隣国で頑張ります(6)
約束の日の朝 ティアは何時もより早く町に出掛けていった。《魔》の店にも開店前に着き待っていると 気が付いた店の人が笑いながら入れてくれた。
この防御の指輪が売れるか売れないかによって腕輪を買えるかどうか決まるのでティアは大真面目だ。それを感じたのか店の人も笑うのをやめ真面目に対応してくれた。
全部鑑定するぞと言われたのでもちろんしてほしいと答えた。全部合格だと言われホッとするも落ち着くことができない。漸く開店の時間になりお客さんも来始めた。店の人が何時までも立ち続けるティアを見て 行くところがないなら休憩室で待ってるようにと言ってくれたのでお邪魔することに。ソファーに座り力が抜けるといつの間にか眠りにおちた。どうやら昨夜はあまり眠れなかったようだ。
ティアが目を覚ましたとき 既に昼を過ぎていた。急いで店の人に聞きに行くと三十ちょっと売れたとのこと。まだ腕輪一個分だけど売れていることに安心した。本当は閉店するまで居たいが遅くなると心配をかけてしまうのでそろそろ帰ることに。また明日来ますと告げて店を出た。
小屋に戻ったティアは悠翔の所に居た。バイトの理由を知っている悠翔に話を聞いてほしかったからだ。
話を聞いた悠翔は上手くいってよかったねと頭を撫でてくれた。
次の日も朝から店に行き休憩室で待たせてもらう。そわそわしながら待ち続ける。お昼を過ぎた頃全部売れたと言われ嬉しくて泣いた。これで何処にでも連れていってあげられると。
店の人にピンクゴールドとブルーゴールドの一本ずつに黄緑色の菱形の石をつけてもらった。黄緑色は疾風の瞳の色だ。お礼を言って疾風の下へと急いで帰った。
小屋に戻るなり疾風を呼び二人でこっそり小屋の裏へ回る。プレゼントがあると言って疾風に腕輪をつけ深呼吸する。
「今からいいよって言うまで目をとじててね」
疾風にお願いした。ただし痛かったり苦しかったりしたらちゃんと教えてねと言い疾風の手を握り目を閉じてもらった。絶対開けちゃ駄目だよと念押しし、小さくなるようにと念じた。疾風の体はみるみるうちに小さくなっていく。あっという間に大人の両手サイズの大きさになったが ティアの手に乗せるには少し大きいので翼を痛めないようにそっと掴んで持ち上げた。
もう開けていいよと言われそっと目を開けると其処には大きくなったティアが居た。
『ティア、大きくなっちゃったの?!』
目を開けるなり疾風は慌てた。ティアは疾風を落としそうになり大丈夫だからと落ち着かせる。
「おどろかせてごめんね。疾風が小さくなったんだよ。これでこれからはどこにでもつれていってあげられるよ」
ティアは泣きそうなでも嬉しそうな顔で疾風に告げた。疾風は状況が飲み込めず説明してもらう。魔道具で小さくなったのだと。漸く理解した疾風は嬉しいような困ったような感じでありがとうと言った。
(もしかしてバイトを探してたのも ここ何日か様子がおかしかったのもこれのせい。ずっと一人で頑張ってくれてたんだ)
みんなに見てもらおうよと嬉しそうに小屋に入るティア。みんな見てと見せびらかす。暁や雷牙のように驚いたり 悠翔のように安心したりと反応は違ったがみんなよかったと喜んでくれた。
あまりに嬉しかったティアは小さなままの疾風と寝たがったがみんなに反対された。しかしティアに甘過ぎる疾風が許したので小さい疾風と寝るとこに。
(寝相の悪いティアに潰されなければいいんだけれど・・・)
一緒に寝る当人達以外の全員が心配した。
次の日起きて疾風を見ると小さいままだ。よかったと安心し疾風をつついて遊んでいる。疾風も怒ることなく相手をしている。そんな二人を暁は呆れたように見る。
今日は買い物に行くと言われ用意をする。疾風に一緒に行くかと聞くが今日はやめておくと言われ ならばと元の大きさに戻した。いってきますと町に出て食材を買いに。今日はこの前貰ったバイト代で醤油を買うつもりだ。それで焼おにぎりを作って食べたい。
そんなことを考えていたら助けてと声が聞こえてきた。辺りを見回してみるとティアと同じくらいの小さな女の子が助けを求めていた。急いで駆け寄ってみると女の子より少し大きい男の子が怪我をして倒れていた。男の子はボロボロだが女の子に傷はない。頑張って守ったのだろうか。暁をジーっとみると此処では駄目だと言われたので女の子に家は何処かと聞いた。暁が男の子を背負って女の子に着いていくと其処は大きな邸だった。門衛に見られながら邸にお邪魔する。
一室に通され此処に寝かせてほしいと頼まれたが見た感じ女の子の部屋に思えた。暁は特に気にせずベットに寝かせようとしたが怪我をした男の子がベットは駄目だと言う。部屋の主はやはり女の子のようなので遠慮したのだろう。それじゃあソファーにと男の子を寝かせる。
ティアが暁を見ると此処でならいいと頷いたので 二人に今から見たことは誰にも内緒にしてねと告げ治癒魔法をかけた。
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