くことに。急にごめんねと言えば後から来て場所を取ったのは自分達だから仕方ないなと言ってティアを攻めなかった。
ティアは暁に聞いてみた。
「まだ家に帰っちゃ駄目なのかな」
暁は直ぐに返事ができなかった。
買い物を終え小屋に戻る。明日直ぐにでも出ていけるように森を元に戻しておく。小屋は明日出ていくときに解体することに。森の中だったとは言え四~五ヶ月程暮らしたからだろうか。離れるのはなんだか寂しい。
その日は早く寝ることに。今度は何処に行くことになるのだろうか。そんなことを考えながら眠りについた。
次の日の朝 何処に行こうかと暁に問えば 家に帰るのはまだ無理かもしれないがプルウィウス・アルクスに戻ってみるかと言われた。本当にと聞けばそれくらいは大丈夫だろうと。インディクム領ではないとはいえ生れた国に帰れることは一歩進んだような気がして嬉しかった。
みんなは何処でもよかったようで特に反対もない。まだハッキリとした行き先は決まらないけどプルウィウス・アルクス王国に向かって出発した。
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